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となりの宮川さんは人気Vtuberになりたいストーリー版

宮川さんとワック

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前回のあらすじ 宮川さんにシャーペンでビンタされました。いたい

 「それで私を人気Vtuberにするってこと了承してもらえるのよね?」

 彼女は椅子に座り足を組みかえ、手にはシャーペンが握られている。

 「分かったよ!やるよ!」

 僕は観念して彼女の人気Vtuberへの道を手伝うことにした。

 すると彼女は嬉しそうに笑った。かわいい。

 「これからよろしくねポチ」

 「だからポチじゃないよ!」

 その日僕たちは連絡先を交換して家に帰った。僕は家につくとすぐにベットで横になる。疲れた。

 「ふーー。今日はいろいろあって疲れたな。ん?」

 携帯が震えている。だれかがメールしてきたらしい。

 僕はポケットから携帯を取って開くとメールの相手は宮川さんだった。メールの内容は「明日の放課後ワックで作戦会議するわよ。ポチにハンバーガーを食べさせてあげるわ」とのことだった。

 何でポチ呼びが定着してるんだよ!でもまさかあの宮川さんとワックに行くなんて。学年で一番可愛いと噂の彼女と。

 「分かったよ!でもポチ呼びはやめてね」

 僕は期待に胸を膨らませながら返信した。

 次の日、宮川さんは何もなかったかのようにいつも通りだ。いつも通り男子の告白を

 「無理です」

 の一言で断り、女子からの誘いも

 「いやです」

 と断っている。さすがの安定感だ。

 でも僕は知っている彼女の仮面の裏に隠された本性を。中身は狂暴でまるで悪魔のような女だ。そんな事を考えていると宮川さんに睨まれた気がした。

 「ひーーー。ごめんなさい嘘です」

 思わず心の中で謝罪した。本当に悪魔かもしれない。

 僕たちはつまらない授業をちゃんと受け、放課後になった。教室には僕と宮川さんの二人きりだ。

 「それじゃあ行くわよ」

 宮川さんはカバンをもって席を立った。

 「分かったよ」

 本当に宮川さんとワックに行くらしい。すると宮川さんは振り向いて

 「いいポチ?1メートル距離を取ってついてきなさい」

 と命令してきた。

 「なんでよ!本当に犬みたいだよ!」

 僕は精一杯反論した。

 そうして宮川さんの1メートル後ろを犬のようについて行くとワックに着いた。

 「ここがワックね。いい店じゃない」

 宮川さんは店内を眺めている。きたことないみたいだ。

 「宮川さんワック来たことないの?」

 少しばかにするように言ってみた。すると宮川さんはこちらを睨んでいる。

 「ポチ。しつけがなってないわね。またシャーペンを食らいたいのかしら」

 そう言って宮川さんはシャーペンを取り出した。

 「ひーー。ごめんなさい」

 そんなやり取りをした後、僕たちはワックに入って注文した後、席についた。宮川さんは興味深そうにハンバーガーを見ている

 「へー。なかなかいい出来じゃない。うちのハンバーガーとどっちがおいしいかしら?」
 
 うちのハンバーガーってなんだよ。宮川さんの家族にはハンバーガーを作る人がいるのか?

 宮川さんはハンバーガーにかぶりつくと美味しそうに頷いた。

 「うん。なかなかの美味しさね。やるじゃないワック」

 なんで上からなんだよ。天下のワック様だぞ。

 宮川さんはかぶりついたハンバーガーを見ると、ハンバーガーに入っているピクルスを取り出して僕に渡してきた。

 「ほらポチ。今日のお礼にピクルスをあげるわ」

 「それ好きじゃないだけだよね!食べたくないだけだよね!まあ食べるけど」

 僕はピクルスが好きなので手渡しでそれを受け取って食べた。

 「とにかく今日は私が人気Vtuberになるための作戦会議よ」

 宮川さんはハンバーガーを置いて真剣な顔をした。

 「作戦会議っていっても、そもそも何で人気Vtuberになりたいの?」

 そうだ僕はまだ肝心なことを聞いていない。すると宮川さんは一瞬だけ悲しい顔をした後真剣な顔でこう言った。

 「ある男を探すためよ」

 「ある男?」

 予想外の答えに驚く。ただ人気Vtuberになってちやほやされたいとかだと思ったけど、違ったみたいだ。ある男とはだれだろう?

 「今言えるのはそれだけよ」

 宮川さんはまたハンバーガーを食べ始めた。気になるが今きいても教えてくれないだろう。

 「でも人気Vtuberって具体的にどういうことなの?」

 人気Vtuberってちょっとあやふやだからな具体的な目標を設定する必要がある。

 「うーん。まあ百万人くらいじゃない?」

 宮川さんは飲み物を飲みながら適当に答える。

 「百万人なんてそんな適当に言っていい数字じゃないよ!」

 そうだ百万人など選ばれたVtuberしかたどり着けない神の領域だ。日本でも数えるほどしかいないだろう。

 「私は本気よ。どうしても人気Vtuberになる必要があるの」

 宮川さんの顔は至って真剣だ。本気というのは嘘ではないらしい。

 「分かったよ。乗りかかった舟だよ。できるだけ協力するよ!」

 僕は改めて人気Vtuberへの道を手伝うことを約束した。


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