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37 アリステッド的推し?
しおりを挟むじつに平和に朝のSHを終え、1時限目の担任の授業時間に入ると後期の基礎授業の結果を全員に配り始める。
Aクラスは15人足らずの編成で人数が少なく、生徒が呼ばれ受け取りに行くのでは無く教師が配るスタイルで、その際に個人個人の結果について短い感想を教師が伝えるらしい。
「ミリア―ヌ・リンツ嬢は、あ~、魔術学は文句無しの評価特Aですね。
他教科もAばかりで全体的に好成績です。
新学年でもこの調子で頑張って下さい」
「ありがとうございます」
いままで学業を頑張ってきたのはミリア―ヌであって自分ではないが当たり障りのない返事でもしておくか、と笑顔で礼を述べるアリステッド。
成績表を受け取る為に手を差し出そうとすると、何故か上から手が伸びてきて代わりにセラフィが受け取った。
「おや、中々にヤキモチ妬きの精霊ですね」
クラス担任がクスクス笑いながら、次の生徒へ成績表を渡すために去っていく背中を見送りながら
「セラフィ? どうしたんだ」
不思議そうな顔になるアリステッドに
「ん~、何となく嫌だったから?」
口を尖らせるセラフィ。
「うん? 私がか?」
「ううん、あの担任が」
「? 敵意は無かったが?」
「そういうんじゃないよ。男だったから」
ぷいっと横を向くとそのまま姿を消すセラフィ。
「男だったから?」
はて? と首を傾げるアリステッドである。
×××
今日は最後の授業の日だが殆どが選択科目の教科担任から成績表を貰うだけで、授業らしい授業もなく昼前に学園は終了し明日は終業式だけ。
なので終業式当日は昼前どころか、かなり早い時間に学園が終わるため遠い領地から学園に来ている寮生等はほぼ授業の無い今日から自領に帰る者もいる。
そのせいで大型馬車が馬車溜まりに集まっているらしく、伯爵家所有の馬車も直ぐには出発できない為マーサも含め他家の従者達がその事を知らせに早めに教室前までやってきていた。
帰り支度を済ませたアリステッドは周りの生徒達に微笑みながら挨拶をすると席を立ち、セラフィにエスコートされながら教室まで迎えに来たマーサと共に廊下を歩く。
「どうやらミリア―ヌ嬢の友人じゃ無いのだな、あのゴンチャロフ嬢とやらは。
しかし何故ああもミリア―ヌに絡むのか・・・
殺意は感じぬので放置で良いだろうが、敵意とも違う・・・ 対抗心とでも言うのかアレは?」
「今頃気が付いたの・・・」
呆れるセラフィ。
「ぎゃーぎゃー騒がしいくせに友人だと言って纏わりつく魔族の女は多いのでな。
いちいち気にしとったら仕事にならんからな」
「ああ、アレはですね・・・
第2王子の婚約者選定の際の茶会に参加できなかったので、逆恨みでしょうね。
最初王子と釣り合う年齢の伯爵位以上の貴族子女を1年の間に3回王城に集めたんですけど、毎回ゴンチャロフ家は不参加だったんですよ」
「なんで参加しなかったんだ?」
あんなに王子妃に拘るのなら何故参加しなかったのかが不思議だと思ったアリステッドは首を傾げる。
「初回は麻疹ですね。
2回目は水疱瘡、で、3回目はおたふく風邪だったと思います」
マーサが表情を変えることもなく、淡々と語る。
「そんなに小さな時から婚約者選定してたのね・・・
しかもどれも外出禁止になるヤツだわ~」
セラフィが可哀想にと思ったらしく眉を下げたが、
「いえ? 茶会は王子が12歳になってから始まりました。
ミリア―ヌお嬢様の参加は11歳からです。
ゴンチャロフ様も同い年ですから、条件は一緒にございます」
「アチャ-・・・運がないわね」
「しかし彼女はすべて快癒しているのなら寧ろ運が良いのではないか?
大きくなってからだと障害が残る不安があるのだぞ?
ゴンチャロフ嬢は見たところ異常は無さそうだ」
「そ、そうね・・・」
「ピンクは滑舌に異常があるからな、王子妃に推すならゴンチャロフ嬢だろう。
免疫も強そうだし、ピンクだと外交に差し障りがあるからな
国外に赴いた時に病気に強い健康な妻なら王子も安心だろう」
何か、色々忘れているような気が・・・。
「ねえ、その二人しか第2王子の再婚約相手がいないのかしら?」
「王子妃になりたいという意思表示をしているのは見たところあの二人だけだ。
我に選択肢が与えられるのならゴンチャロフ嬢だな」
「「・・・・・・」」
一応まだミリア―ヌ・リンツ嬢は婚約白紙には至っていない・・・。
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