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79 試合再開
しおりを挟む前代未聞の本戦外最終戦も無事決着がつき、闘技場崩壊の危機を乗り切ったのは良かったが、自分の息子の婚約者で姪でもある辺境伯令嬢ソフィア・レイド・グレーンが未知の生命体物体X(創造主)をテイムするという異常事態を引き起こしたせいで冷静さを欠いたガチムチ国王陛下が落ち着くのを待って(迷惑)、その1週間後に再試合が無事修復された闘技場で行われた――
「イヤー手二汗握ルヨネー」
「ホントホント」
「ミンナツヨイデスネー」
陛下、騎士団長、執事長。
この3人は1週間前の規格外戦闘を間近で見た後なので、どうもセリフが棒読みになりがちだ・・・
麗しの王妃と、侍女長は城に撤収後に起こった事は人づてに聞いただけなので実感はなく、3人の様子にしきりに首を傾げているところである。
「あ、里奈さんだー」
「おお、あの女魔術師。
最終戦勝ち抜いたぞ」
「中の人も強かったのね~」
「・・・」
ソフィアとアジェスが喜ぶ横で、無言のシルファ王子。
そしてソフィアの膝で眠るチャッピーとアジェスの足元の青いボール(レヴ)・・・。
「里奈さんは雷と土が得意みたいだけど、学生の時は火魔法特化だったでしょ?
中の人次第で得意な魔法が変わるのかしら?」
ウ~ンと首を傾げながら考えるソフィアに目を向け、
「考えてみたら身体は同じだからな。
不思議といえば不思議だな」
と、シルファも顎に手を当て考える。
「なんだろな~。
それこそポチに聞いてみたらいいんじゃねーの?」
アジェスも偶に考えたようだが、やはり聞いた方が早い派だったようである。
×××
『うん。
そうだよー。
肉体と言うよりは意識体に刻まれてる記憶が魔法に直結するねぇ』
丸い靄が疑問に答えながら食堂で食事をする王族達の疑問に答えている。
執事長と侍女長は壁に擬態しているが、目だけは怪しい靄を常に追っているようだ。
『あの里奈って子は科学の発達した世界の記憶があるから、雷属性は桁違いだろうね。
あと、土は何か関連する事をやってたかどうかかな?』
「あー、学校ではずっと園芸部だったらしいわね」
「園芸って、土いじりか!
成る程な、それであのエグいサイズのロックフォールか・・・」
アジェスが里奈の初戦を思い出してちょっとだけ引き攣った顔になる。
『今迄の経験とか学んだ内容がベースなんだヨ。
あと本人の特質っていうか性格的なモノも関係して得意な属性魔法は決まるんだ』
フヨフヨと浮きながら答えるポチは、どうやら考えると若干明るくなったり暗くなったりするようだ。
『何でも使えるみたいだし詠唱も独特なソフィアはかなり珍しいネ。
形成魔法が得意なのもかなり特殊だよ。
おまけに空間魔法や次元魔法まで使えるから、前世もかなり博識だったと思う』
「ウ~ン、それなりには? それで言うならシルファはもっと凄いよ。
私と違って前世の記憶なんか全く無くて今生の努力だけで私と同じくらい魔法が使えるようになったんだもの」
そう言いながら幸せそうにケーキを頬張るソフィアは今日こそ王宮シェフ達の傑作を食べてやると決意していたようで、コルセットのウェスト部分はユルッユルである。
――侍女長は眉をひそめたがシルファは頬を緩めたらしい。
触って適度に柔らかい方が男は好きだ。
例に漏れず彼もガチガチに硬い鎧はお好みではなかったようである。
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