私の好きな彼女の瞬間

小説かきお

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私の好きな彼女の瞬間

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「おーい、夕飯手伝ってー!」
「はーい」
リビングに私の声が届いた直後、女性の声で返答がある
程なくして声の主が近くに寄ってきて
「何すればいい?」
「じゃあ、これ切ってくれない?」
「オッケー」
そんな会話をして各々準備をする
「…まぁ、嘘だけど」
ボソッと呟いたその声は、どうやら彼女には聞こえなかったようだ

私と彼女は付き合ってもう数年になる
数年もすれば付き合いたてのときめきも無くなり、夫婦のようになるカップルも多いが、私はそうではなかった
さっき呟いた言葉が全てであるが、私は彼女のことが好きである
恋愛的な意味でもそうなのだが、なんというかこう、俗に言う「惚れ直す」ってやつが付き合ってから数年になる今もよくある
彼女の笑顔や集中している姿、風呂上がりだったりとそれは様々あるが、今回彼女をキッチンに立たせた理由もまさにそれで、自分の好きな彼女の姿の一つが「料理をしている彼女」だったりする
本当は彼女の手伝いなくとも自分で料理を作れるのだが、彼女の料理姿が見たくてわざわざ呼ぶ
申し訳ないなと思いつつ、この癖はなかなか治らないのであった

「ちょっとー?手止まってるよー?」
言われてハッとする
どうやら彼女を見つめていたら不審がられてしまったようだ
さっきから手を動かさず彼女に見入ってしまっている私に対して、彼女が怒る
「もう!そっちが手伝ってって言ったのに!」
「ごっごめん…!」
まさか「彼女の料理姿に見入ってました」なんて言えるわけもなく、素直に謝罪する
「まったく…」
彼女はすっかりむくれてしまったが、私は内心彼女の料理姿が見れたことに喜びを感じつつ、自分の気持ちがバレてないかと少し不安になるのであった

「「ごちそうさまでした!」」
食前まで怒っていた彼女も、ご飯を食べたことで怒りがおさまったようだった
「おーい」
と、使った食器を洗っている私に対して彼女はソファの上で手を振っており、手には某有名映画が握られている
「はいはい、もうちょっと待っててねー」
今日は彼女と映画鑑賞、楽しみな私は食器洗いを急いで終わらせ、彼女のもとに向かうのだった

映画鑑賞中も私の気持ちは止まらない
私がふと横を見ると、彼女が映画を見ている
面白い時は笑みを浮かべ、悲しい時は涙が溢れる
言ってしまえばそれだけのごく普通の反応が、私にとってとても好きな時の一つだ
もちろん彼女との映画鑑賞も楽しいのだが、場面に合わせてころころと表情と変える彼女を見ていると、改めて「あぁ、彼女と付き合って良かったな」と愛おしくなる
私がじっとみつめていると、彼女が話しかけてくる
「ん?なぁに?」
だから私は満面の笑みで
「べっつにー?ただ、やっぱり大好きだなぁって!」
という
彼女が
「も、もうっ!」
と言って顔を逸らしたので
「恥ずかしがってる顔も可愛いなぁ」と呟き、映画に集中するのだった

お風呂から上がりスマホを触っていると、ちょうどお風呂から上がった彼女が近寄ってくる
彼女のパジャマ姿、濡れた髪にドキドキが止まらない
彼女は私の隣に座り
「今日どうしたの?何かあった?」
と言うので私は平然を装いつつ
「んーん、なんでもない、さっ、もう寝よ!」
と言った
彼女は怪訝に思いながらも
「ま、なんか今日楽しそうだったしいいけどさ」
といい髪を乾かし始めた

電気を消し、毛布の中で思考する
「今日も楽しかったな…色々な彼女の顔を見れたし」
今日の様々な彼女の顔を思い浮かべ、にやにやする
余談だが彼女とは大きめのベッドを2人で使っている
「明日は何をしようかな…」
少し考えるが
「明日のことは明日考えればいいよね」
そう結論づけ、私は眠りにつくのだった
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