もう一度、君に

ノーム

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“こころ”との出会い

第3話[更級視点]

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「・・・え?宇佐神じゃなくて・・・?」




「誰ですかそれ。」












“志”じゃなくて“想”?











「とりあえず入ってさっくん。全部話すから。」









「ボクもこーくんだと最初思ったんだけどさ。」





















牙山の話を要約するとこうだ。

牙山が道を歩いていたら死んだはずの志そっくりの天ヶ瀬が道端で倒れていた。家に連れて帰り、看病して、それから志と仲良かった俺を呼んだ。



「てなわけで・・・」













天ヶ瀬は志と瓜二つで同一人物にしか見えない。












「天ヶ瀬くんはすぐそこの高校に通う高校三年生で今は家出の最中だって。」

「・・・。」



「真梨さん、こいつ誰なんですか?僕だけ一方的に個人情報を開示してるんですけど。」 
「あ、ごめんね。こちらは更級 咲翔くん。通称さっくん。ボクの幼なじみで元カレ。」
「なるほど。で、さっきの“ウサガミさん”?でしたっけ?そいつは誰なんですか?」

「あーえっとね」
「気にすんな。お前には関係ない。」
天ヶ瀬に志の話はしない方がいいだろう。変に気を使わせてしまっても困る。

「・・・天ヶ瀬はこれからどうすんの?」
「特に決めてません。」
「牙山に感謝しろよ?」
「ええ、もちろん。感謝しています。まともな人間で。」
「ボクみたいなのは世の中いっぱいいるよ。」












「・・・そうですね。」

天ヶ瀬は少し寂しそうに頷いた。
「これ以上真梨さんに迷惑をかけるわけにもいかないので、明日の朝にはここを出ます。」
「どこ行くの?行き先ないんじゃ・・・」
「そんな中途半端な気持ちで家出してきた訳じゃないんです。人に迷惑かけてまで居候するのは僕が嫌なんです。」
「全然迷惑なんかじゃないよ!」
「迷惑です!」
「迷惑じゃない!なんなら一人暮らしじゃなくなって楽しいまであるし」
「やめてください、僕がそっちに傾いちゃうじゃないですか!」
「傾いていいんだっt」
「はい。ストップストップ。俺からの提案。」
「なんですか?」
「天ヶ瀬は牙山みたいな善良な人間に迷惑かけたくないんだろ?じゃあさ」
「何が言いたいんですか?」












「俺んち来いよ。」












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