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5章
無欲
しおりを挟む「よう、お目覚めか。」
酒場に入るとすぐにカウンターからデインが手を振る。
「虚は?」
「あそこ。」
指差した方には人だかり、
その隙間から見えたのは机に並ぶ酒瓶の数々と倒れ伏す数人の男たち、
その前には平然とした顔で一気飲みをする虚の姿…。
「すげぇだろ、
あの側にある瓶全部あいつが空にしたんだぞ…?」
「飲み比べで一番当たりたくない相手だな。」
「だな…、
それより嬢ちゃんどうしたよ?」
ヴィーリオの眉間に皺が寄る、
八つ当たり紛いの事をして置いてきたなど言うわけにもいかず目の前に出された酒を飲み干す。
「戻った。」
「もう終わったのか…?」
「酒代なら気にするな、
あいつらが全て払う。」
離れたテーブルで突っ伏している面々、
そして虚が座っていたであろう場所には倒れ伏す面々よりはるかに多い酒瓶…。
「お前やることえげつないな…。」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
酒場の外に出て街の入り口に行くとライルが難しい顔をして待っていた。
「おい嬢ちゃんどうした?」
「行商人に話を聞いたんだが首都から人が居なくなったらしいんだ。」
「人が居なくなったぁ!?
あそこには王族が結界はってんだろ?」
「行商人達は町に入て実際に見たが王宮から魔物が出てきて引き返してきたと…。」
虚がヴィーリオを見る、
本人は表情一つ変えていないことから大方予想はしていたのだろう。
「その行商人は?」
「港に行くと言っていたから護衛してきた。」
ライルが袋を揺らすと鉄物の擦れる音…、
もしかしなくても金だろう。
「かなり量あるな、うわ重!?」
「こんなに要らないと言ったのだが…。」
「これいくらだよ…?」
「たしか500,000,000と。」
さっきまで片手で持ち上げていた金貨袋を
両手で持ち直すとデインがひきつった笑みを浮かべる。
「気前良い商人だな…。」
「だがこんなにあっては困る。」
「いやいや困らねぇだろ何か買ったらすぐ無くなるだろ?」
「そうか?
水や食料を勝手もまだ余るぞ?」
ライルが金貨袋を受けとると困った顔で袋を揺らす。
「服とか装飾品は?」
「着飾っても戦闘で邪魔になるだけだろう?」
「それじゃ良くねぇ、
良くねぇんだよ嬢ちゃん…!!」
*結局お金は酒場で虚に潰された面々が払いきれなかった分にあて男達に群がられたライルを救出するのに五時間費やした…。
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