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episode2 恋ハ異ナモノ味ナモノ
12話 英雄との謁見
しおりを挟む武勇や才知などが優れており普通の人には出来ないような事柄を成し遂げる人物を英雄というーーー
××××××××××
「というわけでして」
「・・・」
「いや、それはいいんだが、いや? 良いのか? まあいい。なんでその説明を御二方が?」
「まあ、ついででしょうかね~? クエストの依頼が偶々南大陸のものだっただけですねえ」
そう言いながら、野に咲く菫の様な青紫の瞳は楽しげに弓なりになった。
ダークブロンドの長い髪の毛をポニーテールに結んだ美少女の横には、黒髪の仏頂面の美青年が長い脚を組んで座っている。
2人はハイドランジアの冒険者ギルドで請け負った、Sクラス魔獣の大群の討伐クエストを10分程でチャッチャと片付けた帰りに皇城に立ち寄ったらしい・・・
「ミハイルさん、なんでそう機嫌悪いんですか~」
「そりゃお前、厄介事を避けたいからに決まってるだろう」
ミハイルと呼ばれた青年がため息をつく。
ここはトリステス帝国の皇帝陛下の執務室である。
ソファーにすわる2人に向かってクツクツと笑うのはこの国の皇帝陛下、グエン・トリステスその人である。
「聖王殿も聖女殿も申し訳無い。態々おいでいただいく事になるとはな。聖王殿はウチの皇女が鬼門だから、さぞかし気乗りはしなかったろうに」
「まぁ、申し訳ないがそんなとこです」
ミハイルはもう一度大きな溜め息を付いた。
××××××××××
「いいわ! 転移門が無くなったんなら、スクロールでトリステスに行けばいいんですもの!」
そう言いながら神殿のマホガニー製の猫脚ソファーからすっくと立ち上がるシンシア王女。
「どどどっどうしたんですか急に? シンシア様??」
鼻息を荒らげてキッと振り向く王女。
「ワタクシ、この気持ちにキチンと向き合うために、もう一度陛下にお会いしてきますわ!」
「えええええぇ~」
「オイ、こら待てシンシア。早まるなってば」
首を横に振りながら
「ワタクシ、気が付きましたの!
「「はあ」」
「ワタクシ、とても不誠実でしたの」
「「はあ」」
「グエン様にキチンとワタクシの気持ちをお伝えしていないから、こんな風にウジウジするのですわ!」
「「あ、はい」」
「ですから今直ぐ冒険者ギルドに行って転移スクロールを購入してトリステスに行ってきます!」
「「えええええー本気で?」」
目が点になるミリアとミゲル。
「どう考えても、答えが出ないということは、途中経過が何か間違っているからなのですわ」
「「は?」」
「どうすればいいかという答えがどうしてもワタクシの中で結論が出ない、つまりグエン様に対するワタクシの態度が曖昧だったからですのよ!」
「「・・・・はぁ」」
「ワタクシ、あんなふうに圧倒的に情熱的な口説き方をされた事が御座いませんでしたから、コチラからの意思表示をするタイミングを失ってしまいましたわ。その上あの騒ぎでバタバタと帰ってきてしまいましたもの・・・」
「「あ、はい」」
「ワタクシだって、ワタクシだって・・・」
「「?」」
「好きって言いたかったのですもの!」
「「おー」」
「でも、婚姻はしないってお父様やモース様に伝えて、アチコチお断りをしていただいている手前、今更好きな人ができましたなんて言えないって思っていたんですのよ」
「「はぁ成程」」
「ミリアちゃんとミゲルに聞いてもらってスッキリしましたわ。ワタクシの気持ちを色々な角度から検証してみてこの答えに行き着きましたのよ!」
「「・・・・ソウキタカー」」
「ですから、今から冒険者ギルドに行ってまいりますわ!」
シンシア王女、意外にも直情型だったようである。だがしかし。
「シンシア残念だが転移スクロールはギルドに登録してる者しか買えんぞ」
あっさり聖王様にそう言われてしまったのである・・・
××××××××××
まあ、そんなわけで宥め賺してシンシア王女をフリージア城に押し戻し、自分達の魔法でトリステスへやってきた2人。
トリステスの皇都、ハイデンベルグにある冒険者ギルドへクエスト達成報告をするついでに皇帝に謁見出来る様に神殿から魔法の緊急連絡で(魔法便)約束を取り付け皇城にやってきたのである。
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