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side 亮太(息子)
過去との融合※
しおりを挟む液晶テレビの音声が続ける。
『ヨカった。カワいいリョウタくんに戻っタンだね。』
「・・・知らねぇ・・・」
『ウタクン。思い出シたんデショ?』
「ヤメロ!ヤメ・・・」
液晶テレビが切り替わり、画面の中の子供の俺が静かにこちらを見ていた。
『『お前ハ、リョウタじゃナイ。奴隷、ウタだ。』』
「「うう・・・。」」
『『チガウ。「はい。」ダ。今からワタシがウタのゴ主人様だヨ。』』
「「・・・はい。ご主人様。」」
少しずつ頭がボンヤリして誘拐されたときの僕と俺がシンクロする。
ご主人様の言いつけ、守・・・らな・・・き・・・
『ワカった?』
「う・・・アレは・・・違う・・・やめろ!」
『マダ足りなイみたイだね?』
「う・・・うるさいっ!」
スピーカーからキンと金属音のような耳障りな音が聞こえ、キン、キンと何度も繰り返される。
「お前なんかのいいなりになんか・・・」
キン、キン、キン・・・
『・・・自我が邪魔だな。しばらく表出を抑えろ。』
変声器越しだったご主人様の声が変わった。
「う・・・イヤだ・・・」
キン。と音がする度に、心と体が分離していく。
数分後、
『ウタ、返事は?』
「はい。ご主人様。」
『私と再会できて嬉しいかい?』
「はい。俺、嬉しいです。」
『“僕”だ、ウタ。私と再開できて嬉しい?』
「はい。僕、嬉しいです。」
嫌なのに態度に出せない。
自分の体が自分の意思で動かせない。
体だけが今の状況を受け入れていた。
『ちゃんと毎日後ろの準備はしてる?』
「していません。ごめんなさい。」
『私を忘れた弊害か。今回は許してあげる。でも次は無いよ。』
「はい。ありがとうございます。」
『椅子の座り心地はどう?』
「快適です。」
『じゃあ、手枷を外すから、その姿勢のまま、カメラに向かって後孔をほぐせ。
男性器に触っては、いけないよ。
ちゃんと後孔がカメラに映るように。』
「はい。ご主人様。」
仮面の男が器械台を僕の手が届くところへセットして部屋を出て行った。
カシャンと手枷が外れる。
心はしたくないのに、体はローションを手に取った。
指に絡め、自分の後孔の周りに塗り込む。
止めたいのに体は止まらない。
いやだ。シタクナイ!
『ウタ、ご挨拶も忘れたの?』
「ごめんなさい。」
『初めからしなさい。』
「ご主人様、僕のエッチなお尻の穴を準備致しますのでご覧下さい。」
ローションを絡めた人差し指を後孔に突き刺す。
でも指はなかなか入って行かない。
やめろ!もうソコで気持ちよくなるのはいやだ。
普段ならすぐ気持ちよくなって指2本でかき混ぜられるし、右指2本と左指2本でご主人様に見えるように穴を広げられるのに。
出来ることが出来ない、気持ち良くなれない。
なのに体はいつものようにぐいぐい指を動かす。
痛い!
『ウタ止まれ。』
俺がどんなに念じても止まらなかった指が、ピタリと止まる。
『ウタ。落ち着きなさい。
ウタは5年、ソコを準備してなかった。
前みたいに直ぐにソコは解れない。
ゆっくり開きなさい。』
・・・ソウダ・・・アレは5年前の経験だ・・・イマはそうできない・・・
でも、俺はソレを昨日のように感じていた。
子供の俺の記憶に今の俺がのみ込まれそうだ。
怖い。
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