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2年2学期
46話:お誕生日会にご招待①
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厳しかった寒さが和らぎ、少しずつ暖かくなってきた春の朝。そんな喜ばしい季節の始まりに、俺は少しだけ憂鬱な顔で目覚め、寮の机の上に置かれた白い錠剤を見る。
3月の初めのこの時期は、俺の中に半分流れている夢魔の血が元気になっちゃうらしくて、いつもより強いフェロモンを作り出す。普段は露出を少なくすれば普通に過ごせるくらいの影響力しかないそれが、勝手に濃くなり人の精神に害をなすのを防ぐため毎朝一回抑制剤を飲むのがこの時期の決まりだった。
「これ飲むと眠くなるんだよね……」
両親から口酸っぱく言われてるから飲み忘れた事は一度もないけど、もし忘れて魔力が暴走でもしたら、教室にいるだけでクラスメイトが幻覚を見ておかしくなっちゃうんだって。本当に迷惑な体質だよね。普段は目を逸らしてる自分のコンプレックスに嫌でも向き合わなくちゃいけないこの時期。約1ヶ月の服薬期間は俺にとって憂鬱な春の試練だ。
「あ、もうこんな時間……」
今日は休日だけど予定がある。時計の針に後押しされるよう俺は慌ただしく準備を始めた。
◇
「フレン、ボタンずれてるぞ。掛け直していいか?」
寮の俺の部屋で、普段と違う着慣れない正装用制服の着替えを手伝ってくれているクロードが俺のシャツに手を伸ばす。
「ん……ありがと……」
「薬……きついのか?眠かったら座ってていいぞ」
「そうする……」
俺はぼんやりとしながらその申し出を素直に受け取り返事をした。小さい頃からの付き合いだから、彼は俺がこの時期薬で眠くなりがちなことを知っている。俺はクロードに促されるまま椅子に腰掛け、正装に合わせて髪をまとめることにした。
「最近……それよく付けてるな」
シャツのボタンを締め、上着に取り掛かってくれているクロードが俺の指先を見つめる。視線の先にあるのは、真紅の石のはまった髪飾り……冬月祭でジンから渡されたプレゼントだ。出所はともかく、シンプルで高級感あるデザインは使いやすいため俺は割とよく使っていた。
「今日は正装だから……ちゃんとしたやつがいいかなって」
そう、今日は正装着用必須なお呼ばれの日。カイのお姉さん、レイラさんが仕えてる貴族のお嬢様の誕生日会だ。そんな所にお邪魔していいの?って誘われた時は俺もびっくりしたけど、お嬢様から信頼してる使用人とその知り合いを呼んだ大規模な交流会にしたいと直々の要望があったらしく、俺にも白羽の矢が立ったというわけだ。
話を聞くだけでもかなりの規模みたいで、俺は好奇心もあって参加の返事をした。レイラさんの関係者って事でカイも来るらしいし、ちょっとしたお祭りみたいな気持ちで俺は今日を楽しみにしていた。
「よし……終わったぞ。時間は大丈夫か?」
「うん、ありがとクロード。いってきます」
1人じゃ着るのが難しい正装への着替えも終わり、俺はクロードに見送られながら、誕生日会の会場へ向かった。
◇
「フレン君久しぶり~!正装も可愛いー!!」
会場で俺を迎えてくれたのはレイラさんだった。いつもの私服とは違う、ボディガードらしいビシッとした黒いスーツに祝いの装飾をつけた姿は大人っぽくてかっこいい。
「お久しぶりです。あの……こういうのって挨拶とか……」
俺は今日、レイラさんから誘われて来たけれど、お嬢様とは全く面識がない。こういう場も初めてで、ドキドキして尋ねる俺にレイラさんが笑顔で説明してくれる。
「フレン君きたら紹介しようと思ってた!こっち来て……ほらカイあんたも来る!!」
「……っせぇな。そんな大声出さなくても聞こえてるわ」
彼女の呼びかけにレイラさんの隣に立っていたカイが顔を覗かせる。
「カイおはよ……正装似合ってるじゃん」
「はよ……おう……お前も……その……」
「ほらぼさっとしない!さっさと来いっての」
レイラさんに引きずられるようにして俺達はこの誕生日会の主役であるお嬢様への挨拶に向かう。どんな人なんだろう。緊張するけど会えるのは楽しみ。
3月の初めのこの時期は、俺の中に半分流れている夢魔の血が元気になっちゃうらしくて、いつもより強いフェロモンを作り出す。普段は露出を少なくすれば普通に過ごせるくらいの影響力しかないそれが、勝手に濃くなり人の精神に害をなすのを防ぐため毎朝一回抑制剤を飲むのがこの時期の決まりだった。
「これ飲むと眠くなるんだよね……」
両親から口酸っぱく言われてるから飲み忘れた事は一度もないけど、もし忘れて魔力が暴走でもしたら、教室にいるだけでクラスメイトが幻覚を見ておかしくなっちゃうんだって。本当に迷惑な体質だよね。普段は目を逸らしてる自分のコンプレックスに嫌でも向き合わなくちゃいけないこの時期。約1ヶ月の服薬期間は俺にとって憂鬱な春の試練だ。
「あ、もうこんな時間……」
今日は休日だけど予定がある。時計の針に後押しされるよう俺は慌ただしく準備を始めた。
◇
「フレン、ボタンずれてるぞ。掛け直していいか?」
寮の俺の部屋で、普段と違う着慣れない正装用制服の着替えを手伝ってくれているクロードが俺のシャツに手を伸ばす。
「ん……ありがと……」
「薬……きついのか?眠かったら座ってていいぞ」
「そうする……」
俺はぼんやりとしながらその申し出を素直に受け取り返事をした。小さい頃からの付き合いだから、彼は俺がこの時期薬で眠くなりがちなことを知っている。俺はクロードに促されるまま椅子に腰掛け、正装に合わせて髪をまとめることにした。
「最近……それよく付けてるな」
シャツのボタンを締め、上着に取り掛かってくれているクロードが俺の指先を見つめる。視線の先にあるのは、真紅の石のはまった髪飾り……冬月祭でジンから渡されたプレゼントだ。出所はともかく、シンプルで高級感あるデザインは使いやすいため俺は割とよく使っていた。
「今日は正装だから……ちゃんとしたやつがいいかなって」
そう、今日は正装着用必須なお呼ばれの日。カイのお姉さん、レイラさんが仕えてる貴族のお嬢様の誕生日会だ。そんな所にお邪魔していいの?って誘われた時は俺もびっくりしたけど、お嬢様から信頼してる使用人とその知り合いを呼んだ大規模な交流会にしたいと直々の要望があったらしく、俺にも白羽の矢が立ったというわけだ。
話を聞くだけでもかなりの規模みたいで、俺は好奇心もあって参加の返事をした。レイラさんの関係者って事でカイも来るらしいし、ちょっとしたお祭りみたいな気持ちで俺は今日を楽しみにしていた。
「よし……終わったぞ。時間は大丈夫か?」
「うん、ありがとクロード。いってきます」
1人じゃ着るのが難しい正装への着替えも終わり、俺はクロードに見送られながら、誕生日会の会場へ向かった。
◇
「フレン君久しぶり~!正装も可愛いー!!」
会場で俺を迎えてくれたのはレイラさんだった。いつもの私服とは違う、ボディガードらしいビシッとした黒いスーツに祝いの装飾をつけた姿は大人っぽくてかっこいい。
「お久しぶりです。あの……こういうのって挨拶とか……」
俺は今日、レイラさんから誘われて来たけれど、お嬢様とは全く面識がない。こういう場も初めてで、ドキドキして尋ねる俺にレイラさんが笑顔で説明してくれる。
「フレン君きたら紹介しようと思ってた!こっち来て……ほらカイあんたも来る!!」
「……っせぇな。そんな大声出さなくても聞こえてるわ」
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「カイおはよ……正装似合ってるじゃん」
「はよ……おう……お前も……その……」
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