世捨て魔王と世に捨てられた勇者達は互いに何を見る?

軽見 歩

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第16話 不機嫌な魔王と勇者と勇者

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 地面に捨てられた銃からの不意の銃撃を受け、首をかしげてみせた私にまた次々と攻撃を仕掛けてきた女勇者


「まだまだだよ」

「タン」「タン」「タン」「タン」


 地面に捨てられた銃から次々と弾丸が放たれ、撃たれた場所から煙が上がる、対魔族用の魔弾による煙が上がる


「ほう・・・これが貴様の秘技スキルか」


地面の銃は歩き近づいて来る女勇者の隣に並び、まるで子供の絵本に出てくる玩具の行進の様に跳ねていた


「さあ、お食べ」


 女勇者が弾丸と火薬そして雷管を床に撒くと、銃のに引き寄せられるように移動して、銃のパーツがそれぞれ意志を持ったように動き弾込めを始めだした


「いやあ、まさか対魔族戦になるとは思わなくてね。一度撃ってから魔弾に込め直させてもらったよ」


「奇妙な能力だな。だがそれだけか?」


「いやまさか、ビックリするのはこれから」


 そう言って女勇者は銃を一斉に身体のホルスター戻すと同時に、左右に合った船の大砲をこちらに向けた


「操れるのは銃だけでは無いか・・・」


「そう、私の所有物なら自在に操れるのさ魔王様」


「「ドンン!」」


 大砲が放たれ、私はそれをわざと受け止め後ろに飛ぶと、鎖がどこからか伸びてきて船の帆柱マストに縛りつっけられてしまった。なるほど


「ハハ、やはり気づかれていたか。しかしなるほど、貴様の細腕で砲弾を跳ね返すところを見て違和感を覚えたが、・・・あの様な芸当が出来たのはあの砲弾が貴様の所有物だったからか」


「ご名答。でもアンタなんで女の格好をしてんのさ? まさかあの変態とデキてるじゃ・・・」


「馬鹿を言うな、少しからかうのに都合が良かっただけの事、いつでも性別は戻せる、この様にな・・・」


 私は慣れ親しんだ男性型の身体に戻ると、鎖は更に強く私の身体を締めあげた


「何さらりと男に戻って拘束を緩めようとしてるんだい、油断も隙も無いね」


「ただ容易く元に戻れる所を見せたかっただけなのだが・・・。それよりいいのか?」


「なにがだい?」


「私を船首像の女神の様に括り付けて良いのかと聞いている。私に祈っても加護などない、あるとすれば災いだけだ」


 私は嵐を起こし海を荒れさせてみせると、彼女は倒れそうになりながら銃をこちらに向けてきた。全ての銃を浮かせて狙えば火力も相当あるだろうが、どうやらそう言った芸当は彼女には出来ない様だ。もう潮時か・・・


「ふざけるんじゃないよ!」


 「「タン!タン!タン!」」

「「ドン!ドン!ドン!ドン!」」


 銃と大砲の一斉射撃を受け、私を縛っていた鎖がマストごと消し飛んだ


「おいおい、折角拘束したと言うのに、その縛った物まで吹き飛ばしてどうするのだ」


「まったく効いてない!? 撃たれてから大人しくなったのはワザとッ」


 やっと気づいたのか、だが私の真意では気づいてない様だ


「フフ…、それなりに能がある獲物をいたぶる時はな、全力を出させて、それを真っ向から容易くねじ伏せた時の絶望する顔を見るのが最高であろうよ」


「舐めたマネを!!」


「さあ!もう後は無いぞ!全力以上の物をひり出して立ち向かって見せろ!」


 先ほどの私への攻撃で半壊した船の上、さらに荒れ狂う気候、絶好のシチュエ-ションだ!・・・だったのだが汚物が這い上がって来てしまった


「うぐっ・・・、海が荒れて助かったぜ」


「キサマ変態!?」


「灯台下暗しってね、船長の船の中なら砲撃は来ないだろ! 俺が撒いちまった種だ…、刈り取ってやるぜ! このエルウッド様がよ!」


 一気に面倒くさくなった・・・・。せっかく女勇者とこれから決着だというのに、こっちのゴミ勇者まで合流してきてしまった


「さあ、勇者同士で遠慮なくやろうぜフランチェスカ!」


「さすが魔王も手を焼くストーカー、しつこいね!」


 何やら私と一緒に行動していた事でエルウッドの評価が不当に高くなっていないだろうか? 私から見てもゴミだぞソイツ


「せい!」


 エルウッドが一気に踏み込込んで放った斬撃を、女勇者が銃を二挺捨てつつ小振りな曲剣カトラスを抜いて受け


「「タタン!」」


 地面に落ちた二挺の銃はエルウッドに向かって火を吹くが、難なく躱される。女勇者も自身の実力以上の戦いをしようと一気に殺気立つ


「おおっと、危ねえな」


「これは序の口よ!」


 エルウッドもこの事態に責任を感じているのか、いつになく真面目な顔をしている。だがそのやる気は要らん。そんな私の思いと裏腹に戦いもヒートアップしていく


  「ブゥン!」

「タン!」「タン!」


 もし神の様に私の心を覗き見ている超常的存在が居るなら一つ聞きいてみたい。人類側が最終局面で増援が来るのは美談として良くあるおとぎ話だ。だが魔王がそれをやったらどうだ?


「やるな!」


「アンタも変質者にしてはッッ!」


 これから最終局面だと言う時にラスボスの前に中ボスが1人しゃしゃり出て来るんだ、むかつくだろう。魔王は至高かつ孤独でなければならない、それが私の美学だ。そしてもっと不味いのは周りの船から聞こえてくるように・・・


    「姉御の船に変態とあのアマが居るぞ!」

「あれ? 似てるがあの黒装束の男じゃね?」

  「本当だ、親戚かアイツ?」


 ・・・エルウッドがこの船に来た事で一気に敵意ヘイトがここに集まった。さらに邪魔が来るのは勘弁してもらいたい


「なにボサッっとしてるんだ野郎共! 私ごとこいつ等二人を地獄に送ってやりな!」


 女勇者フランチェスカが不愉快な命令を出してしまった。しかたがない、突然の命令に奴らが戸惑っている隙に


「何言ってんですか姉御!」

  「拾ったヤツの話では退艦命令を出したそうだ」

 「はなから心中する気だったていうのか!?」

「姉御の命令だ!信じて実行しよう!」


 悪いがそうはさせない。今貴様らは私が作り出した嵐の中に居るのだ、まとめて沈んでもらおう


「ジャアアァァァ・・・・・」


 よし、奴らは渦に巻き込まれて沈んで行ったな


「ドシャン!」


 そうだ、こいつ等は沈んでも浮き上がってくるんだったな。面倒だ、下手に頼み事をすると後で図に乗りそうで嫌なんだが・・・、ヤツを使おう
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