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28 王子、悔ゆ
しおりを挟む「そんな・・・ 私のせいで」
愕然とするレオナルド王子。
ここで慰めの言葉の一つでも掛けるのが人情というものであろうが、生憎アリステッドは人は人でも魔人である。
知り合いでもない相手にそんな情など持てるほどフレンドリーな性格でもなければ生い立ちでもない。
気を抜くと暴れる配下を常に力で抑えつけて飼いならすのが仕事という超ハードモードの人生を送っていた女王様だったのだ。
まぁアリステッドとて普通の出会いなら相手と互いに知り合う為の時間さえあれば、もうちょっと優しい対応だろうが。
そもそもレオナルドのせいで自分の生まれ変わりであるらしいミリアーヌが大勢の貴族達の前で恥をかかされたのである。
どっちにしろレオナルド王子に優しくする気などさらさら無いに決まっている。
夜会の参加者の人数分位は冷たくしても当然くらいに思っていたりする。
「ああ。そうだな。
実に間違いなくお主のせいだ」
「ぐッ・・・ そこは私を慰めるところでは?」
「残念だが、我はお主の婚約者であったミリア―ヌ嬢とは違うのでな。
見ず知らずの男に情を掛けてやる程甘くは無いのだよ」
そう言いながら片手で持っている剣の刃を指でつつーっと撫でると呆れ顔になる。
「それはそうとお主、この国の王子だというから少しは期待しておったのに。
我とは比べ物にならぬ程弱いな。
全くもって勝負にならんではないか。
そんなことで国を守れるのか?
国民を外敵から守るのが王族の責務だろうに」
アリステッドは片手で持ったロングソードをクルクル回し、ヒュンヒュンと音をさせながら眉根を寄せて不満を漏らした。
「くッ・・・ 悔しい!」
「ほお、悔しいか。
見どころはありそうだな」
ふふん、と口角を上げると、
「なんなら我が直々に稽古をつけてやろうぞ?」
そう言いながらロングソードを絨毯敷の床に突き刺してニンマリ笑う。
同時に絨毯の下でナニかが
『ビキビキビキッ!』
と割れた音がした。
恐らくは大理石の床に亀裂が入った音だろう・・・
いえ、お断りしますッ! と心中では叫ぶが、声にはならず顔が引き攣って終わったレオナルドである。
×××
「さて、と。
ミリアーヌ嬢を蔑ろにした二人は我に屈したな。
最後に残るのは国王か。
では父君を返して貰いに行くか」
「アリス、王子も玉に入れちゃったの?」
呆れ顔のセラフィが彼女の周りに浮かぶ二つの玉を見比べる。
片方はピンク改めシンシア・コッパー嬢。
もう一つはレオナルド・キャメロン殿下である。
「一緒の玉に入れた方が良かったのか?」
「いいえ~、そういうことじゃなくってピンクちゃんと違って殿下は大人しそうだったからさー。
閉じ込めなくても良かったんじゃないかな~、って思ったの!」
「勝者が敗者を己の監視化に置くのは我らにとっては当たり前だ。
こ奴らは我に負けたのだから当然それなりの扱いになる。
この玉に関しては当然我が勝ったということを周りに知らしめるためでもある。
まぁ要は、捕虜扱いだな」
透明な玉の中でアリステッドの言葉を聞いて
『がーーーーーん』
と言わんばかりにショックを受けている王子を他所に
「次は国王の部屋に案内せよ。
婚約の継続なんぞ冗談じゃない。
サッサと白紙撤回にさせようぞ」
己の指先で優雅に羽を広げる蝶に向かって指示を与えた。
「アリスにかかったら人族の王様なんて・・・
あーカワイソウ~」
「可哀想が棒読みだぞセラフィ」
「・・・・・・」
例え相手が王族だとて気にしないのがアリステッドだ。
何しろ本人が女王陛下である。
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