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3章
炎王アヴィヨン
しおりを挟む「あら、
魔王様がこんなところに何のご用かしら?」
女性は煙管を側に置きヴィーリオに向き直る。
「魔神器を探している、
心当たりは?」
「一つはすでにやつらが持ってる、もう一つは【現世】にあるわ。」
「あと一つは?」
「誰かが持ってる、
それが誰かは言えないけど一番安全な所よ。」
言い終わるとまた煙管を手に取り煙を吹かす。
「現世に行く方法は?」
「あるわ、ただしちょっとお願いがあるの。」
笑顔になる女性に対してヴィーリオは胃を押さえてる…。
「実は今現世から魔物がこっちに流れてきて困っていたの、
だからついでに元凶をシメてきてくださいな♪」
「貴様魔王をパシリに使うつもりか…!」
「あらパシリなんて人聞きの悪い、
ただ自分で行くのが面倒なだけですわ♪」
ヴィーリオがため息をつくとアヴィヨンは先程までとはうって変わって真剣な眼差しになる。
「気を付けなさい魔王様、
奴らの目的は魔神器だけでは無いわ。」
女性の視線を辿るとライルが居た…。
「勇者だからやつらも欲しがるだろう。」
「勇者ね…
それもひとつの理由よ。」
「どういう意味だアヴィヨン?」
女性、アヴィヨンはなにも言わず灰を落とす…、
何も言うつもりは無いらしい。
「やつは見つかったか?」
「知りません。」
アヴィヨンが煙管に草を詰めて火をつける。
「そうそう、
向こうもちょっとしたパニックに陥ってて一応マシなところに飛ばすけど安全とは言えないわ、
やつらが問題起こしたせいであちこちに歪みができてるのよー。」
規模が大きく力の強い魔族でも手に負えないらしい。
「…他の魔界には?」
「今のところ影響はないみたいだけどこれが酷くなれば。」
そこから先は言わなくても分かる、
痛む胃を押さえて最悪の事態を避けようと一人内心あせる。
「で、もう一人の子は?
見たところ別の人界の子みたいだけど?」
「おい初耳だぞ虚。」
ヴィーリオが虚の両型を掴むが当の本人は平然と「聞かれなかったから」と答える。
「虚は異世界から来たのか!?」
「ああ。」
「帰りたがる素振りも無いが?」
「帰りたいが方法もわからんし騒ぐほど思い入れのある場所ではない。」
自分の故郷を一蹴、
「だが」と、ふと何かを思い出したのか目を閉じる。
「あっちに主を置いたままだ、
帰ったら文句を言われるかもしれん…。」
少ししんみりとした空気に浸っていたが階下から足音が聞こえてきた。
「呼ばれぬ客か…。」
「仕方ないわね、
魔王様早くこちらに。」
アヴィヨンが呼び寄せて三人が並ぶ…。
「じゃあ、【着地】に気を付けてね。」
「「「着地?」」」
アヴィヨンが最初と同じ笑顔で側にある紐を引くと三人の足元が開いた…。
「行ってらっしゃい♪」
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