21 / 21
終幕〜先生のママになりたい〜
しおりを挟む
微睡み、夢現を行き来する、新緑の香る心地良い季節。トシヲは智のアパートに居た。
「一緒に流星群を見る」
その約束を果たした後も、トシヲは休みが重なる度に智の部屋を訪れていた。今は全裸に薄手のパーカーを羽織っただけの姿で、座布団に座っている。首筋や二の腕、内腿の皮膚の表面には小さく赤い痕が無数に散りばめられていた。
膝の上には、智が頭を乗せて寝転がっている。こちらは下着だけを身につけた状態だ。そこはかとなく情事の後を匂わせる、甘い空気に満ちていた。
さらり。トシヲの手が優しく智の髪を撫でた。
「トモちゃん先生」
うっすらと、智は目を開け、眩しそうにまばたきを何度か繰り返す。
「まだ、先生と呼んでくれるのか。嬉しいな……」
「卒業前夜、たくさん教えて貰いましたから。トモちゃん先生の欲望の方向性も、僕自身の気持ちの変化への気付きも、全部」
「トシヲは勉強熱心だ、そういう所も全部……その、好きだぞ」
「僕も、智ちゃん先生の変態的な所も含めて、好きですよ」
トシヲは智の頬に両手を伸ばし、手のひらで優しく包み込んで智の唇に口付けた。優しい口付けの味は、サイダーの甘さがした。
「変態的なのはお互い様だろ」
「一つ不満があるとしたら……トモちゃん先生がまだ僕の事をママって呼んでくれない所です」
眼鏡越しの、トシヲの真剣な眼差しに智は目を泳がせている。
「僕はね、全人類のママになりたかった……数ヶ月前までの話ですね。今は……トモちゃん先生のママに、なりたい」
「……あぁーーー…………」
真剣なトシヲの口調に反して、智は自分の顔面を腕で覆い隠し、情けない呻き声を上げた。
「好きな人を癒したい、受け入れたいって、今ならハッキリ分かりますからね」
「ターゲットが絞られた、という事か。呼びはしないが、他の奴に言いまくられるよりかは……安心出来る」
スッと、トシヲの手が後ろに伸びる。手繰り寄せたものは一冊の絵本。トシヲは、智の目線から絵が見えるように絵本の表紙を開いた。
「トモちゃん先生、読み聞かせぐらいは付き合って下さい」
「……そのぐらいなら、まあ……」
トシヲの手のひらが、智の頭をポンポンと撫でる。スゥ、と軽く息を吸う音の後には、穏やかで優しい声が絵本の中の物語を紡いでいく。
「これは、僕と、トモちゃん先生の為の物語…………」
【END】
「一緒に流星群を見る」
その約束を果たした後も、トシヲは休みが重なる度に智の部屋を訪れていた。今は全裸に薄手のパーカーを羽織っただけの姿で、座布団に座っている。首筋や二の腕、内腿の皮膚の表面には小さく赤い痕が無数に散りばめられていた。
膝の上には、智が頭を乗せて寝転がっている。こちらは下着だけを身につけた状態だ。そこはかとなく情事の後を匂わせる、甘い空気に満ちていた。
さらり。トシヲの手が優しく智の髪を撫でた。
「トモちゃん先生」
うっすらと、智は目を開け、眩しそうにまばたきを何度か繰り返す。
「まだ、先生と呼んでくれるのか。嬉しいな……」
「卒業前夜、たくさん教えて貰いましたから。トモちゃん先生の欲望の方向性も、僕自身の気持ちの変化への気付きも、全部」
「トシヲは勉強熱心だ、そういう所も全部……その、好きだぞ」
「僕も、智ちゃん先生の変態的な所も含めて、好きですよ」
トシヲは智の頬に両手を伸ばし、手のひらで優しく包み込んで智の唇に口付けた。優しい口付けの味は、サイダーの甘さがした。
「変態的なのはお互い様だろ」
「一つ不満があるとしたら……トモちゃん先生がまだ僕の事をママって呼んでくれない所です」
眼鏡越しの、トシヲの真剣な眼差しに智は目を泳がせている。
「僕はね、全人類のママになりたかった……数ヶ月前までの話ですね。今は……トモちゃん先生のママに、なりたい」
「……あぁーーー…………」
真剣なトシヲの口調に反して、智は自分の顔面を腕で覆い隠し、情けない呻き声を上げた。
「好きな人を癒したい、受け入れたいって、今ならハッキリ分かりますからね」
「ターゲットが絞られた、という事か。呼びはしないが、他の奴に言いまくられるよりかは……安心出来る」
スッと、トシヲの手が後ろに伸びる。手繰り寄せたものは一冊の絵本。トシヲは、智の目線から絵が見えるように絵本の表紙を開いた。
「トモちゃん先生、読み聞かせぐらいは付き合って下さい」
「……そのぐらいなら、まあ……」
トシヲの手のひらが、智の頭をポンポンと撫でる。スゥ、と軽く息を吸う音の後には、穏やかで優しい声が絵本の中の物語を紡いでいく。
「これは、僕と、トモちゃん先生の為の物語…………」
【END】
0
この作品は感想を受け付けておりません。
あなたにおすすめの小説
伝説のS級おじさん、俺の「匂い」がないと発狂して国を滅ぼすらしいい
マンスーン
BL
ギルドの事務職員・三上薫は、ある日、ギルドロビーで発作を起こしかけていた英雄ガルド・ベルンシュタインから抱きしめられ、首筋を猛烈に吸引。「見つけた……俺の酸素……!」と叫び、離れなくなってしまう。
最強おじさん(変態)×ギルドの事務職員(平凡)
世界観が現代日本、異世界ごちゃ混ぜ設定になっております。
逃げた弟のかわりに溺愛アルファに差し出されました。初夜で抱かれたら身代わりがばれてしまいます💦
雪代鞠絵/15分で萌えるBL小説
BL
逃げた弟の身代わりとなり、
隣国の国王である溺愛アルファに嫁いだオメガ。
しかし実は、我儘で結婚から逃げ出した双子の弟の身代わりなのです…
オメガだからと王宮で冷遇されていたので、身代わり結婚にも拒否権が
なかたのでした。
本当の花嫁じゃない。
だから何としても初夜は回避しなければと思うのですが、
だんだん王様に惹かれてしまい、苦しくなる…という
お話です。よろしくお願いします<(_ _)>
【完結 一気読み推奨】片想いの相手が「そろそろ恋愛したい」と言ったので、用済みの俺はニートになることにしました。
はぴねこ
BL
高校生の頃、片想いの親友に告白した。
彼はノンケだったから玉砕して友人関係も終わるものだと思っていた。
もしかすると気持ち悪いと軽蔑される覚悟までしていたのに、彼は「今は恋愛をしている時間がないんだ」と自分の夢を語ってくれた。
彼は会社を興した祖父のことをとても尊敬していて、自分も起業したいと熱く語ってくれた。
そして、俺の手を握って「できれば親友のお前には俺の右腕になってほしい」と言われた。
同性愛者の俺のことを気持ち悪いと遠ざけることもせずに、親友のままでいてくれた彼に俺は感謝して、同じ大学に進学して、大学の頃に彼と一緒にゲームを作成する会社を起業した。
あれから二十年間、本当に二人三脚で駆け抜けてきた。
そして、昨年売り出したVRMMOが世界的に大ヒットし、ゲーム大賞を取ったことを祝うパーティーで親友が語った言葉に俺の覚悟も決まった。
「俺もそろそろ恋愛したい」
親友のその言葉に、俺は、長年の片想いを終わらせる覚悟をした。
不憫な拗らせアラフォーが”愛”へと踏み出すお話です。
男子高校に入学したらハーレムでした!
はやしかわともえ
BL
閲覧ありがとうございます。
ゆっくり書いていきます。
毎日19時更新です。
よろしくお願い致します。
2022.04.28
お気に入り、栞ありがとうございます。
とても励みになります。
引き続き宜しくお願いします。
2022.05.01
近々番外編SSをあげます。
よければ覗いてみてください。
2022.05.10
お気に入りしてくれてる方、閲覧くださってる方、ありがとうございます。
精一杯書いていきます。
2022.05.15
閲覧、お気に入り、ありがとうございます。
読んでいただけてとても嬉しいです。
近々番外編をあげます。
良ければ覗いてみてください。
2022.05.28
今日で完結です。閲覧、お気に入り本当にありがとうございました。
次作も頑張って書きます。
よろしくおねがいします。
ブラコンすぎて面倒な男を演じていた平凡兄、やめたら押し倒されました
あと
BL
「お兄ちゃん!一肌脱ぎます!」
完璧公爵跡取り息子許嫁攻め×ブラコン兄鈍感受け
可愛い弟と攻めの幸せのために、平凡なのに面倒な男を演じることにした受け。毎日の告白、束縛発言などを繰り広げ、上手くいきそうになったため、やめたら、なんと…?
攻め:ヴィクター・ローレンツ
受け:リアム・グレイソン
弟:リチャード・グレイソン
pixivにも投稿しています。
ひよったら消します。
誤字脱字はサイレント修正します。
また、内容もサイレント修正する時もあります。
定期的にタグも整理します。
批判・中傷コメントはお控えください。
見つけ次第削除いたします。
弟がガチ勢すぎて愛が重い~魔王の座をささげられたんだけど、どうしたらいい?~
マツヲ。
BL
久しぶりに会った弟は、現魔王の長兄への謀反を企てた張本人だった。
王家を恨む弟の気持ちを知る主人公は死を覚悟するものの、なぜかその弟は王の座を捧げてきて……。
というヤンデレ弟×良識派の兄の話が読みたくて書いたものです。
この先はきっと弟にめっちゃ執着されて、おいしく食われるにちがいない。
劣等アルファは最強王子から逃げられない
東
BL
リュシアン・ティレルはアルファだが、オメガのフェロモンに気持ち悪くなる欠陥品のアルファ。そのことを周囲に隠しながら生活しているため、異母弟のオメガであるライモントに手ひどい態度をとってしまい、世間からの評判は悪い。
ある日、気分の悪さに逃げ込んだ先で、ひとりの王子につかまる・・・という話です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる