となりの宮川さんは人気Vtuberになりたい

usi(ウシ)

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となりの宮川さんは人気Vtuberになりたいストーリー版

卓球ASMR

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前回のあらすじ 卓球することになった。

 僕は部屋に戻った後、川上さんを呼ぶために部屋を訪れた。とりあえずノックするか。

 「コンコン。川上さんいる?」

 「・・・」

 返事がない。あれ?いないのかな?僕は試しにドアノブを捻ると開いた。鍵はかかっていないようだったのでドアを開けると中にはイヤホンをつけて全裸でうつ伏せになってパソコンをいじっている川上さんがいた。

 「がちゃ。・・あっ。・・・バタン」

 「ん?・・・あっ。・・ちょ!・・」

 ふーー。うん。今のは見なかったことにしよう。それにパソコンで全然見え無かったし。部屋の中でバタバタと音がなる。しばらくドアの前に立っていると、ちゃんと浴衣を着た川上さんが顔を赤くしながらでてきた。

 「・・・見た?」

 「見てないよ。パソコンで見えなかったし」

 「嘘だったら殺すわよ」

 そんな理不尽な。

 「本当だよ。というかなんで全裸だったの?」

 川上さんがびくっとした後俯きながら小声で言う。

 「・・家では風呂あがりはそうなのよ。それに暑かったし」

 「川上さんってやっぱり変態なんだ」

 「違うわよ!ていうか何しにきたのよ!乙女の部屋に勝手に侵入なんてそっちのほうがよっぽど変態じゃない!」

 川上さんが僕に向かって声を荒げる。

 「僕はちゃんとノックしたよ!そうだ!これから卓球ASMR配信するから行こうよ」

 「何それ?」

 そうして僕たちは卓球場に行くと宮川さんが不機嫌そうにベンチに座っていた。

 「えらく遅かったわね。もしかして何かあった?」

 「ぎくっ!いやー何もなかったっわよ・・」

 川上さんが目を泳がせながら言う。嘘下手すぎだろ。

 「ふーん。まあいいわ。はやく卓球ASMR配信をするわよ」

 宮川さんがなぜか僕を睨みながらパソコンの用意をしている。

 「まず。だれとだれで卓球するの?」

 二人に聞いてみた。

 「そんなの私とタマよ」

 「私とポチに決まってるじゃない」

 二人は同時に僕を指名してお互いに睨みあっている。やめて僕のために争わないで!

 「じゃあ。二人が対決して勝った方が、次僕とやろうよ」

 よし。これで丸く収まったな。

 「いいわね!ギタギタにしてあげるわ」

 「二度とラケットを持てない体にしてあげるわ」

 二人は睨みあいながらラケットを手に取り卓球台を挟んで向かいあった。大丈夫かなこの二人?まあ黙って見守ろう。

 「行くわよ!・・死ね!」

 川上さんがすごい気迫でサーブを打つ。しかし玉はぼてぼてだ。

 「うるさいわね。死ね!」

 宮川さんもすごいオーラを放ちながら玉を返す。しかし明らかにラケットに精一杯な感じだ。

 その後はお互いいかにも初心者みたいな戦いを繰り広げ、川上さんが勝った。

 「よっしゃー!勝ったー!よし!よし!」

 「馬鹿なこの私が変態なんかに・・」

 川上さんがものすごく喜んでいるとなりで宮川さんはこの世の終わりみたいに絶望している。いや、これただの卓球だよな。というか

 「ちょっと!二人とも!放送禁止用語多発しないでよ!こんなの配信できないよ!」

 「あっ。忘れてたわ。ごめん」

 「そうだったわね。でも動画にしといて良かったわ」

 良かった動画だった。二人の醜い争いが全世界に配信されるところだった。すると宮川さんが立ち上がり、川上さんにラケットを向ける。

 「再戦を要求するわ。勝ち逃げは許さないわよ」

 「いいわ。またギタギタにしてあげる」

 川上さんもやる気満々だ。あっ。僕はまた見学なのね。

 「普通にやってもつまらないわ。次はしりとりしながらやりましょう。お互い玉を返すときに単語を言うこと。それがルールよ」

 「へー、面白そうじゃない。いいわ受けてあげる」

 川上さんは完全に勝ち誇っている。宮川さんは黙ってラケットを構える。宮川さんから始めるらしい。
 「それじゃあ行くわよ。・・ブス」

 「ちょ!いきなりブスって!・・すし」

 「しね」

 「・・ねこ」

 「ごみ」

 「・・ミジンコ」

 「ばか」

 「・・・あほ!」

 「廃棄物!」

 「・・・うんこ!」

 ひどいなんだこの卓球は。お互い最初はしりとりをしていたが今ではただの悪口の言い合いだ。

 「・・帰ろう」

 僕は言い合っている二人をよそに勝手に部屋に帰った。どうせあの動画はお蔵いりだ。部屋に戻り綺麗な布団に入る。

 「ふーー。今日は疲れたし寝るか」

 僕は黙って目を閉じた。そして僕が完全に寝てしばらくした後。だれかが僕を呼んでいる。ん?だれだ?

 「ねえ。起きて。起きなさいよタマ」

 目を開けると浴衣姿の川上さんがいた。

 「え?」

 僕は訳も分からす思わずそう口にした。
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