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5章
不明瞭な感情
しおりを挟むヴィーリオが目を開けるとそこは自分の城…、回りには傷ひとつ無く紫の炎が部屋を照らしていることからこれは夢なのだと理解する。
「 どこへ行くつもりだ? 」
声がした方を見ると魔物が二匹居た、
一人は自分ともう一人は記憶の中にある先代魔王の後ろ姿…。
「お前が居なくなれば魔界が混乱状態になることはわかっているだろう!?」
「…悪いなヴィーリオ、
わかってるけど行かなきゃいけねぇんだ、
まぁここならお前が居るし大丈夫だろ?
反対派のやつらは俺が居ようと居なかろうと動くだろうが万一の時は俺の手下達を頼れ。」
そう、やつはそう言って城を去った…。
『お前は我ら同胞よりもたった一匹の人間を選ぶのか…?』
夢の中の自分と言葉が重なった…。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
目を覚ますと見慣れないボロい天井がうつる…、
ここは神殿から離れた場所らしく体に纏わりつくような不快さはない。
「この大陸もだいぶ力を失いつつあるようだな…。」
人界侵略派の連中が喜びそうだと苦笑しつつ呟きベッドから降りて階下に行くとライルがソファーで眠っていた、
虚は出掛けているようで見当たらない…。
「おい、
おい起きろ勇者。」
ライルの肩を揺さぶり無理矢理起こす。
「ヴィーリオ…?
よかった、目が覚めたんだな。」
目を擦りながら聞くライルに対しなぜか苛立つ…、
人間のしかも勇者に心配されとどめを刺されるどころか救われたせいでもあるのだろうか?
「お前一人か?」
「いや、虚とデインが近くの酒場に居るはずだが…、
それよりもう動いても平気なのか?」
「煩いぞ、
とどめを指しておけば後々面倒にならずに済むものを…、
勇者が魔王の心配なんざするな。」
冷たくライルに言い放つとヴィーリオは部屋を出る…。
「わかっているさ、
この旅が終われば魔王と勇者に戻ることぐらい…、
だが私は…。」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
外に出たヴィーリオは軽く頭を抱えていた。
正論ではあるにしろあの夢を見た後であの言葉は自分からすればただの八つ当たりだと思ってしまう事もそれに対して罪悪感が湧くことも…。
「 何なんだ コレ は … 。 」
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