となりの宮川さんは人気Vtuberになりたい

usi(ウシ)

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となりの宮川さんは人気Vtuberになりたいストーリー版

宮川さんの家

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爽やかな朝の陽ざしと共に僕は目を覚ます。普段とは違った天井。体を起こしてみると右手が何かを握っていることに気づいた。ん?なんだ?僕は布団をめくると、隣には黒髪の美少女が気持ちよさそうに寝ていた。

 「・・宮川さん!・・」

 僕はとっさに口を塞ぐ。宮川さんを見ると、まだすやすや眠ったままだ。あぶない。起こすところだった。でもどうしよう。右手が握られているから動くのもなー。しかたがないから寝顔を観察しよう。

 普段はキリっとしている目元も瞑っているととてもかわいい。こんな美少女の口癖が「殺す」なんてだれも信じないだろう。僕はなんとなく宮川さんの顔にかかった髪の毛をどかす。あっ。宮川さんと目があってしまった。

 「・・おはよう。宮川さん。いい朝だね・・」

 僕は精一杯の笑顔を彼女に向ける。次の瞬間、頬に強烈な痛みが走った。

 「いったーーー!!」

 僕は頬の痛みに耐えながら朝食に向かった。朝食はビュッフェ形式でおいしそうな料理がたくさん並んでいる。そういえば昨日は値段見てなかったけど大丈夫かな。最悪宮川さんにお金を借りよう。僕たちは適当に料理を取って席についた。

 「おいしそうな料理がたくさんあるね」

 宮川さんは僕の問いかけを無視して黙々とパンを食べている。まだ朝のことを怒っているらしい。

 「ごめんよ。勝手に髪を触ったのは本当に悪かったよ」

 自分の軽率な行いを反省する。綺麗だったからつい触ってしまった。宮川さんには言わないでおこう。

 「・・・そのパンを犬のように手を使わずに食べたら許してあげるわ」

 「いやだよ!周りの客がドン引きだよ!」

 僕はちゃんと手を使ってパンを食べた。宮川さんもパンを食べて機嫌が直ったみたいだ。

 「この後どうするの?」

 「普通に帰るわよ。お土産がたくさんあるからあなたもついてきなさい」

 ついてきなさい?ということは宮川さんの家に行くんだ!

 「いいの?宮川さんの家、前から行ってみたかったんだよ」

 「は?うちには入れないわよ」

 「ま、まあそうだよね」

 残念だけど、外観だけでも拝んで帰ろう。僕たちは朝ごはんを食べ終わった後、すぐにホテルを出た。夏なので外はまだ暑い。それに荷物が重い。

 さすがに全種類は買いすぎなんじゃないか。僕は思い荷物を必死に持ちながら電車に乗る。宮川さんは都内から少し離れた駅で降りた。そのまま彼女についていく。

 10分ほど歩いたところで少し山道に入った。

 「宮川さん。本当に家こっちなの?ここ山道みたいだけど」

 「合ってるわよ。いいからついてきなさい」

 そこから5分ほど歩くと、大きい門が現れた。

 「えっと。これどこかの公園の門?」

 「違うわよ。私の家の門よ」

 「でっかーーー!!!」

 門でうちの家くらいはある。というか家がまだ見えないし。門の先には一本道が続いていた。すると向こうからだれかが歩いてくる。よく見るとじいやだった。

 「お嬢様よくぞご無事で」

 じいやは深々とお辞儀をして宮川さんを出迎える。僕を一瞥すると

 「あのものに変なことされませんでしたか?じいやがやりますか?」

 やるって怖いよ。完全に殺るの方だよ。

 「いいわ。何もされなかったから」

 「あ、ありがとうございます」

 良かった。なんとか殺されるのは回避できたみたいだ。僕は荷物をじいやに手渡すとじいやは荷物を持って帰っていった。

 「えっと。宮川さんはこの家にお父さんと住んでるの?」

 ちょっと踏み込んで質問してみる。

 「いいえ。父は滅多に帰ってこないわ。私の顔を見ると母を思いだすんでしょうね。離婚してからは全然家に居ないわ」

 
 宮川さんは遠くを見つめながら言う。

 「そうなんだ」

 宮川さんにとって家はあまりいい思い出がないのかもしれないな。うーん。なんとかしてあげたい。そうだ!

 「宮川さん!今度川上さんとこの家に遊びに来ていい?」

 「え?い、いやよ」

 突然の申し出に宮川さんは慌てつつも断った。しかしここで引き下がる僕ではない。

 「今度、川上さんと二人で一緒に配信しようよ!オフコラボってやつだよ!」

 「えー。あの変態を家にあげるのはちょっと・・」

 宮川さんは心底いやそうな顔をしている。まあ分からなくはないけど。

 「大丈夫だよ!僕がなんとかするから!それに人気Vtuberになるためだよ」

 これでどうだ?

 「・・・わかったわ。じいやにも言っておくわ」

 宮川さんは観念した様子でオッケーしてくれた。

 「やったー!じゃあ日にちとかはまたメールするから!バイバイ宮川さん」

 「じゃあね」

 よし!今度宮川さんの家で配信だ!

 
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