【完結】転生辺境伯令嬢は可憐な魔法少女を目指しますッ〜心ゆくまで気の済むまで殴っても宜しいでしょうか? 勿論物理で〜

hazuki.mikado

文字の大きさ
90 / 92

90 魔王降臨・・・違います。

しおりを挟む



 美味しい焼肉を頂きながら、その後の話しで盛りあがり合併された元大手企業のビルの話になった。


「なんでもぉ~、落雷でぇビルの屋上の野外ビジョンと元会長の銅像が壊れちゃって、それからどんどん株価が暴落したらしいんでしゅよぉ~」


 出された果実酒の瓶をがっちり片手で抱え込み、勝手に手酌を始める里奈。


 「アレも~、じぇったい皆んなでしょお?

 何で誘ってくんないかなあ~~ つめたぁ~い」


 酔っ払って口を尖らす里奈はちょっと絡み上戸っぽい。

 それを見てゲラゲラ笑うアジェスは間違いなく笑い上戸だろう。


「だって、オメー大怪我で入院してたから仕方ねーじゃん。

 無理だってぇ」

「でも最後までお付き合いしたかったッすよ。

 なんてったってソフィアしゃまはぁ、わらしのガチ推しでしゅからぁ♡」

「まあ、アレは偶々なのよ~」


 デザートのプリンをスプーンで掬いながら口に運ぶソフィア。

 彼女はあまり酔ってない――実はザル。


「そうそう、たまったまだよなぁ~、野外テレビにさぁ、元上司と社長だっけか?

 記者会見の映像が写ったんだよお、判る?」

「ほほう・・・うん?」

「そしたら何つったか忘れたけどそいつらの名前をソフィアが口にしたら、魔王が降臨した。

 ギャハハハハハッ」

「え? 魔王って?」

「俺だ」


 声の主はシルファ。

 大変珍しい不貞腐れ顔である。


「俺以外の男の名前を呼ぶのは許さんとか言っちゃってぇ~、あのテレビぶっ壊しやがったのコイツ」

「げぇ? あの屋外用LEDビジョン?」


 ――確か縦横5m以上はあったような・・・


「そうそう、一瞬で画面パア。

 でビル全体は停電して地上大騒ぎでさぁ~、もうついでだからって身体強化したソフィアが会長の銅像をパンチで破壊しちゃってさァ~~

 ウヒャヒャヒャヒャヒャ!」


 突っ伏して笑うアジェスを見ながら、酔った頭で言われたことを整理する里奈。


 ――つまり、恋人が他の男の名前を呼ぶのが嫌で巨大LEDビジョンをぶっ壊した男と、そのついでだからと銅像をパンチで壊した女がこの国の将来の国王夫妻?・・・


「楽しショウで、いいレシュね~さいっこう!

 グレーン王国ばんじゃいッ!

 ソフィアたんばんじゃいッ!!」


 両手で万歳三唱を始める里奈。


 ――因みに大酔いで万歳三唱は更に悪酔いするので良い子は真似しないように!――


「駄目だコイツ目茶苦茶酔ってる、ぶッククククッゲヘッ息ッ!」


 笑いすぎて酸欠気味のアジェス。


「2人共、酔い過ぎだッ!」

「もう仕方ないわね~、あああっそこに寝ちゃだめ・・・

 遅かった」


 2人がヒーヒー笑いながら腹を抱え、のんびり寝そべるレヴの背の上にボフンッと倒れたが、柔らかな身体が気持ちよくて2人でそのまま魔物の背中に頬ずりをしてイビキをかき始める。


「ヤレヤレ、本当ニ世話の焼ける主人ダナ・・・」


 そう呟く魔物の方は、迷惑そうな顔でチラリと飼い主と女魔術師を見ただけでそのまま目を閉じた。


 ――料理の皿を運ぶために3m級に身体を大きくしておいて正解だったとレヴはチラッと思ったが口にはしない。

 だってレヴィアタンはツンデレだから――



×××






 夜の帳が下りる。

 この世界には確かに魔素は降り注ぐが空気を汚す公害はない為、星空は濃紺の天鵞絨の上に宝石箱の中身を隅々までばら撒いたように見える。

 まるで天から星の光に祝福されているように感じてしまいそうになるくらいには美しい――


「綺麗ねえ」


 ほう、とソフィアが空を見上げて溜息を吐く。

 視線をその下の海面に移せば空と海は境界線が溶けたように一つになり、水面にも星が散らばり瞬いている。

 違いは砂浜に近くなる程波の動きに従い、波打ち際迄星が押し寄せてくるように見える事だ。

 幻想的な自然の美しさに我を忘れて見入っている妻になったばかりの幼馴染みの顔をじっと見つめるシルファ。


「そうだな。

 この世界の星空は隣の箱庭で見た夜空に比べたら雲泥の差だ」

「ねえ、シルファ?」

「ん?」

「ありがとう。

 ずっと心残りだった事を解消させてくれて」


 ウフフ、と頬笑みながらバルコニーの手摺にもたれて振り返るソフィア。


「さっきの箱庭の話なら単に俺がヤキモチ妬きなだけだ」


 いつものように片眉をツイッと上げるシルファ王子。


「ヤキモチ妬き万歳だわね」

「そうか?」

「そうよ。

 次元を超えたヤキモチなんて、壮大過ぎるかもしれないけど。

 私は嬉しかったわ」

「・・・そうか」

「前世に未練なんか無いって、本当に思ってたのよ?

 でも実際に戻ってみたらぜーんぜん納得なんかできてなかったのよ。

 忘れたつもりで心の奥底で燻ってたのね。

 でも鬱憤を晴らす機会を貴方が与えてくれたのよ?

 ありがとうシル」



しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

リリゼットの学園生活 〜 聖魔法?我が家では誰でも使えますよ?

あくの
ファンタジー
 15になって領地の修道院から王立ディアーヌ学園、通称『学園』に通うことになったリリゼット。 加護細工の家系のドルバック伯爵家の娘として他家の令嬢達と交流開始するも世間知らずのリリゼットは令嬢との会話についていけない。 また姉と婚約者の破天荒な行動からリリゼットも同じなのかと学園の男子生徒が近寄ってくる。 長女気質のダンテス公爵家の長女リーゼはそんなリリゼットの危うさを危惧しており…。 リリゼットは楽しい学園生活を全うできるのか?!

転生悪役令嬢に仕立て上げられた幸運の女神様は家門から勘当されたので、自由に生きるため、もう、ほっといてください。今更戻ってこいは遅いです

青の雀
ファンタジー
公爵令嬢ステファニー・エストロゲンは、学園の卒業パーティで第2王子のマリオットから突然、婚約破棄を告げられる それも事実ではない男爵令嬢のリリアーヌ嬢を苛めたという冤罪を掛けられ、問答無用でマリオットから殴り飛ばされ意識を失ってしまう そのショックで、ステファニーは前世社畜OL だった記憶を思い出し、日本料理を提供するファミリーレストランを開業することを思いつく 公爵令嬢として、持ち出せる宝石をなぜか物心ついたときには、すでに貯めていて、それを原資として開業するつもりでいる この国では婚約破棄された令嬢は、キズモノとして扱われることから、なんとか自立しようと修道院回避のために幼いときから貯金していたみたいだった 足取り重く公爵邸に帰ったステファニーに待ち構えていたのが、父からの勘当宣告で…… エストロゲン家では、昔から異能をもって生まれてくるということを当然としている家柄で、異能を持たないステファニーは、前から肩身の狭い思いをしていた 修道院へ行くか、勘当を甘んじて受け入れるか、二者択一を迫られたステファニーは翌早朝にこっそり、家を出た ステファニー自身は忘れているが、実は女神の化身で何代前の過去に人間との恋でいさかいがあり、無念が残っていたので、神界に帰らず、人間界の中で転生を繰り返すうちに、自分自身が女神であるということを忘れている エストロゲン家の人々は、ステファニーの恩恵を受け異能を覚醒したということを知らない ステファニーを追い出したことにより、次々に異能が消えていく…… 4/20ようやく誤字チェックが完了しました もしまだ、何かお気づきの点がありましたら、ご報告お待ち申し上げておりますm(_)m いったん終了します 思いがけずに長くなってしまいましたので、各単元ごとはショートショートなのですが(笑) 平民女性に転生して、下剋上をするという話も面白いかなぁと 気が向いたら書きますね

【大賞・完結】地味スキル《お片付け》は最強です!社畜OL、異世界でうっかり国を改革しちゃったら、騎士団長と皇帝陛下に溺愛されてるんですが!?

旅する書斎(☆ほしい)
ファンタジー
【第18回ファンタジー小説大賞で大賞をいただきました】→【規約変更で書籍化&コミカライズ「確約」は取り消しになりました。】 佐藤美佳子(サトウ・ミカコ)、享年28歳。死因は、過労。連日の徹夜と休日出勤の果てに、ブラック企業のオフィスで静かに息を引き取った彼女が次に目覚めたのは、剣と魔法のファンタジー世界だった。 新たな生を受けたのは、田舎のしがない貧乏貴族の娘、ミカ・アシュフィールド、16歳。神様がくれた転生特典は、なんと《完璧なる整理整頓》という、とんでもなく地味なスキルだった。 「せめて回復魔法とかが良かった……」 戦闘にも生産にも役立たないスキルに落胆し、今度こそは静かに、穏やかに生きたいと願うミカ。しかし、そんな彼女のささやかな望みは、王家からの突然の徴収命令によって打ち砕かれる。 「特殊技能持ちは、王宮へ出仕せよ」 家族を守るため、どうせ役立たずと追い返されるだろうと高をくくって王都へ向かったミカに与えられた任務は、あまりにも無謀なものだった。 「この『開かずの倉庫』を、整理せよ」 そこは、数百年分の備品や資材が山と積まれ、あまりの混沌ぶりに探検隊が遭難したとまで噂される、王家最大の禁足地。 絶望的な光景を前に、ミカが覚悟を決めてスキルを発動した瞬間――世界は、彼女の「お片付け」が持つ真の力に震撼することになる。 これは、地味スキルでうっかり国のすべてを最適化してしまった元社畜令嬢が、カタブツな騎士団長や有能すぎる皇帝陛下にその価値を見出され、なぜか過保護に甘やかされてしまう、お仕事改革ファンタジー。

幼女はリペア(修復魔法)で無双……しない

しろこねこ
ファンタジー
田舎の小さな村・セデル村に生まれた貧乏貴族のリナ5歳はある日魔法にめざめる。それは貧乏村にとって最強の魔法、リペア、修復の魔法だった。ちょっと説明がつかないでたらめチートな魔法でリナは覇王を目指……さない。だって平凡が1番だもん。騙され上手な父ヘンリーと脳筋な兄カイル、スーパー執事のゴフじいさんと乙女なおかんマール婆さんとの平和で凹凸な日々の話。

どうも、死んだはずの悪役令嬢です。

西藤島 みや
ファンタジー
ある夏の夜。公爵令嬢のアシュレイは王宮殿の舞踏会で、婚約者のルディ皇子にいつも通り罵声を浴びせられていた。 皇子の罵声のせいで、男にだらしなく浪費家と思われて王宮殿の使用人どころか通っている学園でも遠巻きにされているアシュレイ。 アシュレイの誕生日だというのに、エスコートすら放棄して、皇子づきのメイドのミュシャに気を遣うよう求めてくる皇子と取り巻き達に、呆れるばかり。 「幼馴染みだかなんだかしらないけれど、もう限界だわ。あの人達に罰があたればいいのに」 こっそり呟いた瞬間、 《願いを聞き届けてあげるよ!》 何故か全くの別人になってしまっていたアシュレイ。目の前で、アシュレイが倒れて意識不明になるのを見ることになる。 「よくも、義妹にこんなことを!皇子、婚約はなかったことにしてもらいます!」 義父と義兄はアシュレイが状況を理解する前に、アシュレイの体を持ち去ってしまう。 今までミュシャを崇めてアシュレイを冷遇してきた取り巻き達は、次々と不幸に巻き込まれてゆき…ついには、ミュシャや皇子まで… ひたすら一人づつざまあされていくのを、呆然と見守ることになってしまった公爵令嬢と、怒り心頭の義父と義兄の物語。 はたしてアシュレイは元に戻れるのか? 剣と魔法と妖精の住む世界の、まあまあよくあるざまあメインの物語です。 ざまあが書きたかった。それだけです。

無魔力の令嬢、婚約者に裏切られた瞬間、契約竜が激怒して王宮を吹き飛ばしたんですが……

タマ マコト
ファンタジー
王宮の祝賀会で、無魔力と蔑まれてきた伯爵令嬢エリーナは、王太子アレクシオンから突然「婚約破棄」を宣告される。侍女上がりの聖女セレスが“新たな妃”として選ばれ、貴族たちの嘲笑がエリーナを包む。絶望に胸が沈んだ瞬間、彼女の奥底で眠っていた“竜との契約”が目を覚まし、空から白銀竜アークヴァンが降臨。彼はエリーナの涙に激怒し、王宮を半壊させるほどの力で彼女を守る。王国は震え、エリーナは自分が竜の真の主であるという運命に巻き込まれていく。

婚約破棄された公爵令嬢は冤罪で地下牢へ、前世の記憶を思い出したので、スキル引きこもりを使って王子たちに復讐します!

山田 バルス
ファンタジー
王宮大広間は春の祝宴で黄金色に輝き、各地の貴族たちの笑い声と音楽で満ちていた。しかしその中心で、空気を切り裂くように響いたのは、第1王子アルベルトの声だった。 「ローゼ・フォン・エルンスト! おまえとの婚約は、今日をもって破棄する!」 周囲の視線が一斉にローゼに注がれ、彼女は凍りついた。「……は?」唇からもれる言葉は震え、理解できないまま広間のざわめきが広がっていく。幼い頃から王子の隣で育ち、未来の王妃として教育を受けてきたローゼ――その誇り高き公爵令嬢が、今まさに公開の場で突き放されたのだ。 アルベルトは勝ち誇る笑みを浮かべ、隣に立つ淡いピンク髪の少女ミーアを差し置き、「おれはこの天使を選ぶ」と宣言した。ミーアは目を潤ませ、か細い声で応じる。取り巻きの貴族たちも次々にローゼの罪を指摘し、アーサーやマッスルといった証人が証言を加えることで、非難の声は広間を震わせた。 ローゼは必死に抗う。「わたしは何もしていない……」だが、王子の視線と群衆の圧力の前に言葉は届かない。アルベルトは公然と彼女を罪人扱いし、地下牢への収監を命じる。近衛兵に両腕を拘束され、引きずられるローゼ。広間には王子を讃える喝采と、哀れむ視線だけが残った。 その孤立無援の絶望の中で、ローゼの胸にかすかな光がともる。それは前世の記憶――ブラック企業で心身をすり減らし、引きこもりとなった過去の記憶だった。地下牢という絶望的な空間が、彼女の心に小さな希望を芽生えさせる。 そして――スキル《引きこもり》が発動する兆しを見せた。絶望の牢獄は、ローゼにとって新たな力を得る場となる。《マイルーム》が呼び出され、誰にも侵入されない自分だけの聖域が生まれる。泣き崩れる心に、未来への決意が灯る。ここから、ローゼの再起と逆転の物語が始まるのだった。

【完結】奇跡のおくすり~追放された薬師、実は王家の隠し子でした~

いっぺいちゃん
ファンタジー
薬草と静かな生活をこよなく愛する少女、レイナ=リーフィア。 地味で目立たぬ薬師だった彼女は、ある日貴族の陰謀で“冤罪”を着せられ、王都の冒険者ギルドを追放されてしまう。 「――もう、草とだけ暮らせればいい」 絶望の果てにたどり着いた辺境の村で、レイナはひっそりと薬を作り始める。だが、彼女の薬はどんな難病さえ癒す“奇跡の薬”だった。 やがて重病の王子を治したことで、彼女の正体が王家の“隠し子”だと判明し、王都からの使者が訪れる―― 「あなたの薬に、国を救ってほしい」 導かれるように再び王都へと向かうレイナ。 医療改革を志し、“薬師局”を創設して仲間たちと共に奔走する日々が始まる。 薬草にしか心を開けなかった少女が、やがて王国の未来を変える―― これは、一人の“草オタク”薬師が紡ぐ、やさしくてまっすぐな奇跡の物語。 ※表紙のイラストは画像生成AIによって作られたものです。

処理中です...