”みなも”と”すいめん”

アール

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”みなも”と”すいめん”

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とある国の北の方には自然豊かな大地が広がる地域があります。

人々は皆、自然の恵みを十分に生かして豊かに暮らしていました。

そして、その大地の上空から何やら話し声が聞こえてきました。

T『ねえねえ。君の今回の雨すごかったね。僕の方は全然だったよ。』

V『いやーありがとう。でも君の方こそいい雨降りだったじゃないか。モーン山の木のみんながとても喜んでいるのを見たよ。』

どうやら雲のビルカスとティスがお話をしているようです。

そして、ビルカスとティスが話を続けました。

V『それでね、僕、最近ペットを飼い始めたんだ。』

T『へー!それはいいね。どんなペットなんだい?』

V『“みなも”っていう種類のやつなんだけど、そいつがとてもとても騒がしいやつでね。ずっとゆらゆらゆらゆら揺れているんだ。』

T『”みなも“を飼い始めたのかい。それなら僕も飼ってるよ。でもおかしいなあ。僕が飼っている”みなもは穏やかでそんなに動いたりしないよ。』

V『えー!そうなのかい。それは変だなあ。同じ種類なのに。』

そうして話をしているうちに雨降りを終わらせたルーナがやってきました。

L『何してるの二人とも。なんだか楽しそうね。』

V『聞いておくれよルーナ。今、僕が最近飼い始めたペットの話をしてたんだけどね、同じ種類なのに全然性格が違うんだ。』

L『あら、それは不思議ね。いったいなんのペットを飼っているの?』

V『“みなも”だよ。』

L『え!それなら私も飼ってる!』

T『いったいそれはどんな性格なんだい。』

L『うちのみなもはね、普段は静かなんだけど、私が驚かせたりするとものすごく驚いて大きな波を立てるの。それがもう面白くって。』

T『へえー。同じ種類でもそれぞれ違いがあるんだなあ。』

そして、ルーナが別のペットの話をし始めました。

L『そうそう。ペットといえばね、私もう一種類飼おうかなって考えてて。』

V『へえー。それはいったいどんなペットなんだい?』

L『えーとね。種類は“すいめん”っていうんだけど、すごく元気そうなの。私のみなもちゃんとはちょっと合わないかもしれないけど。』

T『え!“すいめん”なら僕のおじいちゃん家にいるけど、ものすごく大人しくて、頭がいいよ。』

L『え。そうなの!』

V『確かに、僕がこないだペットショップで見た“すいめん”はどちらかというと大人しそうだったなあ。』

3つの雲はとても不思議に思いながら、次の雨降り地の東へ向かいました。
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