となりの宮川さんは人気Vtuberになりたい

usi(ウシ)

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宮川さんとのコラボ配信

「同級生男子とコラボしてみた」

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 突然だが、今日は宮川さんの初めてのコラボ配信だ。

 コラボ相手はまさかの僕。

 というよりも僕はVtuberでもなく、立ち絵すらないので声だけでのコラボだ。

 これをコラボといっていいのか?

 そう思っていると宮川さんから通話がかかってきた。

 「こんばんは」

 「こんばんは、宮川さん」

 僕たちはおなじみの挨拶をする。挨拶などもうお手の物だ。今は画面共有をしているので僕の画面にはコン子が映っている。

 「今日は私の初めてのコラボ配信よ。初めてのコラボ相手がVtuberですらないなんて。何を考えているのかし   ら」

 「誘ってきたのは宮川さんのほうでしょ!こっちが聞きたいよ!」

 僕はすぐに反論する。宮川さんも僕も他のVtuberにコラボのお誘いなんてできないからしかたがない。こうなることは必然なのだ。コン子は耳をピンと伸ばして僕にこう言った。


 「とにかく、失敗は許されないわ。この配信にあなたのおじいちゃんの魂を賭けてもらうわ。」

 「なんでおじいちゃんなの!賭けるなら僕の魂をかけるよ!」

 宮川さんはいつも通りみたいだ。しかし、僕は配信など初めてなので緊張している。大丈夫かな?

 「よし、じゃあ始めるわよ。最初はいつもどうりやるから、あなたは私がはなし終わるまで息を止めてなさい」

 「なんでよ!普通に喋らずに黙ってるよ」

 こうして宮川さんの初めてのコラボ配信が始まった。

 「みなさんこんにちは。Virtual Youtuberの「狐山 コン子よ」。今見ている人はチャンネル登録をしなさい。
じゃないと殺すわ」

 「ちょっと!いきなり脅しはだめだよ!やってることがヤクザとおんなじだよ!」

 僕は焦ってツッコむ。一部のファンの間では毒舌が人気らしい。コン子はよく今まで炎上とかせずにこれたな。

 「黙ってなさいって言ったでしょ。何勝手に話してるのよ、ポチの分際で」

 「最近ポチ呼びが定着してきてるよ!同級生をポチ呼びは確実に印象がわるいよ!」

 するとコン子は突然、画面に犬の絵を表示させた。結構うまい。

 「みんなに紹介するわ。この犬が私の同級生の「ポチ山 タマ五郎」よ」

 「偽名にしてもあんまりだよ!あと犬か猫なのかわかりづらいよ!」

 だれがポチだ。犬の絵を描く暇があったら普通に僕の立ち絵を描けよ。画面にはきつねの耳をつけて制服を着た美少女と、犬がいる。

 「この犬は初対面で、「ポチって呼んでください」って言ってきた変態よ」

 「そんなこと言ってないよ!勝手に事実を捏造するのはだめだよ!」

 そう言ってコン子は犬の絵を自分から遠ざける。なんでそういうのがうまくなってるんだよ。宮川さんのVtuberとしての成長をなぜか感じてしまった。するとコン子はドッグフードの絵を画面に表示して、僕に

 「ポチおすわり」

 と元気よく言った。なんだこのきつねは生意気な。

 「もう座ってるよ!宮川さんの命令で座ったわけではないよ!」

 「ポチスパチャ投げ」

 「コラボ相手にスパチャを強要するのはだめだよ!すぐに炎上しちゃうよ!」

 ものすごく遊ばれている。というか準備がすごいな。宮川さんも初めてのコラボ配信で気合が入っているようだ。

 「使えない犬ね。せっかくコラボしてあげてるんだから何かやりなさいよ」

 コン子は笑顔で僕に命令してくる。

 「コラボしてあげてるのはどっちかというとこっちだよ!何かっていわれても無理だよ!」

 僕はすぐに反論する。コラボ相手に無茶ぶりするんじゃないよ。

 「ほらあなたの特技を見せてあげなさい」

 「僕の特技?何だったっけ?」

 特技?というか打ち合わせしてくれよ。何も分からないよ。

 「ツッコミよ」

 「もう何回も見せてるよ!むしろツッコんでしかないよ!」

 コン子はものすごく笑顔で笑っている。かわいい。宮川さんもこのくらい笑えよ。

 「今日は顔みせだけの予定だったからこの辺で終わろうかしら」

 「僕はすごく疲れたよ。それに顔なんて見せてないよ。知らない犬の顔だよ」

 本当に疲れた。初めての配信だったが、コン子に引っ張られてちゃんと喋ることができた。コン子はすごいVtuberかもしれない。後は最後に挨拶をして終了だ。

 「それじゃあみんなバイバイきーん」

 「キャラと全然あってないよ!」

   宮川さんとのコラボ配信は続く


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