今さら「間違いだった」? ごめんなさい、私、もう王子妃なんですけど

有賀冬馬

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青年との出会いは、まさに砂漠で湧き出た泉のようだった。カラカラに乾ききっていた私の心に、じんわりと潤いが広がっていくのを感じた。彼の言葉が、どれだけ私の心を救ってくれただろう。あんなに深く傷ついて、もう二度と立ち直れないんじゃないかと思っていたのに。

私は、彼にもう一度会いたくてたまらなかった。初めて会った場所で、また会う約束をした日。私は、少しだけおめかしをして家を出た。母には「散歩に行ってくる」とだけ告げた。別に隠すことじゃないけれど、なんだか内緒にしておきたかった。

森へ向かう道中、私の胸は期待と少しの不安でドキドキしていた。本当に彼が来てくれるかな? もしかしたら、ただの気まぐれだったのかもしれない。そんな考えが頭をよぎるたびに、不安で胸が締め付けられた。

でも、湖が見えてきた時、私はホッと息を吐いた。大きな岩のところに、彼が立っていたのだ。彼は私を見つけると、パッと顔を輝かせ、手を振ってくれた。

「サラ!」

彼の笑顔は、あの時と変わらず優しくて、私の心は温かい光に包まれた。

「こんにちは!」

私は駆け寄って、彼の隣に立った。

「来てくれて嬉しいよ。もしかしたら、もう会えないんじゃないかって心配してたんだ」

彼がそう言うと、私も同じ気持ちだったから、思わず笑ってしまった。

「私もです。お会いできて、本当に嬉しい」

それから私たちは、前と同じように岩に座って、たくさんの話をした。お互いの趣味や、好きな本のこと、子供の頃の思い出。話せば話すほど、彼と私は、まるで昔からの知り合いだったかのように、心が通じ合っていくのが分かった。

彼は、私が話すことすべてに、真剣に耳を傾けてくれた。私が商会で父の手伝いをしている話や、将来は自分も商会の仕事をもっと手伝いたいと思っていることを話すと、「それは素晴らしいことだね!」と、心から褒めてくれた。ラミエル様は、私が仕事の話をすると、少しつまらなそうな顔をしていたのに。

彼と話していると、自分の考えや夢を、もっともっと話したくなる。彼は、私をありのままの私として受け止めてくれる気がした。

「そういえば、君の名前は教えてくれたけど、まだ僕の名前を教えてなかったね」

青年が、少し申し訳なさそうに言った。

「僕は、リアム。この国ではない、別の国の者なんだ」

リアム。素敵な名前だと思った。私は彼の名前に、そっと心を傾けた。

「リアム様……」

私が彼の名を呼ぶと、彼は微笑んだ。

「様はいらないよ。普通にリアムと呼んでほしいな。君には、そう呼んでほしいんだ」

私は、ドキリとした。彼が、私にだけ特別にそう言ってくれているような気がして、胸がキュンとした。

「はい、リアム」

照れながらそう言うと、リアムは嬉しそうに笑った。

それからも、私たちは何度か森で会った。会うたびに、リアムのことがもっと好きになっていった。彼の優しさ、知性、そして、私のどんな話も真剣に聞いてくれるところ。彼の前では、無理に飾る必要も、賢く見せようとする必要もなかった。ただ、ありのままの私でいられた。

私は、リアムに、ラミエル様のことを話すこともあった。まだ心の奥底には、あの時の傷が残っていたから。リアムは、私の話を静かに聞いてくれた。そして、いつもこう言ってくれたんだ。

「サラは、何も間違っていない。君は、誰よりも立派だよ」

その言葉が、私の心を、少しずつ、少しずつ癒していった。もう、ラミエル様のことを考えても、以前ほど苦しくはなくなった。彼の存在が、私にとって、大きな支えになっていた。


ある日、リアムが私に言った。

「サラ、君に話したいことがあるんだ。とても大切なことだ」

彼の顔は、いつもより少し真剣で、私の心はドキドキした。もしかして、私たちがもう会えなくなるような話なのかな? 不安が頭をよぎったけれど、リアムのまっすぐな瞳を見ると、どんな話でも受け止めようと思えた。

私たちは、いつもの湖のほとりで向かい合って座っていた。鳥のさえずりだけが、静かに響く。

「実は、僕には、君に隠していたことがあるんだ」

リアムの言葉に、私は息をのんだ。隠していたこと?

「僕は、この国の人間ではないというのは、本当だ。でも、ただの旅人ではないんだ」

リアムは、少し視線を落とし、それから私を真っ直ぐ見つめた。

「僕は、隣国の王子、リアム・ヴァルディスだ」

その言葉を聞いた瞬間、私の頭の中が、真っ白になった。

王子様……?

リアムが、隣国の王子様? まるで、夢を見ているようだった。私の目の前にいる優しい青年が、まさか、そんなにも偉い方だったなんて。

私は、驚きと同時に、少しだけ戸惑いを感じた。王子様と、私のような商人の娘が、こんな風に会っていてもいいのだろうか? 身分の差が、大きくのしかかってくるような気がした。

リアムは、私の戸惑いを感じ取ったのか、すぐに言葉を続けた。

「驚かせてしまって、ごめん。でも、どうしても君に、本当の僕を知ってほしかったんだ」

彼の声は、真剣で、私の心を揺さぶった。

「君が僕に、ありのままの君を話してくれたように、僕も君に、隠し事をしていたくなかった」

リアムは、ゆっくりと私の手を取った。その手が、私を安心させるように、優しく握られた。

「僕は、王子の身分を隠して、色々な場所を旅していたんだ。この目で、世の中を見て、多くの人々と触れ合いたかった」

彼は、私に穏やかな笑顔を向けた。

「そんな旅の途中、僕は君に出会った。初めて君を見た時、君の悲しそうな瞳が、僕の心を捉えた。そして、君と話すうちに、僕は君の聡明さ、君の優しさ、そして、何よりも君の誇り高さに、強く惹かれていったんだ」

彼の言葉が、私の心に深く響く。私のことを、そんな風に思ってくれていたなんて。

「君が商人の娘であることも、以前婚約していたことも、僕にとっては何も問題じゃない。僕は、君という人間が好きなんだ、サラ」

リアムの瞳は、真剣で、私への真っ直ぐな想いが伝わってきた。彼の言葉は、ラミエル様から受けた傷を、ゆっくりと癒していくようだった。身分など関係なく、私自身を見てくれている。それが、どれほど嬉しかっただろう。

「だから……サラ」

リアムは、私の手をさらに強く握りしめた。彼の瞳は、私だけを映している。

「僕の妃になってほしい」

その言葉は、まるで魔法のように、私の心に降り注いだ。妃……。私が、王子様の妃に?

私の頭の中では、様々な考えが駆け巡った。王子様の妃になるということは、これまでの生活とは全く違う世界に飛び込むということ。私のような者が、本当に務まるのだろうか。

でも、同時に、私はリアムの隣にいたいと強く願っていた。彼の隣なら、どんな困難も乗り越えられるような気がした。彼の優しさと、私を信じてくれる気持ちが、私に勇気をくれた。

私は、リアムの真っ直ぐな瞳を、じっと見つめ返した。彼の瞳には、偽りのかけらもなかった。

「……はい」

震える声で、私は答えた。

「私でよろしければ、喜んで……喜んで、あなたの妃になります」

私の言葉に、リアムの顔が、パッと輝いた。彼は、私をそっと抱きしめた。彼の腕の中で、私は安心感と、これからの未来への希望を感じた。

「ありがとう、サラ。本当にありがとう」

私は、彼の肩越しに、きらきらと輝く湖面を見た。まるで、私の新しい未来を祝福してくれているかのように見えた。もう、過去の悲しみは、私の心を縛らない。私は、リアムと共に、新しい人生を歩んでいくんだ。そう、強く心に誓った。









リアムの妃になることを決意してから、私の生活はガラリと変わった。今まで暮らしていた商人の館を出て、隣国の王宮へと移り住むことになったのだ。父と母は、最初こそ驚いていたけれど、リアムの真剣な想いと、私の幸せを一番に考えて、快く送り出してくれた。特に母は、私のことを心配して、何度も抱きしめてくれた。

「サラ、辛くなったら、いつでも帰ってきなさいね」

母の言葉に、私は涙をこらえながら頷いた。でも、私はもう、弱音を吐くまいと決めていた。リアムの妃になるということは、それだけの覚悟が必要だ。

馬車に揺られて数日。きらびやかな装飾が施された王宮の門が見えてきたとき、私は思わず息をのんだ。高い壁に囲まれた、まるで別世界のような場所。私が今まで見てきたどんな建物よりも、大きくて、立派だった。

王宮の中は、想像以上に広かった。大理石の床はピカピカに磨き上げられ、壁には美しいタペストリーが飾られている。天井からは、まばゆいばかりのシャンデリアがぶら下がっていて、まるで星が降ってきたみたいだった。

私が住むことになった部屋も、おとぎ話に出てくるお姫様の部屋のようだった。天蓋つきのベッドに、大きな窓からは手入れの行き届いた庭園が見渡せる。でも、こんなに素晴らしい場所にいても、私の心は少しだけ落ち着かなかった。

私が王宮に着いた次の日、リアムは私を連れて、彼の家族に挨拶に行った。国王様は、少し厳しそうな顔をしていたけれど、リアムが私のことを「心から愛する女性です」と紹介してくれた時、優しく微笑んでくれた。王妃様は、とても上品で、私に温かい言葉をかけてくれた。

「サラさん、ようこそいらっしゃいました。リアムがあなたを選んだこと、きっと間違いではなかったのでしょうね」

そう言って、私の手を握ってくれた時、私の心はホッと温かくなった。

でも、王宮での生活は、簡単なものではなかった。王子の妃になるための勉強は、山のようにあった。歴史や地理はもちろん、他国の言葉、政治や外交のこと、そして、王族としての立ち居振る舞いやマナー。私は、毎日たくさんの本を読み、先生方の話に耳を傾けた。

「商人の娘に、王族の務めが果たせるのかしら?」

「きっと、すぐに音を上げて逃げ出すわよ」

そんな陰口が、聞こえてくることもあった。特に、貴族の令嬢たちは、私に冷たい視線を向けることが多かった。私が平民出身だということが、気に入らないのだろう。

ある日のこと、王宮の庭園で、私が一人で本を読んでいた時のことだった。数人の貴族令嬢たちが、私の周りを囲んだ。

「まあ、商人の娘が、こんなところで本を読んでいるなんて。一体、どんなことを学んでいるのかしら?」

一人の令嬢が、意地悪そうに言った。私は顔を上げ、彼女たちを真っ直ぐに見た。

「歴史の書物を読んでいました。この国の未来について、考えるために」

私がそう答えると、令嬢たちはクスクスと笑った。

「未来について? あなたのような者が、何を考えても無駄よ。どうせ、すぐに飽きてしまうでしょう?」

「そうよ。私たち貴族とは、生まれが違うのだから」

彼女たちの言葉は、まるで私を突き放すようだった。でも、私はもう、ラミエル様の前で泣いた、あの時の私ではなかった。

「確かに、私は商人の娘です。貴族の血は流れていません」

私は、はっきりとそう言った。

「でも、私が学んだ知識や、育ってきた環境は、きっとこの国にとって、役に立つ日が来ると信じています」

私の言葉に、令嬢たちは少し驚いた顔をした。そして、私を冷たい目で見て、何も言わずに去っていった。

「サラ、大丈夫かい?」

いつの間にか、私の隣にリアムが立っていた。彼は、心配そうに私の顔を覗き込んだ。

「うん、大丈夫よ。何でもないわ」

私が微笑むと、リアムは私の手を優しく握ってくれた。

「君は強いね。僕が選んだ女性は、やはり素晴らしい」

リアムの言葉は、私にとって、何よりも大きな支えになった。彼が私を信じてくれるから、私はどんな困難も乗り越えられる。そう強く思った。


王宮での生活に慣れていくにつれて、私は自分の居場所を見つけることができた。リアムは、どんな時も私の味方でいてくれた。私が困っていると、すぐに助けの手を差し伸べてくれたし、私の意見にも真剣に耳を傾けてくれた。

私は、リアムの妃として、彼の公務を手伝うことも増えていった。書類の整理や、会議の準備。最初は戸惑うこともあったけれど、持ち前の知識と、商人の娘として培ってきた計算能力や交渉術が、意外なところで役に立った。

「サラの意見は、いつも僕に新しい視点を与えてくれる。本当に助かっているよ」

リアムがそう言ってくれるたびに、私はもっと頑張ろうと思えた。

私は、王族としての教育だけでなく、自分にできることを積極的に探し始めた。例えば、王宮の書庫には、この国だけでなく、他国の歴史や文化、経済に関する本がたくさんあった。私は、それらを夢中になって読み漁った。

そして、その知識を使って、リアムに様々な提案をするようになった。

「リアム、この地域の農民たちは、毎年水害に苦しんでいると聞きました。もし、あの川に堤防を築けば、被害を抑えられるのではないでしょうか?」

私がそう提案すると、リアムは真剣に耳を傾け、すぐに専門家を集めて話し合いの場を設けてくれた。

また、私は、王宮の外にも目を向けた。貧しい人々が暮らす街の片隅や、孤児院を訪れるようになったのだ。そこで、彼らの話を聞き、何ができるかを考えた。

「あの子供たちは、十分な食事も取れていないそうです。王宮で余っている食材を、定期的に分けて差し上げることはできませんか?」

私がリアムにそう提案すると、彼はすぐに賛成してくれた。そして、私と一緒に、孤児院に物資を届けに行った。

「サラ様、ありがとうございます! サラ様のおかげで、温かいご飯が食べられます!」

子供たちのキラキラした瞳と、感謝の言葉は、私の心を温かく満たしてくれた。私ができることは、まだ小さいかもしれない。でも、誰かの役に立てることが、こんなにも嬉しいことだなんて知らなかった。

私が国民のために尽力する姿は、少しずつ王宮の貴族たちにも認められていった。最初は私を蔑んでいた貴族令嬢たちも、私を見る目が変わってきたように感じた。中には、私に話しかけてきて、協力を申し出てくれる者もいた。

王妃様も、私に優しい言葉をかけてくれるようになった。

「サラは、本当に賢くて、優しい子ね。リアムがあなたを選んだ理由が、よく分かったわ」

そう言ってもらえるたびに、私は努力が報われる喜びを感じた。

私は、王子の妃として、この国の国民から慕われる存在になっていった。街を歩けば、「サラ様!」と声をかけられ、笑顔で挨拶を返してくれる。私の周りには、信頼できる人たちがたくさんいた。



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