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旦那様は甘いのがお好き〜執着婿入り王子様の華麗なる日常(肉欲付き)〜
12【最終話】日々是平和
しおりを挟む春季長期休暇も終わりを迎え、義妹が寮へと帰る日。
家族との暫しの別れを惜しむ姿を俺はカサブランカの肩を抱いたまま見ていた。
「お義兄様」
「ん?」
「ご迷惑をお掛けしました」
義妹よ、お前。
頭を下げる事知ってたんだな・・・
「これからは学業に励みます」
「ああ、そうしなさい」
「・・・負けませんから」
「?」
「お姉様は私のモノです」
「!」
小声でそう云うと、不敵に微笑む義妹。
「自覚させて頂き有難うございます。
これからは己を磨きますわ」
「ああ、頑張れ。
だが、カサブランカは俺のモノだ。
渡さんよ」
互いの間に火花が散った。
「それでは失礼しますわ」
馬車に乗って出発するのを残された家族と使用人が見送る中、なんか馬車の上に
『お~っホッホッホ』
つう、フキダシが見える気がするわ・・・後で頭痛薬飲むか。
××××××
平和な日が続く中、姉妹で文通をマメにしているのを最近よく見かける様になった。
ま、文通ぐらいは害にならんから良いだろうと目を瞑る俺。
ホントは嫌だけどね。
「最近ローナは文章が上手になって来たのよ」
と、妻(仮)が嬉しげにのたまう。
「な~んか、作家になるって言ってるのよねえ~・・・」
「まあいいんじゃね。
人生には目標があったほうが楽しいだろ」
そうね、と言いながら手紙の内容を俺に教える妻(仮)。
「最近、領都の女子の間でお菓子作りが流行ってるんだって」
「平民街か?」
「ううん、貴族の子女の間で。
好きな人に手作りのお菓子をプレゼントするらしいわ」
「へえ~」
書いてある事を読み上げるカサブランカ。
「何々、クッキーが愛しあう恋人同士で、片思いがチョコレート?」
「なあ。
それバレンタインチョコじゃねーの?」
「そんな気もするわねぇ」
そんな会話があった3日後にやって来たのが厨房のアルマゲドン事件。
掃除で済んだらしいが。
×××
「ところで、何でクッキーに枝豆なんだ?」
俺はメイドの入れた紅茶で、愛妻(仮)の作った焼き過ぎて甘味の全くない中が空洞になったボソボソのきな粉味の硬くてやたらと歯ごたえがする謎の物体を流し込んでから、彼女に聞いてみた・・・。
メイドがすかさず、おかわりの紅茶を入れたのを横目に水が欲しいと合図すると、引き攣った顔の彼女がウォーターピッチャーとグラスをそっと目立たないようにローテーブルの端にセットした。
――メイドも優秀だな。
「ん~とね、栄養価が高いから。
あと、フレディが好きでしょ?」
「いや?
ビール飲むなら喰うが」
「アレ?
記憶違いだったっけ」
「お前、前世で飲み屋でビールばっか頼んでただろーが!
そのせいだよ」
「そっか~。
ローナがクッキーの作り方教えてくれたからフレディに作ってみたんだけど、どう?」
顔を桃色に染めて、モジモジする愛妻(仮)カサブランカ・・・
「・・・お前の作ったもんは何でも旨いよ」
――ローナめ!
要らんこと吹き込みやがったな・・・
俺はメイドと執事長が壁に擬態しながらハンカチでそっと涙を拭うのを横目に確認したよ・・・。
「なあ、その領都の流行りってのは女子が作ったもんじゃないと駄目なのか?」
「ううん、その辺は何も書いてなかったわ」
「そうか・・・」
××××××
翌日――
「どう、コレで満足?」
「え、凄~い!
どうしたのコレ?」
「作った」
――大掃除の済んだピカピカの厨房で、料理長とその部下全員に称賛の眼差しを注がれながらな。
ラング・ド・シャ、ビスコッティ、サブレ・ディアマン、ブランデースナップ、スノーボール、コラーチ、アーモンド・チュイール、レープクーヘン、フロランタン、アンデル・カコール、ジンジャークッキー、チョコレート・クリンクル、クール・ツィムトシュテールネ等々・・・
前世込みで思いつく限りのクッキーという名の付く菓子を侍女がワゴンで運び込み、愛妻(仮)の目の前のテーブルに山盛りに置いた。
ついでにマカロンとザッハトルテを作ったのは彼女の好物だからだ。
「当分は厨房に出入り禁止だ。
火傷しただろ?」
こっそり包帯を手首に巻いているのを侍女に見つかり、速攻で報告が来たから知ってるぞ。
もちろんチップは弾んだが。
「うん、分かった。
御免なさい」
テヘっと舌を出した吊り目の美女を俺はギュッと抱きしめて。
優しくキスをした――
了――
『旦那様は甘いのがお好き~執着婿入り王子様の華麗なる日常(肉欲付き)~
by. hazuki.mikado
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