騎士と魔王とetc...

アヤネ

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7章

統べる者の名

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暖炉の火が爆ぜる音だけが響く部屋にライルは留まっていた…、
外の破壊音は数分前から止まっている。


椅子から立ち上がり暖炉の前に立つと側にある小さなテーブルの上に一冊の本が置いてあった。

題名を見ると昔よく読んでいた伝記だ、
確か一人の騎士が魔族の大軍を退けた話、
ページを開いて読んでみる。


「『騎士は魔族の大軍を退け平穏が訪れたが王が逝去し子が即位すると国はたちまち治安が悪くなるが騎士はそれらを全て鎮圧し騎士の民からの支持は高くなる、
それをよく思わない王は騎士を…』」


ふと先程の女性の話を思い出す、
彼女も確か王が変わってあるはずの無い反逆罪を突きつけられて…、


「『騎士は王にあきれ果て断罪の日に毒酒の入った杯を王に投げつけ王冠を真っ二つに切り裂くと向かってくる護衛兵をなぎ倒し国を出た。』」


彼女の話とほとんど同じ、ページを遡り騎士の特徴を探すと一番はじめの一文に書いてあった。


「金の髪に蒼い瞳、彼女の名を
【アイラッシュ・Vヴィルヘルム・ヴィルム】という。」


本を閉じる…。
確か彼女は2000年は生きていると言っていたが彼女が本人だとして見た目は完全に人間そのもの、普通の人間は魔界の気にあてられてすぐに死んでしまうはず…。


「魔神器も普通に素手で触っていたし…。」


謎がどんどん深まっていく…、
それよりも侵入者は大丈夫だろうか?などと考えているといきなりドアが吹き飛んで誰かが入ってきたようで振り向くとボロボロのヴィーリオと目が合い…


なぜか反射的に逃げてしまった。


「おい…。」

「す、すまない…!」

「謝るなら逃げるな。」


ヴィーリオが尽きかけの魔力を振り絞りライルの足を止める。


「ず、ずるいぞ!!」

「喧しい無くなりかけの魔力を使わせるな…!」


ライルの腕をつかみ仄かな暖かみに安堵すると手の中にある魔神器と錫杖に顔をしかめる。


「おい、それは…。」

「私の父と前魔王が渡したものらしい、
すまない、代わりにエルフの秘薬と王殺しの矢を渡した…。」

「使うこともないだろう?
それより早く帰るぞ、あのバカどもを殴り倒さねばならん。」

「帰って良いのか…?」

「何のために俺がここまで来たと思ってる…?」


「う…、
と、ところで帰る方法は?」


ヴィーリオの動きが止まりどんどん眉間に皺が寄る、魔力も尽きかけていて今は立っているのもやっとの状態なのにどう帰るのか…。

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