となりの宮川さんは人気Vtuberになりたい

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となりの宮川さんは人気Vtuberになりたいストーリー版

宮川さんとゲーム

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前回のあらすじ ワックに行きました



 ワックに行った後、僕たちはまた後日話し合うとのことでその日は解散となった。それにしても何にも決まらなかったな。僕は電車に揺られながらワックでの出来事を思いだしていた。



 それにしてもこんな感じで人気Vtuberになどなれるのだろうか?頭は不安で一杯だ。



 疲れもあってか僕は家に着き、部屋に戻るとそのまま眠ってしまった。



 次の日の朝。メールを確認すると宮川さんから連絡が来ていた。内容は



 「放課後ゲームの練習をするわよ!毛を整えて待ってなさいポチ」



 という嬉しさと悲しさが混じった文章だった。まあ宮川さんと一緒にゲームできるならうれしいけど。



 僕は



 「了解です!」



 と画面をニヤニヤ見ながらそう送った。



 次の日。相変わらず宮川さんは学校では無口だ。今日も授業中に先生に当てられた時も



 「分かりません」



 と無表情で答えている。本当は分かるだろ、成績いいんだし。多分彼女は喋るのがめんどくさいだけなのだ。



 そうして僕たちは授業をこなした後放課後になった。外はまだ明るく雲が大きく見える。いつも通り教室で二人きりになるまで待つと宮川さんがいきなりこっちを向いてきた。



 「今日は家に帰ってゲームをするわよ!ゲームの腕前を上げてチャンネル登録者ゲットよ」



 宮川さんは不敵に笑っている。



 「そんなにうまくいくかなー。というより宮川さんの家に行くの?」



 どこでゲームをするのだろう。もしかして宮川さんの家にお邪魔するのか?



 「そんなのお互いの家で通話しながらに決まってるでしょ。あなたみたいな犯罪者を家に入れるわけないじゃない」



 宮川さんはありえないといった表情で僕を罵倒してくる。



 「なんでよ!僕は犯罪を犯した覚えはないよ!宮川さんは侮辱罪で逮捕だよ!」



 精一杯反論したところでそれぞれの家に帰った。



 家について早速パソコンを開いた。メールにはパソコンの通話機能を使うためのIDが送られていた。僕はパソコンに接続されたヘッドホンを耳につけ、僕がそのIDにログインすると宮川さんは既に待機しているようだ。



 「こんにちは」



 「こんにちは宮川さん」



 ヘッドホンから聞こえる宮川さんの声がいつもより近いので僕は緊張してしまう。それにしても宮川さんの声は本当に綺麗だな。数多のVtuberを見てきたこの僕が言うのだから間違いないと勝手に心の中でおもった。



 「ところで今日は何のゲームをするの?」



 僕はまだ肝心なことを聞いていなかった。僕は友達がいないため休日は部屋にこもってゲームをしている。自分で言っていて悲しくなるが、そうなのだ。Vtuberがやっているゲームはついやりたくなってしまう。



 「今日やるゲームはね。「Ainecraft」 よ」



 宮川さんの声からはどうだすごいだろうみたいな感情が伝わってくる。まあVtuberはほとんどやっているゲームだしセンスはいいと思う。「Ainecraft」は自由度の高いサバイバルゲームで、土や木、金属などはすべてブロックで作られている。そのブロックを採集することで武器を作ったり、建物を作ったりして遊ぶゲームだ。



 多くのVtuberは主に建築をして遊んでいる。しかしこのゲームは大人数でやるほうが楽しいゲームだけど大丈夫かな。僕は当然やったことがある。



 「僕は以前やったことあるからある程度は分かるよ。宮川さんは初めて?」



 「初めてよ。でも私なら余裕でクリアして見せるわ!」



 宮川さんの声は自信に満ち溢れていた。でもクリアとかはないんだよなー。まあ宮川さんのやる気を尊重して黙っておこう。僕は早速「Ainecraft」を起動してサーバーを建てる。このサーバーのアドレスを宮川さんに送ることで一緒に遊ぶことができるのだ。



 宮川さんがサーバーに入ってきた。当然初期設定なのできつねの耳などはついていないただのモブだ。



 「それでこれからどうするの?魔王を討伐するの?」



 「違うよ!このゲームは建築とかを楽しむゲームで魔王とかはいないよ!少しは調べてきてよ!」



 宮川さんは本当にこのゲーム知らないんだな。大方たまたま見た人気Vtuberがやっているのを見て私もという浅はかな考えが伝わってくる。



 「へー。それじゃあ何を建てるの?」



 「そうだね。まずは家を建てようか。とりあえず宮川さんは木を掘って」



 「分かったわ」



 僕は木の近くまで行ってクリックすることで木を採集していく。対する宮川さんと言えば。



 「何これ。全然手に入らないじゃない」



 宮川さんは怒っている様子でひたすら虚空を殴っている。宮川さん、足元に採集したものが落ちてますよ。



 「宮川さん。掘ったら地面に落ちている掘ったものを回収しないと手に入らないよ」



 僕は諭すように言うと、



 「先にいいなさいよね!」



 と言ってすぐに足元に落ちている木を回収した。そんなこんなで木を回収していると、



 「ねえ。この世界の人間凄すぎない?手で木を破壊って。バトル漫画の住人じゃない」



 「細かいところは気にしなくていいよ。木だけにね」



 決まった。僕の渾身のギャグ。すると



 「MIYAKAWA はサーバーから退会しました」



 というメッセージが出てきた。



 「ごめんよ!宮川さん。今のは冗談だよ!」



 慌てて弁明する。確かに今のは酷かったかもしれない。顔が無性に熱い。



 「よかったわ。凍死するかと思ったわ」



 宮川さんは安心しきった声を出した。そこまで言わなくても。



 その後僕たちは木で適当に空間を作った後、ドアを設置して、ベットを置いて、家が完成した。



 「やったーー!宮川さん完成したよ!」



 「そうね。完成したわね」



 宮川さんあまり喜んでいない様子だ。なんでだ?すると辺りは暗くなりモンスターが湧く時間になった。やばい伝えてなかった。



 「宮川さん。夜はモンスターが出てくるから気を付けてね」



 「モンスター?!どこにいるの?早く倒しましょう!」



 宮川さんは武器も持たず走り出してしまう。



 「ちょっと宮川さん。武器を持たないとちょっと待って!」



 慌てて宮川さんを追いかける。宮川さんは戦闘が大好きなようだ。宮川さんを見ると素手でモンスターと戦っている。どこかの戦闘民族かよ。



 「あっ」



 宮川さんは初めは善戦していたがモンスターに囲まれて死んでしまった。宮川さんはなぜか黙ったままだ。



 「宮川さん?まあ初めはこんなもんだよ」



 「MIYAKAWA はサーバーから退会しました」



 「宮川さん?!」



 宮川さんの人気Vtuberへの道は遠いようだ。
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