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70 世界最凶決定戦②
しおりを挟む「divine punishment」
ソフィアが英単語を呟くと、おびただしい数の光の矢が天井から魔人を目指して真っ直ぐ降り注ぐ。
『ひえええッ!』
今度は男の声だ。
頭を抱えた状態で防御魔法を展開したようで、間一髪で矢を止めた。
『なんつう魔法だよっ!
コラア、こんなバケモンみたいなヤツに喧嘩ふっかけといて俺や小娘を盾にすんなッ!』
「あら、スタンさん?」
優し気な声のソフィアだが、杖は迷わず正確に動く・・・
「flame」
容赦なく彼の足元で炎の球がいくつもいくつも浮かび上がり、ボムのように次々に爆発する。
『ひえええぇえッ!』
慌ててシールドを発動させ宙に浮かせてその上に逃げるスタン――の姿の魔人かどうかも既に不明である・・
×××
一方それを眺めて呆けている国王陛下以下騎士団長達御一行。
「え、アレでも手加減してるんですか?」
――鬼ですよ、アレ。
足場がないじゃないですか・・・
「みたいだなぁ。
あ~、姪っ子で良かった。
あんな敵がいたら王国崩壊だ。
他国に嫁入りさせないように阻止しといてマジ良かったわ・・・」
陛下が額の冷や汗を拭う。
「そうだッ! 今のうちに闘技場の修復にかかれ!
ベヒモス達の障壁に魔力を割かなくてもいい奴は土魔法で屋根の穴を塞げッ!」
どうも陛下は見なかった事にしたいらしい――だって怖いんだもん・・・
陛下の号令で、一部の魔術師を残して手の空いた魔術師達が慌てて屋根の修復のために造形魔法を展開し始める。
それを片手間に手伝いながら、
「ソフィアたん、カッコイイ~・・」
とか言いつつ、うっとりと頬を片手で抑えているのは勿論リーナの中の人里奈。
「そうそう、アンタ。
リーナって言ったっけ?」
横にいたアジェスが里奈の方をグルンと振り返る。
「卒業パーティーの時と人格変わってねーか?」
「あ。はい、別人格ですね間違いなく。
本来のリーナは、魔人に精神体を乗っ取られて今ソフィア様と戦ってますね」
「「・・・・?」」
「詳しくはソフィア様に説明してもらって頂ければと・・・ ああッ!!
そこですソフィアたんッ! カッコイイ~♡ 流石ですッ!!」
握り拳を振り上げ、応援に戻ってしまう彼女を生暖かい目で見るアジェスと、考え込むシルファ王子。
――柏田里奈。享年17歳。
異世界で目覚めて間違いなく今1番エキサイトしている・・・
×××
「何故逃げてばかりですの?」
防御壁を次々に皿のように出して足場にし、空中に逃げる魔人のすぐ横に転移魔法で瞬時に現れ自身の足元にも防御壁を出して並び立つソフィア。
『怖いからだよッ!』
「あら、又スタンさん? もう考えるのも面倒ですから馬力で行きますわよ?」
彼女の手に握られている魔法のワンドが彼の尻を遠慮の欠片すら無いままに思い切りぶっ叩く。
『イテえッ!』
「嫌ですねえ、魔人をちゃんと前に出して下さいな。
貴方をぶっ叩いても意味がないですわ~」
ニコニコ笑うソフィア。
「この際貴方も一緒にぶたれます?
そんな高尚なご趣味(M)がお在り?」
『いやッ! ナイナイッ』
『ぎゃあああッ! 何でアタシを押し出すのよッ』
「あら、リーナさんもそんなに痛いのがお好きなの?」
ヒュンッと音がして、ワンドが長くなりまるで鞭のように相手の足に巻き付いて、空中で逃げ惑う男の体を拘束する。
『ぎゃあああッヤダヤダヤダッ!! 王太子の婚約者がこんなに凶暴なんて知らなかったのごめんなさいいぃ、早く出てきてってばアタシを盾にしないでよッ!』
顔色が真っ青になり両手で頬を抑え、某闇医者の助手の女の子みたいに顔を潰すオジサンの図・・・。
決して可愛くは無い。
あれは可愛い女の子がやるから可愛いのであって、オジサンがやっても決して可愛くは無い。
大事なことは2回言う――
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