僕の恋、兄の愛。4

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水曜日ディナー本番。

市井兄と弟とウェイター。

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・・・それにしても、さっきから俺の天使けんすけとウェイターの会話が随分と盛り上がっている。

「デッカい象さんのデッカい壺がある~♪
大っきいねぇ~!」

「コチラはカメでございます、健様。」

「カメ?亀?あ、カメ~♪」

「このカメは、フランス王家よりご寄贈頂きました、中世ヨーロッパの品で、文化遺産の認定品となっております。
直径3m18cm、高さは2m35cmとなっています。」

俺を差し置いて健介とイチャイチャするなど許さん!

許さんぞウェイター!

カメ、入ってみてもいい~?」

「それも楽しそうだね。
でも私の姫君、お腹空いてるんじゃないかな?
先に食事にしませんか。
可愛いけどお転婆は控えめにね、姫。」

健介の目は本気だ。
『王子キャラの鉄則、会話は上品かつユーモアを忘れずに。』なんぞやってる場合か!
健介が甕に入っちゃうじゃないか!

「申し訳ございません、健様。
甕に入ったら・・・出るのが大変でして・・・!!」

そしてウェイター!
止める理由がおかしい!
文化遺産の認定品に入ったら不味いだろ!

「入った事あるの~?」

「清掃中、中に滑り落ちた者がおります。」

「はしごで脱出~?」

カメを傷付けないために、天井に滑車を設置し、滑車からロープをたらしました。
それでも落ちた者を引きあげるのに数人必要でした。
引き上げられた者も大変そうでしたよ。」

「そうなの~。
空中ブランコみたい~?」

「はい。」

「すご~い。」

「・・・空中ブランコは見て楽しむモノだよ、私の姫君。」

・・・ダメだ、俺ではツッコミ切れん・・・もう流そう・・・。

「コチラが本日の市井様のディナールームになります。」

「わ~♪
兄ちゃん見て見て~!!
東京タワーだよ、お~い♪」

ディナールームは、壁面がガラス張りになっており、東京タワーの夜景が一望できる。
圧巻だ。
室内が明るいと、ガラスに室内が映って夜景が見えなくなりそうなもんだが、この部屋のガラスは室内が明るくても外の景色が綺麗に見える。
反射を抑えた特殊なガラスが壁全面に使われているんだろう。
えぇ、凄。

健介は景色に喜びすぎて、俺をグイグイ引っ張って行く。
もう正直エスコート云々うんぬんでは無い。
と言うよりは、オモチャ売り場に祖父母を引っ張って行くか、散歩が嬉しくてリードをビンビン引っ張るの様だよ、健介。

そんなウチの天使、可愛い。
今すぐ撮影したい、静止画と動画で。
撮影したいが、それよりも。

「この部屋は姫の為に用意させたんだよ。(と言うセレブ設定。)
夜景は食事の後でゆっくり案内するからね。(俺が分かるところだけ。)」

「そうだ、僕お腹ぺこぺこだった~♪」

健介がハッとした顔で俺を見上げた。
ココに来る道中、コンビニ肉まんの陳列ケースに視線がくぎ付けだったもんね。

「食事の席からも夜景が見えるんだ。(多分)」

ウインクしてから夜景がより美しく見える方の席へと健を促す。

「きゃ~♪兄ちゃん格好いい~!
うん~♪」

椅子の後ろでウェイターが既に待っていた。
椅子を動かすのはウェイターの仕事だ。
だから俺のエスコートは健を席に連れて行くまで、と言うことか。

「市井様。
本日はフレンチのフルコースとなっております。
お楽しみ下さい。」

「ありがとう。」

「いただきま~す!」













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