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8章
全てが生まれた場所で…
しおりを挟む目を開くと石造りの建物の中…、
外には穏やかな景色が見えるがここは恐らく自分達が居た世界では無いのだろう、
ただ奥から人の話声が聞こえてくるだけであとは無音だ。
「ヴィーリオ…。」
「間違いなくやつらだ。」
足早に歩くヴィーリオの後ろを小走りで着いていくと二人の人物が話をしていてそこから少し離れたところにいるよく知った人物がこちらに気づいた。
「目が覚めたか。」
「ああ。」
「目覚めは最悪だったがな。」
ヴィーリオが魔石の豪速球を目当ての人物の後頭部に当てる…。
「貴様の企みを事細かに説明してもらおうか【エイン・ドゥーラ】…。」
後頭部をおさえて冷や汗を流しながら振り向いたのはデインだった…。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ヴィーリオに(物理的に)締め上げられデインはクーデターが起こると予測していたこともジズと組んでライルを向かわせて魔界から人界に飛ばして魔神器を集めさせたことも全て白状した…。
「なるほど、俺は貴様らバカ二人の掌の上で踊らされていた訳か…。」
ライルを盾にして尋問を逃れているジズを睨み付ける。
「僕だってちゃんと手伝ったじゃないか~。」
「手伝ってねぇよ。」
「わー昔のしゃべり方に戻ってるー。」
茶化すジズを本気で消し飛ばしてやろうかと本を出そうとするが出てこない。
「ここは戦闘禁止の場所だからね、
残念ながら君の武器は出せないよ。」
「武器は出せなくても殴るのは大丈夫みたいだが?「虚君余計なこと言わないよー。」
盾にしていたライルをひっぺがされジズもヴィーリオから痛い一撃を受ける。
「俺がここに飛ばされたのも記憶が無いのもお前たちが原因だと聞いたからな、
もっと殴られてしまえ。」
虚が名の通り虚ろな瞳で元凶二人を見下ろす、記憶はまだ戻らないようだ。
「ちょっと誤算だったのは肉体だけこっちに飛んで来ちゃったことかなぁ…、
精神は向こうに残っちゃったから記憶が戻らないんだよ。」
「そんなことがあるのか…?」
「うん、
精神が残るってことは相当大事な人なんだろうね~。」
「「「人?」」」
肉体の持ち主である虚でさえ首をかしげる、
デインとジズは苦笑いで虚を見ると和柄の櫛を見せる。
「向こうの世界での君の主に会ってきたんだけど苛烈なお嬢さんでね~。」
「呪い殺すって言われた。」
虚が櫛に触れると無数の蝶が虚ろを覆い隠し蝶が居なくなった虚の目付きは変わっていた…。
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