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54 御前試合①
しおりを挟む御前試合は朝早くから始まるため、王族であるソフィア達も観覧席に早目に着席しなければならない。
単純にさっさと始めなければ日が暮れるからだが。
会場は王城から徒歩で30分ほど離れた場所にある王都の1番でかい闘技場だが、辺境伯領にあるヤツとサイズはほぼ一緒だ。
コレは若い頃辺境伯になる直前のディアミド、つまりソフィアの父が試作品として魔法で造ったらしい。
出来が良かったので手っ取り早くほぼ同じものを領都に造っただけで、別に王都と張り合っている訳ではない。
×××
会場となる競技場は今日の試合の為に12区画に仕切られ、各区画で魔術師同士と騎士同士の試合が12組ずつほぼ同時に行われる。
勝敗の決着がつくと次の試合が時間も置かずに直ぐ始まるのでまるで流れ作業だ。
因みに審判の他に文官なんかも判定側にいて、ちゃっかり能力値や試合傾向を査定される仕組みである。
実は御前試合そのものが国にとって有能な人材発掘の場でもある為だ。
観客席は約10万席構えられていて指定席は前売り制で松・竹・梅で透明な魔法障壁で分けられている。
まあ、お察しの通り松が高額席でゆったりとした高級ロングソファー仕様でふんわりしたクッションや魔法の付与されたミニ冷蔵庫がセットされたテーブルもついている。
竹がその次でアイアン製のダブルシートでクッションなどは御自身でどうぞといった感じだ。
こちらも一応テーブルがセットされている。
梅が1番安くてシングルの木製ベンチで簡易のテーブルが椅子と椅子の間に一個配置されている。
御前試合は前売り制なので良い席は早いもん勝ちだ。
そして梅席の後ろにはミスタリーレ製のフェンスが張ってあり通路兼立ち見席でこちらは無料で観戦できる。
フェンスには防御魔法が常に発動しており、有料席にモノを投げ込んだり勝手に入り込んだり出来ないような仕組みになっている。
もちろん松席前にある闘技場との境にも透明な障壁が設置されているので、観客席全体から選手にちょっかいは出せないのはお約束である。
×××
国王が開会の宣言を行い、全員が一礼をして一旦会場から出ていくのを王族専用の観覧席から眺めるソフィア。
当然その横には正装の王太子シルファが座っており、二人の直ぐ後ろはアジェスの席だ。
そしてペットのチャッピーは指定席のソフィアの膝。
またしても寝ている・・・・
「チャッピーったら寝過ぎじゃない?
何処か調子が悪いのかしら?」
心配そうなソフィアの声に反応して、片目を開けるチャッピー。
『我は定年退職の爺なので権利を満喫しているに過ぎん』
「「「・・・」」」
そう言うとそのまま、ま~た眠ってしまう伝説の魔物・・・
ソフィア達3人は微妙な顔でお互いの顔を見たが、まあ、いいか邪魔になるもんじゃないし―― と思い直して、目の前の試合に注目する事にしたらしい。
「ねえ、この試合の出場者って3日前から各地で勝ち抜き戦やってたのよね?」
眼の前で魔法をぶっ放す魔法使い達を眺めながら一息つく為に冷たい果実水を口に含むソフィア。
「ああ、そうだ。
各領地の競技場で勝ち抜いてきた連中だよ。
国中の手練れをここに連れては来れないからな」
だから辺境領の騎士や魔術師が少ないのか~、と思わず納得する。
きちんと区画が分かれていて、最終的に勝ち残った者はその部門の優勝者だ。
最後は魔術師と騎士の一騎討ちになるのは例年のことだが、それは最後のお遊びで観客に対するアトラクションみたいなものだ。
魔術師には魔術師なりの戦い方があり、騎士や戦士達は彼らなりの戦い方があるからだ。
けして何処かの天◯一武◯会みたいに、唯一の勝者が決まる訳では無いのである。
・・・あわわ(汗)
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