世捨て魔王と世に捨てられた勇者達は互いに何を見る?

軽見 歩

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第15話 魔王様は逆海釣りにご満悦

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 海賊共が逃がしてくれそうもないので、私は奴らを滅ぼす事にした。では挨拶を


「そうか、なら覚悟せよ、貴様らの前に立つのは人類…、いや、”世界最凶の敵”と知れ」


 私がそう言うと女勇者は顔をこわばらせ、直ぐに雑魚共に指令を出した


「ッ! 全艦、対魔族戦装備を使用! 一切出し惜しみするな!!」


 海賊たちは指令を受け、高価な魔具マジックアイテムを使って身を固めた。魔法弾を大法に詰め、船の強度を上げ姿勢を制御する結界の展開、沈んだ船も幽霊船の様に海上に浮上した


「死んだふりとは、小動物らしい浅知恵だな。しかし少数相手に下手に群れると・・・」


 私は一番近い船の甲板上に瞬時に移動して魅せてやった


「・・・こうして懐に入られては身動きが取れまい?」


「ひッ!」


 私は目の前に立っていた男の頭を胸で殴り飛ばし


「バゴン!」


 彼が頭部の穴と言う穴から血を流して床に崩れ落ちる前にスモールソードを手に取り、5人ほど頭をもぎ取りつつ串刺しにした


「まずは6人・・・」


 剣に串焼きの様に刺さった頭を一振りして一気に海に捨てた頃、ある男が機転を利かせて大砲を内側に向け私を撃った


「食らえ、この化け物ぉ!!」


「ん?」


 当然自分も巻き込まれるはずだが、自爆は覚悟の上なのだろう。けなげだな


「ドン!!」


 魔弾は私の胸に当たり・・・


  「ポヨン♪」


 ・・・・弾力で跳ね返った魔弾は他の船に直撃した


「ドオオオオン!」


 「おわ!」 「誰が撃った!?」

   「消火活動急げ!」

  「誰かオレの右腕を知らないか?」

 「お前の右肩にくっ付いてるよ」


 その船は沈みはしなかったが大混乱になっていた、哀れな。大砲を撃った男もその光景に見入って呆けてしまっている


「許せ・・・!」


 私もその美しい光景に少し見入ってしまった隙に、他の複数の船から一斉射撃を放たれてしまった。私の乗っていた船を巻き込んで


「ドカ!」 「ドボ!」  「ドガン!」

 「ズバン!」「ドコッ!」「バコ!」


 私が乗っていた船は粉々になってしまった。近くの得物達に耳を傾けていると、こんな言葉が聞こえてきた


「やったか!?」


「まだ分からん! 生き残りの救助しつつ死体を探せ!」


「こっちは見当たらない、沈んだのか?」


 私が沈んだ? とんでもない、ただ海底を散歩しているだけだ。寝言を吐かぬようしっかり目を覚まさせてやろう


「ガシィン!」


 私は錨を掴んで思いっきり引っ張ってやった。たまには海で釣りをするだけでなく、海に釣られるのもいいものだろう船員諸君


「なんだ!?クラーケンか!?!?」


「直ぐに錨を切り離せ!」


「了解ッ!」


 錨の鎖を切り離されてしまった。それもそうだ・・・・


「助かったか・・・・」


「ガシャンン!!!」


「今度は何だ!?」


 ・・・・やはり釣りは釣り針に獲物を引っかけてこそだ。私は錨の頭を投げて船に引っかけゆっくりと船に引きずり込んだ


「きっ、機雷だ! クラーケン用の機雷を今すぐ落とせ!!」


「は、はいぃ!!」


「ボン!」

     「ボン!」


 機雷が落とされ辺りで激しい爆発が起きた。するとその衝撃で見覚えのあるゴミが流れてきたので錨の鎖から手を離し、そちらを手に取った


「ズルゥ・・・」


「バシャアァァン!」


 私が急に力を抜いたせいで、引っ張っていた船が反動で転覆したがそんな事はどうでもいい。私がゴミから重い鎧を剥がしてやると、アレは海面に浮き上がって息を吹き返す


「ぶはあ! さすがにアレだけ大砲食らうとキツイな・・・」


 その浮き上がった勇者エルウッドに気付いて海賊たちが一気に殺気立つ


「あの変態ストーカー野郎がまだ生きてるぞ!」


「へ?」


「撃てぇ!」


 道化勇者なら道化エルウッドらしく観客を楽しませてもらわんとな


「うわああああ! 俺が変態ってのは誤解だぁぁぁ!!」


 ヤツは迫りくる砲弾を避けながら、水上を走り、砲弾を時には踏み台にして飛び、着水と同時にクロールで泳ぎ、たまに少し沈みながら逃げ回っていた。さてと・・・


「あの変態生きていたか・・・。あの女は!?すぐに見つけ出せ! この程度でヤツが死にはずが・・・・」


「ここだ。雑魚が道化と遊んでいる間に私達は二人きりで楽しもうじゃないか」


 ・・・・勇者エルウッドが雑魚を引きつけている間に、私は女勇者フランチェスカの船に上がらせてもらった


「くッ!」

    「タン!」


 振り向きざまに短銃で撃たれてた。いやはや、おてんばな娘だ


「全員退艦! 邪魔だよ退きな!!」


「しかし姉御…」


 彼女の命令に戸惑っている鬱陶しいボンクラが目障りだったので、先ほど撃たれた際に胸の間に挟まった弾丸を、胸をキュッと谷間に押し出し、指でつまんで弾いてやった、そのグズの脳幹に


「パシン」


「うごッ…!」


「おまえ!」


「すまない、実に汚らしいドブネズミだったのでついな。剣で斬り殺されるよりかは綺麗な死に様だろう?」


 私の言葉にお気に召さなかったのか、女勇者は身体に括り付けた幾つもの銃を私にむかって次々と取り替えながら放って来た


「タン!」

   「タン!」

 「タン!」

       「タン!」


 その銃撃をひらりと躱しながら踊っていると、周りのまだ居る船員の1人が叫ぶ


「船長の命令が聞こえたろ!全員退避!!」


 その声を聞いてやっと残りの連中が舞台から降りてくれた。私も踊っているだけでは飽きたので、弾丸の一つをスモールソードの剣身の根本で受け


「ギイイイイッ」


 溝に沿って切先に上ってくる前に、私は剣の先をつまんでしならせた


「グイ…」


 そして丁度いい所まで弾丸が進んで来たところで手を放し、弾丸を彼女に返してやった


「パシッン!」


「きぃ!」


 だが彼女に空中で撃ち落とされてしまった。この隙に少し距離を取って軽い雑談を挟むとしよう


「おおっと、いやはや見事見事。しかし銃とは引き金を引いてから火薬に着火し、弾丸が放たれるまで少し時間が掛かるものだが・・・、それは違うな」


「雷管式パーカッションの銃さ、燧石式フリントロックの着火方式より発射ラグが圧倒的に少なく防水性も高い」


「ほう、人類の技術も知らぬ間に上がっていたか。まあ、気にする程でもないが・・・」


「これでも?」


   「タン!」


 不意に地面に捨てられた銃から火が吹き、弾丸が発射され私の脇腹に当たった。しっかり撃たれ投げ捨てられたはずの銃からだ
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