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4章
現世
しおりを挟む狭い部屋で三人の男女が耳をすますとドアの向こうからは絶えず呻くような声が聞こえてくる…。
「どうしようこれじゃあ食べ物取りに行けないよ。」
背の小さな少年が窓の外を見ると服装は少年達と同じだが明らかに様子がおかしい人々が徘徊していた。
「仮に本校舎まで無事にたどり着いても中は同じ状況でしょうね…。」
「じゃあもしかして外も?」
三人が青ざめると後ろから何かが落ちる音がした…。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「アヴィヨンめ…、
帰ったらタダでは済まさん!!」
「何なんだここは?」
三人が立ち上がると目の前には三人が少年少女…。
「あんたらどこから入ってきたんだ?」
驚くのも無理はない、
出入り口は三人の目の前にあるドアのみで窓は完全にしまっているのだから。
「信じがたいだろうが俺らは別の場所から来た、
ここで騒ぎを起こしているやつがこっちにも影響していてそれを倒しに来たんだが…。」
ライルが部屋の中を見回すが三人以外に誰もいない。
「今居るのは俺たち三人だけだ、
後は皆…。」
背の高い青年がそっとカーテンを開けてライルたちを呼び外を徘徊している人々を見せる。
「1週間前に学校を休んでいた生徒が来ていきなり先生に噛みついて…。」
「襲われた人が他の人を襲って連鎖的に。」
カーテンを閉めて部屋の中心に戻る。
「厄介なことに大きな音を出したりしたらすぐに気づかれるんです、
僕達はここに逃げ込めたけどもう食べ物も無くなったし…。」
少年が項垂れるとあとの二人も表情が暗くなる。
「なら俺たちがついていこう、
場所がわからんから誰か着いてこい。」
「あ、じゃあ俺「私が行きます。」おい!」
青年の声を遮り少女が前に出る。
「あなたは近道だと言って犬に追い回されたり道に迷うでしょう…。」
「そ、そんなことねぇよ!!
な、カイト!!」
「ご、ごめん…。」
カイトと呼ばれた少年が顔を彼方に向けた。
「おい、そんなに大声を出して良いのか?」
壁にもたれかかっている虚が指差したのは向かい側にある窓、
五人が見ると窓をガタガタ揺らして群がってくる焦点の合わない目をした人々…。
「え!?ま、まずいよ!!」
「ど、どうしようヴィーリオ!?
一応人間だから切るわけにもいかないし!!」
「切るの!?」
あわてふためくライルとカイトと青年、
冷静なヴィーリオと虚と少女。
「仕方ないな…、
おい、そこをどけ。」
ヴィーリオが少年達を押し退けて外に出る…。
「だ、大丈夫なのか?」
青年の心配する声のすぐあとに鈍い音が数回、何かを殴った音のようだ…。
「しつっっっこいぞ貴様ら!!」
すぐに閃光と爆発音が聞こえて呻き声が消え失せた…。
「…なぁ、殺してないよな?」
「わからん、もしかしたら殺ったかもしれんな。」
そう宣言した虚を見てから三人は急いで外に出た。
「虚、今のは冗談だよな?」
「可能性はあるだろう?」
ライルも慌てて外に出て虚がそれに続いた…。
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