僕の恋、兄の愛。4

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水曜日ディナー本番。

市井兄とソワソワ弟。

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そして、健介はフレンチのフルコースを満面の笑みで食べ切った。

フレンチのコースはオードブル(前菜)から始まり、スープ、ポワソン(魚料理)、ソルベ(口直し)、アントレ(肉料理)、デセール(デザート)で終わりとなる。
もちろん料理は一品ずつ運ばれてきた。

健介は、その都度パンをお代わりし、その上俺が食べきれなかったパンにまで手を延ばしてきた。

「兄ちゃん、ちょうだい?」

コテンと首を傾ける健介可愛い、超可愛い。

・・・そんなにお腹を空かせていたんだね。

こんなに食べるなら、ここに来る道中にチョコミント肉まんも買ってあげればよかった。

「どうぞ、私の健、愛しい姫君。
もっと何か注文する?」

「ううん、兄ちゃんのパンで大丈夫~♪」

ウェイターに目配せすると、コースの残り分、アントレ肉料理デセールデザートを健介の分だけ大盛りにしてきてくれた。
流石帝王ホテルのウェイター、悔しいが優秀だ。

それをペロッと食べる可愛い健介。

ウェイターが驚いた顔になる。
そうなんだ、うちの子最近凄くたくさん食べるんだよ。
うちの子はそんな所も超可愛いんだ。

そうだろう、そうだろう、可愛いだろう。
お前ウェイターにはやらんがな!

俺も大満足でディナーを終え・・・ようと思っていた。

ただ、コースの中盤から健介の様子がおかしい。

初めは料理に夢中の健介だったが、ウェイターがポワソン魚料理の皿を下げた辺りから、パンを囓りつつソワソワと落ち着かない。

いや、健介の場合、ソワソワしているのはいつもの事で、落ち着いているのは家事してる時か勉強中くらいだが、それにしても落ち着きがない。

・・・何だ?

喉でも渇いたのかな?と、取り合えず、飲み物を注文した。
健介が未成年だから、飲み物はシャンパンやワインでは無く、2人一緒にオレンジジュースだ。

「オレンジジュースでございます。」

「兄ちゃんと一緒だ~♪」

「乾杯する?
この宝石のような夜に。」

「うん♪♪
王子様みたいでステキ!!」

俺のセリフに大喜びだ。
クサい台詞、練習して良かった。
宗太郎(友人)、アドバイスありがとう。
ウキウキオレンジジュースを飲んでいた健介は、だが最終的に飲み干したグラスの底を覗いていた。

なんだろう・・・喉が渇いたのとは違うのか?

「私の姫、グラスが気になるの?
君の瞳の方が夜景よりも輝いて美しいよ。」
と、ためしに微笑んでみたが、俺を見て頬を染めた健介は、
「う、ううん~!
なんでも無い~!」
と挙動不審になっただけ。

料理は進んでいくが、健介のソワソワは止まらない。

終いにはデセールデザートの時に出た紅茶のティーポットまで覗いていた。

「飲み物を別に注文しようか?」

「ううん、僕もうお腹いっぱい~!」

何なんだろう。
何故そんなに水分が気になるんだろうか。

・・・そう言えば、健介はソルベ口直しアントレ肉料理デセールデザートも余す所なく見てから丁寧に切り分けて食べていた。

美味しそうに食べていたから、味に不服がある訳では無さそうだし・・・。

料理の皿やグラスに興味があるのか?とも思ったが、健介は陶器に興味が無い。
興味が無いのだから、知識も無い。
知らないハイブランドのロゴが気になる訳もない。

・・・何か探してるのか?

・・・食べ物に何か・・・?

食品か?
食品以外の物か?

ふと最近の健介の愛読書が頭を掠める。

まさかな・・・。

いやでも・・・。

チラッと健介を見ると、今度は俺のティーカップの底を覗いている。

・・・やっぱりそうだ。

結婚情報誌ゼクシ〇!!










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