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遅いお昼と言うよりも早い夕食と言った方がいいだろう。
昼の四時過ぎということもあり、どこの飲食店も空いていた。
マティアスさんとユリアンがひくくらい私はがっつりと食事をとった。
食後のおやつもいただき、私は満腹感と幸福感に包まれていた。
「俺より喰った……」
なんていうユリアンの呟きが聞こえてくる。
「だってお腹すいていたんだもの。そんなに食べられないかなと思ったんだけれど……料理見ていたらどんどんお腹すいてきちゃった」
まあ、料理がそれだけおいしいとも言えるんだけれど。
人が作った料理はおいしい。
「俺、このあと家に行ってくるよ。お母さんはまだなんか捜査があるとか言ってて、家の掃除とかしないとだから」
ユリアンの家は私やリュシーが時々掃除をしたり空気の入れ替えをしていたのでそんなに埃が積もっているとかはないだろうけれど、赤ちゃんを迎え入れるなら準備が必要よね。
「手伝いはいる?」
と尋ねると、ユリアンは首を横に振った。
「ううん、大丈夫! 近所のおばちゃんが手伝ってくれるって言ってくれたし。姉ちゃん疲れてるでしょ? それに俺が姉ちゃん連れていったらマティアスさんに悪いもん」
にこやかに笑ってユリアンは言うと、マティアスさんの方を見て、
「ねー」
と、同意を求めた。
マティアスさんも笑顔で頷き、
「そうだねー」
なんて答えている。
何なのこのふたり。
私はひとり俯いて、お茶をちびちびと飲んだ。
と言うわけで今、家に私とマティアスさんのふたりきりだ。
太陽が傾き始めたため、窓から差し込む日の光は橙色に染まっている。
何となく落ち着かないなかマティアスさんがお茶を淹れてくれると言うので、私は食堂の椅子に腰かけて彼がお茶を運んでくるのを待っていた。
なんだか濃い二日間だった。
いや、三日間、かな?
デュクロ司祭がやってきてから物事がすごい勢いで動いた気がする。
デュクロ司祭が来て、次の日にお母様が家に来て。教会にブノワ商会の使者が来て、ブノワ商会のガストン=ブノワさんの屋敷に連れて行かれて。
ニコラさんに会って、アレクシさんに会って。
思い出していたら疲れてきた。
「マティアスさん」
「んー? 何?」
「マティアスさんはなぜお母様がこちらにいらしたのか、デュクロ司祭がいらしたのか、全部ご存じなんですか?」
「デュクロ司祭の件は俺は正直よく知らないんだよね。俺が中心に動いていたわけではないし」
あ、そうなのね。てっきりマティアスさんが黒幕だと思っていたのだけれど。
「きっかけは前に言ったようにフラムテールであった獣人の人身売買の摘発だったんだ。獣人はこの国の住人で、ということはここで誰かが彼らを誘拐しているっていうことだよね。
ブノワ商会の関与がわかったんだけれど証拠がないし、目撃者もいない。
フラムテールからこの町の警察に問い合わせをしていたんだけれど、色よい返事はなくって。これはおかしくないか、ということで俺が潜入捜査することになったんだ」
言いながら、マティアスさんは湯気の立つカップを私の前に置いてくれた。
そして、私の隣の席に腰かける。
ってなんで隣り。
「サシャが連絡役になって、うちの国や、君のご両親と連絡と取っていたんだよね。そのなかで国をまたいで行われる犯罪を捜査する機関を作ろうと言うことになったみたい。それで中心になったのが君のお母様だったんだ」
「いや、なんでお母様が……」
「それは、大公直属の機関と言うことで、力を持たせたかったんじゃないかなあ。この国で彼女に逆らえる人なんていないでしょ?」
どこの国でも妻の方が強いというのは変わらないのかな。
お父様はお母様にめっぽう弱いし、お母様がやると言ったら、お父様は頷くしかないだろう。
「デュクロ司祭がいらっしゃることだって俺は知らなかったんだよね。数日前にサシャが来て、その時に商会でも病気が流行り始めているんだよーって話をしただけだったんだけれど。ニコラさんにうつる可能性を考えたのかな」
それはなんてご都合主義でしょうか。
まあでも、実際ニコラさんは風邪にかかり、しかも薬が効かなくて、たまたま来ていたデュクロ司祭が招へいされることになったって出来すぎでしょう。
「そうじゃなくても、ブノワさん自身がデュクロ司祭に会いたがる可能性を考えたのかもしれないけれど。なんといっても癒しの聖人で、有名人だし」
あ、まだその説の方が納得できる。
「でも、デュクロ司祭を協力させて屋敷に侵入させるって無謀では……」
「そうだねえ。君のお母様から彼に協力をいただいている、って話を聞かされた時はちょっとどうしようかと思ったけれど。まあ、俺がニコラさんたちの幽閉されている場所を掴めなかったのが悪いんだけどね」
そういえば、いたるところに魔法が掛けられているとかなんとか言っていたっけ。
「侍女からは話が聞けないし、喋れない子を雇っていたみたいで。この間君が見たという幽霊の話のおかげでいそうな場所はわかったけれど……でも、獣人たちが屋敷にいるっていう確証はなかったからデュクロ司祭が潜入するっていう計画は実行されたというか、むしろ彼は乗り気だったと聞いたけれど」
「そうですね、デュクロ司祭なら喜んで協力しますね。傍からきいたら面白そうですから」
「そうそう。面白そうだからやるって張り切っていたらしいよ。で、デュクロ司祭と君が屋敷に入ったあと強制捜査で踏み込んだってわけ」
「でもそれってデュクロ司祭が行かれなくても、強制捜査で踏み込むだけでもよかったのでは……」
「それだと獣人たちをつれて逃げられるかもしれないと思ったんじゃないかなあ。デュクロ司祭には時間を稼いでいただくという目的もあったし」
まあ確かに時間稼ぎにはなっていたなあ。ものすごく怖い目にはあったけれど。
「君がいてくれたおかげで『娘を返せ』とか言って居場所を聞き出すこともできたし、杖で床を叩く音で居場所を知らせてくれていたし」
「デュクロ司祭が床を叩いていたのって意味があったんですか?」
マティアスさんの方を向いて言うと、彼は私の方を向いて、頬杖をついた。
「うん。音は響くからね。魔法で聴力を上げることができるから、それでサシャが居場所を突き当てて……でも彼、見つける扉をすべて破壊して回るから少し時間がかかっちゃった」
なんてことを、にこやかな笑顔で言う。
……サシャさん、なにか嫌なことでもあったのかな。私の事、嫌っているみたいだったな、そういえば……
不意に、マティアスさんの左手が伸びてきて、私の髪の毛にそっと触れる。
「よかったの? 俺に魔法使って」
「え? なんでそんなことを」
「だって、自分の命を削るわけでしょ? 俺の傷の為にそんな代償を支払う必要あるのかなって思ったから」
私は髪を撫でるマティアスさんの左手首をぎゅっと掴んだ。
この腕が怪我をした腕だ。
私はそのまま彼をまっすぐ見つめてきっぱりと言った。
「私を……私たちを守るために怪我をしたわけじゃないですか。治すのは当然です。貴方が命の危険を顧みず私たちを守ったんです。だから私は、命を削ってでも貴方を癒します」
そんなの当たり前の事じゃないの。
今の私に、魔法を使うことに対しての迷いはない。
マティアスさんは目を瞬かせた後、優しく微笑み頬杖をといて右手で私の頬に触れた。
「ありがとう。変なことを言ってごめん」
「いいえ……あの、私こそ助けていただきありがとう……」
言いかけた唇が、何かに塞がれる。
まさかこのために私の隣の椅子に腰かけたとか……ないですよね?
長い口づけの後、私は彼から手を離してばっと椅子から立ち上がり、
「お風呂の用意をしてきます!」
と裏返った声で言って逃げるようにして食堂を後にした。
夜。
ユリアンは一度戻ってきて、家に泊まると告げて帰って行った。
ということは、今夜も私とマティアスさんのふたりきりである。
湯につかりながら、私はどうしようかと思い悩んでいた。
いや、いったい何を悩むことがあるのだろうか?
普通にしていればいいじゃないの。
普通に……ふつう……
「あー! もう、意識しちゃうじゃないの」
とひとりで叫び、口までお湯の中に沈み込む。
息を吐けばぶくぶくとお湯が泡立つ。
ふたりきりの夜なんて初めてじゃないじゃないの。
そう、初めてではないのだから考えても仕方ない。
私は勢いよく湯船から出た。
昼の四時過ぎということもあり、どこの飲食店も空いていた。
マティアスさんとユリアンがひくくらい私はがっつりと食事をとった。
食後のおやつもいただき、私は満腹感と幸福感に包まれていた。
「俺より喰った……」
なんていうユリアンの呟きが聞こえてくる。
「だってお腹すいていたんだもの。そんなに食べられないかなと思ったんだけれど……料理見ていたらどんどんお腹すいてきちゃった」
まあ、料理がそれだけおいしいとも言えるんだけれど。
人が作った料理はおいしい。
「俺、このあと家に行ってくるよ。お母さんはまだなんか捜査があるとか言ってて、家の掃除とかしないとだから」
ユリアンの家は私やリュシーが時々掃除をしたり空気の入れ替えをしていたのでそんなに埃が積もっているとかはないだろうけれど、赤ちゃんを迎え入れるなら準備が必要よね。
「手伝いはいる?」
と尋ねると、ユリアンは首を横に振った。
「ううん、大丈夫! 近所のおばちゃんが手伝ってくれるって言ってくれたし。姉ちゃん疲れてるでしょ? それに俺が姉ちゃん連れていったらマティアスさんに悪いもん」
にこやかに笑ってユリアンは言うと、マティアスさんの方を見て、
「ねー」
と、同意を求めた。
マティアスさんも笑顔で頷き、
「そうだねー」
なんて答えている。
何なのこのふたり。
私はひとり俯いて、お茶をちびちびと飲んだ。
と言うわけで今、家に私とマティアスさんのふたりきりだ。
太陽が傾き始めたため、窓から差し込む日の光は橙色に染まっている。
何となく落ち着かないなかマティアスさんがお茶を淹れてくれると言うので、私は食堂の椅子に腰かけて彼がお茶を運んでくるのを待っていた。
なんだか濃い二日間だった。
いや、三日間、かな?
デュクロ司祭がやってきてから物事がすごい勢いで動いた気がする。
デュクロ司祭が来て、次の日にお母様が家に来て。教会にブノワ商会の使者が来て、ブノワ商会のガストン=ブノワさんの屋敷に連れて行かれて。
ニコラさんに会って、アレクシさんに会って。
思い出していたら疲れてきた。
「マティアスさん」
「んー? 何?」
「マティアスさんはなぜお母様がこちらにいらしたのか、デュクロ司祭がいらしたのか、全部ご存じなんですか?」
「デュクロ司祭の件は俺は正直よく知らないんだよね。俺が中心に動いていたわけではないし」
あ、そうなのね。てっきりマティアスさんが黒幕だと思っていたのだけれど。
「きっかけは前に言ったようにフラムテールであった獣人の人身売買の摘発だったんだ。獣人はこの国の住人で、ということはここで誰かが彼らを誘拐しているっていうことだよね。
ブノワ商会の関与がわかったんだけれど証拠がないし、目撃者もいない。
フラムテールからこの町の警察に問い合わせをしていたんだけれど、色よい返事はなくって。これはおかしくないか、ということで俺が潜入捜査することになったんだ」
言いながら、マティアスさんは湯気の立つカップを私の前に置いてくれた。
そして、私の隣の席に腰かける。
ってなんで隣り。
「サシャが連絡役になって、うちの国や、君のご両親と連絡と取っていたんだよね。そのなかで国をまたいで行われる犯罪を捜査する機関を作ろうと言うことになったみたい。それで中心になったのが君のお母様だったんだ」
「いや、なんでお母様が……」
「それは、大公直属の機関と言うことで、力を持たせたかったんじゃないかなあ。この国で彼女に逆らえる人なんていないでしょ?」
どこの国でも妻の方が強いというのは変わらないのかな。
お父様はお母様にめっぽう弱いし、お母様がやると言ったら、お父様は頷くしかないだろう。
「デュクロ司祭がいらっしゃることだって俺は知らなかったんだよね。数日前にサシャが来て、その時に商会でも病気が流行り始めているんだよーって話をしただけだったんだけれど。ニコラさんにうつる可能性を考えたのかな」
それはなんてご都合主義でしょうか。
まあでも、実際ニコラさんは風邪にかかり、しかも薬が効かなくて、たまたま来ていたデュクロ司祭が招へいされることになったって出来すぎでしょう。
「そうじゃなくても、ブノワさん自身がデュクロ司祭に会いたがる可能性を考えたのかもしれないけれど。なんといっても癒しの聖人で、有名人だし」
あ、まだその説の方が納得できる。
「でも、デュクロ司祭を協力させて屋敷に侵入させるって無謀では……」
「そうだねえ。君のお母様から彼に協力をいただいている、って話を聞かされた時はちょっとどうしようかと思ったけれど。まあ、俺がニコラさんたちの幽閉されている場所を掴めなかったのが悪いんだけどね」
そういえば、いたるところに魔法が掛けられているとかなんとか言っていたっけ。
「侍女からは話が聞けないし、喋れない子を雇っていたみたいで。この間君が見たという幽霊の話のおかげでいそうな場所はわかったけれど……でも、獣人たちが屋敷にいるっていう確証はなかったからデュクロ司祭が潜入するっていう計画は実行されたというか、むしろ彼は乗り気だったと聞いたけれど」
「そうですね、デュクロ司祭なら喜んで協力しますね。傍からきいたら面白そうですから」
「そうそう。面白そうだからやるって張り切っていたらしいよ。で、デュクロ司祭と君が屋敷に入ったあと強制捜査で踏み込んだってわけ」
「でもそれってデュクロ司祭が行かれなくても、強制捜査で踏み込むだけでもよかったのでは……」
「それだと獣人たちをつれて逃げられるかもしれないと思ったんじゃないかなあ。デュクロ司祭には時間を稼いでいただくという目的もあったし」
まあ確かに時間稼ぎにはなっていたなあ。ものすごく怖い目にはあったけれど。
「君がいてくれたおかげで『娘を返せ』とか言って居場所を聞き出すこともできたし、杖で床を叩く音で居場所を知らせてくれていたし」
「デュクロ司祭が床を叩いていたのって意味があったんですか?」
マティアスさんの方を向いて言うと、彼は私の方を向いて、頬杖をついた。
「うん。音は響くからね。魔法で聴力を上げることができるから、それでサシャが居場所を突き当てて……でも彼、見つける扉をすべて破壊して回るから少し時間がかかっちゃった」
なんてことを、にこやかな笑顔で言う。
……サシャさん、なにか嫌なことでもあったのかな。私の事、嫌っているみたいだったな、そういえば……
不意に、マティアスさんの左手が伸びてきて、私の髪の毛にそっと触れる。
「よかったの? 俺に魔法使って」
「え? なんでそんなことを」
「だって、自分の命を削るわけでしょ? 俺の傷の為にそんな代償を支払う必要あるのかなって思ったから」
私は髪を撫でるマティアスさんの左手首をぎゅっと掴んだ。
この腕が怪我をした腕だ。
私はそのまま彼をまっすぐ見つめてきっぱりと言った。
「私を……私たちを守るために怪我をしたわけじゃないですか。治すのは当然です。貴方が命の危険を顧みず私たちを守ったんです。だから私は、命を削ってでも貴方を癒します」
そんなの当たり前の事じゃないの。
今の私に、魔法を使うことに対しての迷いはない。
マティアスさんは目を瞬かせた後、優しく微笑み頬杖をといて右手で私の頬に触れた。
「ありがとう。変なことを言ってごめん」
「いいえ……あの、私こそ助けていただきありがとう……」
言いかけた唇が、何かに塞がれる。
まさかこのために私の隣の椅子に腰かけたとか……ないですよね?
長い口づけの後、私は彼から手を離してばっと椅子から立ち上がり、
「お風呂の用意をしてきます!」
と裏返った声で言って逃げるようにして食堂を後にした。
夜。
ユリアンは一度戻ってきて、家に泊まると告げて帰って行った。
ということは、今夜も私とマティアスさんのふたりきりである。
湯につかりながら、私はどうしようかと思い悩んでいた。
いや、いったい何を悩むことがあるのだろうか?
普通にしていればいいじゃないの。
普通に……ふつう……
「あー! もう、意識しちゃうじゃないの」
とひとりで叫び、口までお湯の中に沈み込む。
息を吐けばぶくぶくとお湯が泡立つ。
ふたりきりの夜なんて初めてじゃないじゃないの。
そう、初めてではないのだから考えても仕方ない。
私は勢いよく湯船から出た。
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