僕の恋、兄の愛。4

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水曜日ディナー本番。

幕間③市井兄とウェイター4

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「急に健を留守番させたのは俺です。
もしもの時も、健を怒るなんて選択肢はありませんよ。」

??
おねしょ話題で、もしもの時って何だ。
健介高校生だぞ?
混乱したまま、取り合えず返事をした。

「ですが、もし・・・おねしょが・・・申し訳ございません。」

何でウェイターこいつは健介がおねしょする前提で話してるんだろう?

ソフトドリンク飲み過ぎたからって、高校の最高学年になってまで・・・大丈夫だろ?

・・・。

・・・いや、でも、もしも。

接客のプロが余りに真剣に訴えるから、俺までちょっと不安になってきた。

「あの・・・市井様・・・。」

「はい、何か?」

「失礼なお願いなのは、十分、十分承知しております。
意見すべきで無いことも理解しているつもりです。
ですが、一人の大人として、意見を申し上げて構いませんでしょうか。」

まだ何かあんのか?と返事返せば。

もう言う気満々のやつじゃねぇか。

「・・・どうぞ。」

何だよ。

「今夜、健介様は・・・。
いいえ、ハッキリ申し上げます!」

「ええ、どうぞ。」

だから何だよ。

「小学生高学年からのおねしょは、ご本人様も大変大きなショックをお受けになるはずです!
今夜の失敗だけは、怒らずに慰めて差し上げて下さいませんでしょうか!
好きな物に我慢が出来ない小さなお子様であると分かりながら!
沢山のお飲み物をお勧めした、わたくしの不徳の致すところでございます!!
お叱りはどうかわたくしめに!
この度は誠に、誠に申し訳ございませんでした!!」

・・・。

・・・。

・・・え。

・・・小学生?高学年?

「・・・分かりました。
重ねて言いますが、ディナールームに置き去りにして待たせたのは私です。
大丈夫です、弟を叱ったりしませんよ。」

あぁそうか。

同年代の平均と比べても随分低い身長の健介。

それに加えてエレベーターからディナールームへ案内されている間の健介の発言、夜景を見た時のリアクションで、ウェイターは健介を小学生と判断したのか・・・。

健介、実年齢より下に思われてそうだな、と想定はしていたが・・・。

小学生か・・・ドンマイ・・・健介。
 
と言うか、だ、健介は今日のディナーにの校章をバッチリ着けたで来ているんだが・・・。

余談だが、現在健介が通っている百鶴学園高校、通称“モモツル”。
俺の母校でも有るが、まぁそれはいい。

兎に角、モモツルは文武両道の進学校として、国内では有名だ。

モモツルの制服も、もちろん有名で、一部マニアに向けた模造品が出回るほどだ。

ウェイターかれは、その制服の知識が無いのか、知識があっても“健介=高校生”の公式にどうしても当てはめられなかったのか・・・。

ウェイターかれの中で、健介の制服はどっかの小学校の制服だろう、に落ち着いたんだな。

そっか。
小学生に暴飲させた気持ちなのか。
それは謝るかもしれないな。

だからおねしょの心配したのか・・・。

・・・。

・・・何だろう・・・どっと来た。

・・・昨日から色々と・・・濃い。






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