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水曜日。深夜から朝
市井兄の役作り。
しおりを挟む・・・。
まぁいいか、兎も角、王子だよ王子。
中学生の時は、文化祭で『sleeping beauty』の王子役だったな。
その時はどうだっけ・・・確か英語の授業の一環で全部英語の劇だったんだよな。
あの王子役は、剣やら盾やら持って茨や魔女と戦う役だったから面倒くさかった。
当時こども園、5才の健介が、親と一緒に劇を見に来てて、英語も分からないのに目をキラキラさせて俺の茨との戦闘シーンを見てくれたっけ。
姫をキス(するフリ)で起こす場面で健介が激泣きしながら舞台をよじ登って俺の所までやって来たんだったな(健介5才=激天使)。
「けんのにーたん!
めー!!」って。
可愛かったな、ちびっ子激天使(健介5才)。
あの頃の激天使は俺の事「にーたん」て呼んでた。
アルバム、アルバムっと、あ~マジ可愛い。激天使。
・・・
・・・
ダメだダメだ、やっぱり健介に脱線する。
兎も角、王の子供、王子様だよ王子様。
あ?・・・オーロラ姫と魔女どうなった?
オーロラ姫キスで起こしますの、
魔女出現しますの、
魔女を姫と協力して倒して大団円の、
段取りだったはずだけど・・・??
アレ?
まぁどうでもいいか。
今必要なのは王子だし。
王子の仕草って何だよ。
そういえば高校の時も・・・~以下回想略~
◆◆ ◆水曜日 2時頃◆ ◆◆
駄目だ、資料を読みながら考えようとしても、絶対健介に脱線する。
健介が可愛いのがいけないのか。
健介が天使なのが駄目なのか。
いいや。
健介が可愛いのも天使なのも、当然だ、自然の摂理と同じ。
可愛い天使は正義だ!
それにしてもウチの天使は・・・
・・・
・・・
しっかりしろ。
王子役に挑戦するんだろ、俺。
えぇ、王子って何だよ。
仕草か?気品??
(原点回帰)
せめて王族に知り合いでも居れば参考になるのに・・・。
頭を抱えそうになった時『ピロン』とスマホが鳴って、唐所長からメッセージが届いた。
『市井くん、“王子様役”の中途半端はよくないよ。
王子様の君をすごく期待している弟くんには気の毒だけれど、中途半端な役づくりで弟くんをガッカリさせる位ならいつもの市井くんで居た方がいいよ。』
・・・何で俺が中途半端な王子になるって言う前提のメッセージなんだ?
唐所長への対抗心がジワジワ湧いて来る。
健介が亮太くんの父親だから、と懐いてるのも気に食わない。
健介が懐く男は俺だけでいいのに。
(亮太、他クラスメイトは友人認定で苦肉の接触許可認定中。)
『いっそ中身は君のままで、服装だけ王子様に近づけたほうが、弟くんは喜ぶのかもしれないよ。』
・・・役作りを失敗したら、王子を期待してる俺の天使がガッカリするから、リスクを避けろ!?
・・・健介に中身のないハリボテの王子で納得させろって言うのか!?
『どっちにしても、明日は正装で来てね。
子供達は制服で大丈夫だよ。』
・・・子供達だって?
健介は子供じゃ無くて、俺の恋人で嫁だ!
※白雪姫は自力でリンゴを吐いて起きました。
オーロラ姫は自力で起きて、空気を読んで出て来た魔女にトドメを刺しました。
※演劇の王子役は同じ感じのエピソードが大学の文化祭まで続きますので割愛。
健介が2才5才7才9才の出来事でした。
劇の王子役は全く記憶にないポンコツ脳の市井兄。
健介の事は全部覚えている天才脳の市井兄。
何故か小さい頃(古い記憶)から思い出す市井兄。
↑
何故なら健介がマジ天使だったから。
※唐所長的には『正装が必要=大人』と『学制服があれば正装は不必要=子供』と表現しただけです。
別に煽ろうとかそんなそんな。
そして唐所長は元王族。
応援ありがとうございます!
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