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だが、しかし
しおりを挟む疑問を抱えつつも黙々と歩く祐一と、隣で彼の顔を時折見上げては微笑む麗奈。
気が付くともう、マンションに着いていた・・・
こうなってしまうと会社から彼の住居は近すぎである。
「えと、ココなんだけど、ホントに入るの?」
「ハイ! 勿論です。
ここで引き下がったら女が廃ります」
「え? どゆこと?!」
え、ちょっと待って~ ——
「母がこの人だっ! て。
ピピっときて、ぽわ~んてなって、その人のこと10分に1回思い出すなら絶対にゲットしないと女が廃るのよって。
我が家の家訓なのです」
「家訓なの?!」
思わず麗奈を二度見する祐一。
スゴイ家訓とお母さんである。
――え、でも10分に1回俺の事思い出して、ポーってしたってこと?
え、ちょっと凄くね?
何にせよ、メチャクチャ可愛い女の子に真っ直ぐ自分に好意を向けられると思うと照れるのを行き越して感動する祐一。
まあ、部屋の場所を教えるとか、話を聞くくらいならいいかなと取り敢えず自分を納得させる。
「じゃあ、取り敢えず付いてきてくれる?
階段があんまり広くないからさ」
「はい」
兎に角、麗奈はニコニコである。
――うーん、カワイイ。
××
エントランスを過ぎ、階段を上がると祐一の部屋につながる廊下に出る。このマンションは1階部分は駐車場になっているので実質は2階なのだが、103が祐一の部屋である。
そう新しくはないが南向きで風通しと日当たりが良いので気に入っている。
だがしかし。
――本当に鍵を開けていいのか? オーイ俺よ。
「うーん」
「開けないんですか?」
「いや、開けるんだけどねえ。俺の家だし。
ここ入んないと寝られないしねぇ」
「じゃあ、どうぞ?」
「どうぞ、っていうかさ、君も入るの?」
「はい? 勿論ですが」
「いや、独身の男の部屋にそんなに簡単に入っちゃうとダメでしょ。
そんなに可愛いんだからさ、危機感持たないと駄目じゃないかと思うんだよね」
突然心の説教親父が顔を出した祐一だが、それを聞いた途端にがばっと麗奈が祐一に飛びついた。
うわっと思わず抱きとめてしまったが、ハッと気がついて手を放したが首根っこに両手を巻き付けて離れないレナ。
――わー軽い~ 胸が当たる・・・
じゃねえよ!
「やっぱり、思った通りの素敵な人です! 祐一さん!」
「え、ええぇ~・・・」
「ズルイ人なら絶対に有無を言わさず引っ張り込むって聞きますもん」
「いや、ソレ犯罪でしょ」
「でもそういう人多いって云いますよ」
「んん~~そうかなあ。
いや、そうかも。
うん、そうだ、車のキー取ってきて送ってあげるから、そこで待ってなさい!
いや、タクシーで送ったげるから。
うん、そうしよう!」
ここまで来たけど、やっぱりコレはいかん! と思い直す祐一。
――一応俺、会社の上司だし! 部署違うけど!!
気づくの遅いよ祐一君・・・
まあ、仕方ないかな。
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