村人と魔王の冒険談

アヤネ

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異変

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ここは人界の地より更に深い闇の世界、人が【魔界】と呼ぶこの世界では今異変が起きていた。


「魔王様、また地方で暴動が起きたようです。」


手下からの報告に魔界を治める魔王、ヴィーリオが顔をしかめる。


「またか…。」

「日に日に暴徒が増えています、ザズィール将軍からもご報告が。」

「続けろ。」

「は、
どうやら暴徒どもはなにかに操られているようなので原因を探ると。」


「わかった、下がれ。」


部下が部屋から出るとヴィーリオが魔界の地図を広げて赤い印をつける、元々ついている印を見てもかなりの数であと印がついていないのはこの城だけだが…。


「時間の問題だろうな。」


地図をしまいすぐ近くにある部屋に入ると女性が振り向いた、ヴィーリオの妻であり大天使のライルだ。


「終わったのか?」

「ザズィールが有益な報告を寄越した、
また誰かが裏で動いているらしい。」

「そうか。」


二人がベッドに視線を落とすとあどけない顔で眠る子供がいる。


「天空から何か報告はあったか?」

「手紙を送ったが返事も来ないんだ、
ヴィーリオ、もしかしたらこれは魔界だけの騒動ではないかもしれない。」


いきなりドアが勢いよく開かれ手下が転がり込んできた。


「魔王様緊急事態です!
調査から帰ってきた兵士たちが急に暴れだしました!!」


外からは叫び声や怒号、鉄のぶつかる音が聞こえてくる。


「それと非常に不味い報告が…。」


言い終わる前にすさまじい破壊音と揺れが襲ってきた。


「ザズィールか。」


ヴィーリオが頭を抱えて舌打ちをするとベッドで眠っていた子供が起き上がった。


「ライル、どこでもいいからメルルを連れて避難しろ。」

「わかった、メルル行こう。」


ライルがメルルの手を引いてヴィーリオも続いて部屋を出ると様子のおかしい魔物が襲いかかってきたがヴィーリオが魔法で弾き飛ばした。


「正常なやつらは?」

「現在交戦中ですがほとんどザズィール様にやられてます!!」


四人で走り抜けていると目の前の壁が吹き飛んで巨体が現れた…言わずもがなザズィールだ。


「ライル書庫に行け、隠し扉の位置はわかってるな?」

「わかってる。」


ライルがメルルを連れて近くの部屋に入った。


「首謀者を見つけたら500年ほど休み無しで働かせてやる。」


――――――――――――――――――――――


書庫に入り壁がわにある三番目の棚にある本を一冊押し込むと本棚が動き道ができた。


「この奥に転移装置があって陣に乗れば地上のどこかに出るように設定されている、
私はヴィーリオの援護にいくから一緒には行けないがすぐに追い付く。」

「わかった…。」


ライルはメルルの頭を撫でて背中を押し隠し扉をしめた。

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