【完結】引きこもり王女の恋もよう〜ハイドランジア王国物語〜

hazuki.mikado

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episode2 恋ハ異ナモノ味ナモノ

22話 秘策・・・?

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 「元々我が国とシャガル王国とは昔からの因縁もあり、友好的とは言い難い仲なのですの。しかし我が国に王女が生まれる度に図々しくも側室に差し出せと舐め腐った事を言ってくる歴史がございますの」

 「・・・・」

 「勿論、我が国から王女を差し出したことなど一度も御座いませんわよ? 王女どころか、の国の貴族とも縁続きにはなっておりませんわ。寧ろ我が国はシャガルと縁続きになることを忌避しており、100年くらい前にの国が我が国の王族を拉致しようと画策して以来、外交そのものが消極的なのです。所がワタクシに王女が2人生まれて以来、現王がしつこく、ウンザリする程婚姻の打診をし始めましたの・・・ 第一王女がリンデン公国に輿入れしたので余計に執念深くシンシアに執着しているのだと思いますの・・・」


 王妃は、ため息をついた。


 「シンシアは今まで異性に興味もなく、外遊もしたことは無かったのですが式典等で各国の王族の目に触れたのを切っ掛けに、やたら美しいと評判になってしまいましたの。ですから正直、自国で穏やかに暮らせるお相手を探すか一生王宮で暮らすかのどちらかしか無いと思っておりました。ですが今回グエン様のお目に止まり、又娘自身も貴方様を望んでいることを親として本当に喜んでおりますのよ・・・ ただ」

 「ただ?」

 「まぁた、あのシャガルの国王の手先が今度はトリステス帝国にまで現れたというではありませんか」


 右手に持つ畳んだ扇がメリメリッ! ビキッ! と音を立てる。

 凄い握力である・・・


 「娘の安全が一番なのは申し上げなくともお解り頂けると思っておりますの」


 グエンは頷く。


 「当然です。シンシア王女の安全が第一でしたので留学も途中でしたがハイドランジアに送り返させて頂きましたので」

 「その迅速な対応は本当に有り難かったですわ。娘を本当に大切に思えばこそ、そうなさったというのがワタクシにはよくわかりましたのよ」


 花が綻ぶような笑顔になる王妃殿下。


 「もし正式に婚姻の申し出をお受けするという親書をお送りしたら、シャガルが黙っていないと思いますのよ。それだけが心配で・・・ 主人もそこを懸念しておりますの。もっとも主人はシンシアがずっと自国にいることを望んでいるフシがあるので、複雑なのだと思いますわ・・・ 以前は嫁に出そうと躍起になっていましたのにね。男親は本当に面倒ですわ」


 ホホホと新しく女官に差し出された扇を顔の前に広げると、可笑しそうに笑う王妃殿下である。


××××××××××


 王妃の座るソファーの向かい側にシンシアとグエンが並び、歓談を続けている所にフィリップ国王と、モース宰相がやってきた。

 「おまたせしました。グエン殿。お忍びで神殿に来られていただけの所をコチラの我儘でお出でいただき誠に恐縮です」


 少し赤味がかった黒髪にハイドランジア王家特有の星空のような瞳のフィリップ国王陛下は御年48歳、グエンより5歳歳上である。

 別室でモース宰相に説教され、尻を叩かれ、グエン本人が城を訪れた事により、とうとう嫁に出すことを決心した所である。


 「グエン殿。シンシアとの婚姻のお申し込み、しかと承りましたぞ」


 その言葉に王妃は驚いた顔で隣に座ったフィリップを見つめる。


 「だが、例のシャガルのあれさえ片付けばと思ってはおります・・・ 自国民が拐われていた歴史もありますが、未だ開放されていないものがいるのなら早急に手を打たねばなりません。それと神殿で捕縛した間諜からやはり彼の国はもう立ちいかなくなったという証言が取れましたからなあ・・・」


 困った顔で眉を寄せるフィリップ国王。


 「神殿預かりの間諜はどうなさるおつもりですか?」


 グエンが眉を寄せ、フィリップに問う。


 「いや、勿論身元を洗い出し然るべき処置はするつもりではありますがな・・・ 国が一つおかしなことになる方が重大事件ですな」


 ため息をつくフィリップである。


 「仲は良くないとはいえ、隣国ですからな、人の動きがあるでしょう。まあご存知でしょうが我が国より王妃の母国であるリンデンに逃げてくる者が元々多かったのですよ。しかしこれからはそうも言っておれんかも知れません」


 ため息をつくフィリップ。


 「何やら聖王殿達が秘策があるとのことなのですが・・・」

 「へえ。初耳だな」


 グエンとシンシアはお互いの顔を見たが、お互いに首を横に振る。

 どちらも知らないらしい。


 「あの方達は偶にとんでもない事しますからな・・・ 平和に事が進めば良いのですが」


 フィリップ国王は神殿組の事を正しく理解しておられるようである・・・・


 ハンカチで額の汗を拭う陛下を王妃が心配そうな顔で見ていた。


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