僕の恋、兄の愛。4

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水曜日。深夜から朝

市井兄と思い出。

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◆◆ ◆数分後◆ ◆◆



・・・。

んん??

よくよく読み込んでみると、コレは学園物の乙女ゲームじゃなくて異世界転生物の乙女ゲームだ・・・中世ヨーロッパ風のフリルを着た王子様ヤローが沢山出てくる。

健介は生徒会副会長おうじさまご希望だよな?
何でこの資料の王子達は学生じゃなくて成人してるんだ?

ああ、でもそうか。
今から“学園の王子様がくせい”に立ち返って“若気の至りおうじさま”を習得する位なら、“中世ヨーロッパの王子様ホンモノ”の仕草を真似た方がしっくり来るって事か。

王子、王子ねぇ。

・・・そう言えば小中高大と演劇関係で発表会があればと王子役してたぞ、俺。

『白雪姫』と『sleeping beauty』と『竹取物語』、『ロミオとジュリエット』位か。

なんだ、王子経験あるんじゃないか俺。

その時どんな感じで王子の仕草してたっけ?

・・・。

・・・アレ?

・・・微塵も覚えが無い・・・。

そもそも何で王子役しようと思った、昔の俺。

こんなに王の子供の身分に興味が無いのに。

・・・。

・・・あ?

・・・あ!

小学生の学習発表会でした『白雪姫』だ!

あの時、俺は『森の木』の役を希望していた。

でもクラスの誰かに推薦されて、多数決で王子役に決められたんだ。

それで渋々台本読んだら、王子役は劇の最後にチョロッと出て行って、姫役を起こせばいいだけの楽な役で、紙の冠と体操服とマントと言う軽装だった。

それに対して『森の木』はセリフは無いものの、劇中、舞台に割と出てないといけない役だった。
その上、木の衣装(木製の顔出し看板、重い)を、シーン毎に持って移動しないといけなかった。

それで森の木役は面倒くさくなって王子役を引き受けたんだ。

その時クラスメートに『王子役=俺』のイメージが付いちゃって、後は毎度王子役に推薦されるようになったっけ。

王子に思い入れは微塵も無かったんだった。

そりゃ俺覚えてないわ。

ええと、兎も角、王子だ。

王子役はどんな感じだっけ?

・・・。

・・・そういえば当時2才の健介が親と一緒に見に来てくれたな。

目をキラキラさせた健介が、舞台袖の俺を見付けて更に笑顔になったっけ。

もちろん俺は、健介が俺に気付くより先に、健介が学習発表会を見に体育館に入って来たことに気が付いて健介を見ていた。

それで俺が舞台に出た途端に、健介が親から離れて俺に向かって駆けてきたんだ(健介2才=天使)。

天使(健介2才)が舞台の直前で躓いて、顔で着地しそうになったのを、舞台から飛び降りてキャッチして・・・

抱き上げた天使に「にーに、しゅき。」ってギュッとされたんだったな。

可愛かったな、ベイビー天使。

あの頃の天使は俺の事「にーに」て呼んでたな。

アルバムどこに仕舞ったっけ。

あったあった、あ~可愛い。やっぱり天使。

・・・

ダメだ、王子に興味無すぎて健介に脱線する。

俺白雪姫起こしたっけ?









※この市井兄の王子役が健介の王子様好きの原点です。
さすがに『兄ちゃんは生徒会室で薔薇背負って紅茶飲んでる。』とは思ってない弟。



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