世捨て魔王と世に捨てられた勇者達は互いに何を見る?

軽見 歩

文字の大きさ
20 / 42

第20話 酔いどれ勇者共と保護者は魔王です

しおりを挟む
 酒場でのんびり飲んでいたら、勇者達に見つかってしまった


「やっと見つけたぜバルト」


「腕はもう生えてたんだねぇ。苦労したのに元気そうじゃないか」


 少し落ち着いた女勇者はもぎ取った腕と私の腕を見比べながらぼやいている


「私がフックでもつけていると思ったか女海賊」


「いいえ、全然。ここいいかい」


 奴らは当たり前のように私の席に勝手に座った、もう何も言うまい、ごねられたら面倒だ


「追って来たのか勇者共め、なぜ一緒に行動している」


「ああ、フランが海で溺れれたところを、俺が引き上げてやったんだよ」


「そっから、同じ追われる身のよしみでトムと一緒に行動する事にしたのさ。反逆罪がかかっちまったからね」


 なるほど、下手にばらけるよりも固まった方が互いに動きやすいというところか。特に女勇者は陸地での活動には慣れてない、対して勇者は要領が悪いからな…絶望的に、彼女の指揮能力は欲しいだろう・・・・、指揮能力といえば


「他の海賊共はどうした?」


「アンタのお陰で、誰が反逆に関与したのかうやむやになっちまったからね。地下に潜ってるか、正規軍に取りいったりと上手くやってるよ。首謀者の私あたしは除いて…。まあ、アンタには感謝してるよ」


「ほう、私に嫌味を言う為にわざわざ来たのか」


 私の言葉を聞いて、女勇者はグラスの酒を一気に飲んでから答えた


「本音と嫌味半々、どの道いつか海賊業は畳まなきゃならなかったからね、最後まで船と運命を共にするか、足を洗うかで身内で結構もめてたのさ。その問題も良くも悪くもアンタが消し飛ばしてくれたから、結果的には多くの奴らの命が助かってるよ、そう言った意味じゃ感謝もしてる」


 助かっている? 良く考えればそれもそうか


「ふむ…、あのまま貴様ら海賊があの国と戦争を始めていたら港は封鎖され補給もままならず、兵糧と物資不足からの持久戦で士気も低下、その弱みに付け込んで隣国が海賊共に取り入り、国対国の戦争に巻き込まれただろうな、捨て駒として」


 不満を抱えた武装勢力など利用しやすからな。用済みになった海賊などいいカモだろう


「お、察しが良いね。こう言っちゃなんだけど魔族ってのは力押しの集団で、戦略や政治にはうといと思ってたよ」


 実に耳の痛い話だ


「そう思うのも当然だな、実際にそう言った愚者も多く捨て駒として積極的に前に出していた。足手まといを間引く事も出来る上に、多くの同胞の血が流れるのを見せる事によって自制心を植え付けさせる事も出来る、・・・・はずだったがこちらが優勢になり過ぎた故に愚者が蔓延り人類側に恥をさらしてしまった」


 私の言葉を聞き勇者は大笑いしたが、女勇者は青い顔して頭を押さえてしまった


「アハハハ、総大将から見ても目の上のたんこぶだったて訳だ! ハハハハ!」


「あはは…、その雑魚だけでアタシら押されてたって言うんだから怖い話だね…」


 この二人、そろって勇者のくせにタイプが全く違うようだな。今後人間を操る事になった時の為の参考に遊んでみるのも悪くないかもしれん・・・。ん?


「おい、私の酒が減っているぞ」


「悪い、ちょっとはいしゃくしてビールに混ぜた、バルト居るなら多少酔っても平気だろうし」


「なぜ私が面倒を見る前提になっている」


「酒飲んでも酔えないだろ? え、酔えるの?」


 勇者はもう頬を赤くしている


「悪酔いはしないが、お前が酔ってるのはよくわかった」


「え、オレそんなに酔ってる感じ? お、おお? なんか緑の妖精が俺の周りをヒラヒラと・・・って!これ普通の酒じゃねえな!?」


「精霊術師が使う霊酒だそうだ、これを飲むと精霊が見えるようになるらしい。店主に無理を言って出してもらった、金で」


「なんつうもん飲んでるんだ…、嗜好品として飲むもんじゃないだろ」


「魔王だからな、アルコールだけでは物足りん」


 勇者と話してると女勇者が割り込んで来た、不愉快な物をヒラヒラさせながら


「いざとなったら私が手を貸すよ。ほらほら」


「私の腕で遊ぶな!」


「返してほしい?」


「もういらん! 捨ててしまえ!」


 私のだった腕をひっつかんで取ろうとしたが女勇者は抵抗して来た


「いやよ!せっかく名前つけたのに! 腐る様子も無いし、後で私の能力で動かして遊ぶんだい!」


「余計気色が悪いわ! その残虐性、貴様本当に人間か!?」


 「ブチッ」


 腕は手首のところで千切れてしまった


「マリアンヌ!なんてこと・・・・。千切れて半分になったから名前はマリにしよ」


「やめろ」


「アンヌの方が良かった?」


「そう言う意味ではない!」


「じゃあアンヌで。ほらほら、指で歩いてダンスしてる!」


「さっそく遊ぶな!」


 机の上でダンスしている手首を虚ろな目で見ながら勇者はぼやいた


「ああクソ…、妖精が手首のに座って遊んでやがる・・・趣味悪りぃな」


「なに!? この妖精羽虫め! 大人しく赤ん坊でもさらって遊んでいろ!こうしてくれる!」


 私が妖精共を一匹づつ瓶につめていると女勇者はとんでもないことを言い出した


「なに、なんか面白そうな事になってるみたいね。あたしにもそのお酒ちょ~だい」


「貴様はこれ以上の飲むな!!」


 こうして勇者共の乱痴気騒ぎがしばらく続いたのだった
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

僕の秘密を知った自称勇者が聖剣を寄越せと言ってきたので渡してみた

黒木メイ
ファンタジー
世界に一人しかいないと言われている『勇者』。 その『勇者』は今、ワグナー王国にいるらしい。 曖昧なのには理由があった。 『勇者』だと思わしき少年、レンが頑なに「僕は勇者じゃない」と言っているからだ。 どんなに周りが勇者だと持て囃してもレンは認めようとしない。 ※小説家になろうにも随時転載中。 レンはただ、ある目的のついでに人々を助けただけだと言う。 それでも皆はレンが勇者だと思っていた。 突如日本という国から彼らが転移してくるまでは。 はたして、レンは本当に勇者ではないのか……。 ざまぁあり・友情あり・謎ありな作品です。 ※小説家になろう、カクヨム、ネオページにも掲載。

ゲームの悪役パパに転生したけど、勇者になる息子が親離れしないので完全に詰んでる

街風
ファンタジー
「お前を追放する!」 ゲームの悪役貴族に転生したルドルフは、シナリオ通りに息子のハイネ(後に世界を救う勇者)を追放した。 しかし、前世では子煩悩な父親だったルドルフのこれまでの人生は、ゲームのシナリオに大きく影響を与えていた。旅にでるはずだった勇者は旅に出ず、悪人になる人は善人になっていた。勇者でもないただの中年ルドルフは魔人から世界を救えるのか。

友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。 だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった 何故なら、彼は『転生者』だから… 今度は違う切り口からのアプローチ。 追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。 こうご期待。

ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?

音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。 役に立たないから出ていけ? わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます! さようなら! 5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

鑑定持ちの荷物番。英雄たちの「弱点」をこっそり塞いでいたら、彼女たちが俺から離れなくなった

仙道
ファンタジー
異世界の冒険者パーティで荷物番を務める俺は、名前もないようなMOBとして生きている。だが、俺には他者には扱えない「鑑定」スキルがあった。俺は自分の平穏な雇用を守るため、雇い主である女性冒険者たちの装備の致命的な欠陥や、本人すら気づかない体調の異変を「鑑定」で見抜き、誰にもバレずに密かに対処し続けていた。英雄になるつもりも、感謝されるつもりもない。あくまで業務の一環だ。しかし、致命的な危機を未然に回避され続けた彼女たちは、俺の完璧な管理なしでは生きていけないほどに依存し始めていた。剣聖、魔術師、聖女、ギルド職員。気付けば俺は、最強の美女たちに囲まれて逃げ場を失っていた。

俺だけ毎日チュートリアルで報酬無双だけどもしかしたら世界の敵になったかもしれない

宍戸亮
ファンタジー
朝起きたら『チュートリアル 起床』という謎の画面が出現。怪訝に思いながらもチュートリアルをクリアしていき、報酬を貰う。そして近い未来、世界が一新する出来事が起こり、主人公・花房 萌(はなぶさ はじめ)の人生の歯車が狂いだす。 不意に開かれるダンジョンへのゲート。その奥には常人では決して踏破できない存在が待ち受け、萌の体は凶刃によって裂かれた。 そしてチュートリアルが発動し、復活。殺される。復活。殺される。気が狂いそうになる輪廻の果て、萌は光明を見出し、存在を継承する事になった。 帰還した後、急速に馴染んでいく新世界。新しい学園への編入。試験。新たなダンジョン。 そして邂逅する謎の組織。 萌の物語が始まる。

処理中です...