もう一度、君に

ノーム

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“こころ”との出会い

第2話[更級視点]

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「お、来たきた!いらっしゃいさっくん。」
「なんだよ牙山。急に呼び出して。」
「うーんとね」
牙山 真梨。幼稚園からの幼なじみで赤が似合うショートカット女子である。付き合っていたこともあるが、今ではただの幼なじみ、女友達である。
「・・・。」
「?」
急に牙山は黙った。
「何?早くしてくんない?」
「ご、ごめん。」
牙山が素直だ。おかしい。素直になれないタイプなのに。
「・・・今日、道端でね。倒れてる高校生を見つけたの。」
「うん。で?」
「そ、その、気を悪くしたら悪いんだけど・・・」









「・・・お話中、すみません。真梨さん、夕飯できました。」










「・・・え?」


















牙山の家の奥から




俺の目の前に現れたのは
















「志?」




       











忘れることの出来ないあいつだった。





























「志?志だよな?」
















俺は志に抱きついた。





 












「ごめん。ごめんな。俺が悪かった。志。」










俺の目から涙が零れてきた。

牙山は何か言いたげな表情だったが構わない。

俺が志のことでどれだけ後悔したか。

俺の隣に志がいることがどれだけの奇跡か。












そんな中。志が口を開いた。













「あの、誰ですか?急に抱きついてきて。気持ち悪いんですけど。」
















「は?何言ってんだよ志。記憶喪失?」













「一体、なんの話をしてるんですか?」
















俺の頭の中に嫌な予感が走った。












志の


和やかな優しさ、

ふんわりとしたかわいさ、

一途な健気さ、

それらが一切見当たらない。












「ねえ、志。名前は?」












「僕は天ヶ瀬あまがせ こころですけど。あなた誰ですか?」









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