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宮川さんとの学校での日常
Vtuberに挨拶は大事
しおりを挟む最近は放課後にVtuberについて話すことが日常になっている。
僕たちは教室の窓際の席の一番後ろで隣同士だ。放課後になり空が赤くなっているころ宮川さんが話かけてきた。
「挨拶って大事よね」
「そうだね。僕は毎日、宮川さんに無視されているけどね」
宮川さんに毎朝教室でおはようと挨拶するが毎回無視されている。そろそろ返してほしいところだ。
「そっちじゃないわ。Vtuberの挨拶の話よ」
宮川さんは席に座りながら体だけこちらに向けてきた。
「なんだそっちね。なんか「こんばん○○ー」みたいなやつね」
Vtuberの動画を見たことがある人なら一度は耳にしたことがある、あれだ。すると宮川さんは珍しく拳を握りながら熱弁してきた。
「そう。Vtuberにとって挨拶は命よ。自分というキャラを一番最初に知ってもらう大事な儀式。それが挨拶よ」
まあ、そうかもしれないけど。僕は若干引き気味にこう言った。
「それは大げさな気もするけど。今はどんな挨拶をしてるの?」
「「みんなおはよう」とか「みんなこんにちは」とか喋っているわ」
宮川さんは得意げにそう言った。
「全然キャラが伝わってこないよ!さっき命とかいっていたのに!」
そんな普通の挨拶でどうする。宮川さんは喋れるようになってあまり時間もたっていないし、しかたないか。すると宮川さんは不満げに
「だって分からないもの。自分のキャラなんて」
と言った。たしかにそうかも。
「そう言われたらたしかに難しいかも。そういえばVtuberの外見どんな感じなの?」
どんな見た目だっけ?
「ただの頭にきつねの耳がついた女子高生よ」
そう言って宮川さんは両手を頭につけて耳を作った。かわいい。
「ただのじゃないよ!十分キャラがたってるよ!」
外見としては十分すぎるくらいだ。
「ならどんな挨拶がいいか。考えてちょうだい」
そういうのは自分で考えたほうがいいと思うけど。
「うーん。そうだなー。こんばんぴょんぴょんとか・・・」
僕は少し恥ずかしなりながら答えた。
「・・・・」
「黙らないでよ!真剣に考えてるんだから!」
何黙ってるんだ。せっかく案をだしたのに。
「だって恥ずかしいじゃないこんばんぴょんぴょんとか」
宮川さんは僕を責めるように言った。
「恥ずかしくないよ!その恥ずかしさを超えた先に初めてキャラと自分を一体化できるんだよ」
そうだ。恥ずかしいとか言っている場合ではないのだ。
「なんかいきなり熱いわね」
宮川さんは若干引いているようだ。いや引くなよ。
「ごめんよ。つい熱くなっちゃったよ」
「いや、ありがたいわ。そこまで真剣に考えてくれて嬉しいわ」
宮川さんは優しい声で言った。
「宮川さん・・」
珍しく宮川さんに感謝されて思わず顔が緩む。
「よし、挨拶はこんばんきーつねにするわ」
「だめだよ!なんか著作権的にアウトだよ!」
宮川さんの特訓は続く。
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