91 / 100
episode4そして貴方と
1話 トリステス入り
しおりを挟む
とうとう、その日がやってきた。
グエンはいつもの簡易な軍服にマントという出で立ちで、重鎮の爺達はこれでもかというくらい煌びやかな貴族服で皇城の地下室、つまり転移門の設置されている部屋に集まっていた。
「そろそろでしょうかな?」
「あと10分ほどで予定の時間ですな」
「陛下、その服は少し地味ではありませんかなぁ」
「緊張して腹が・・・」
相変わらず賑やかな大臣達である。
「俺一人でいいだろ、何でお前らいるんだよ?」
額に手をやりながらぶつくさ文句を言うグエン陛下。
「何をおっしゃるのです陛下!」
「我らがいかにこの日を待ち望んでいたか」
「やっと陛下が愛するお妃様を迎えるのですぞ」
「我らが希望の光となるシンシア様をお迎えするのですから、この人数でも少ない位なのですぞ」
「「「「我ら爺の楽しみを奪わないでくだされ!」」」」
全員がそろって目元にハンカチを当てた。
もちろん例のアレである。
「わかったわかった、頼むからそう興奮するな歳なんだから・・・・」
「「「「まだまだ若いもんには負けませぬぞ」」」」
「唐突にジジイになったり若いやつと張り合ったりするなよ~」
これを得手勝手爺と言わずして、何という? である。
皇帝陛下が遠い目になった。
××××××××××
転移門が金色に輝くと共に現れたのは、言わずとしれたハイドランジア第二王女シンシアである。
赤を基調とした可愛らしいエンパイアラインのロングドレスは、センターに金色のモール飾りが一本胸の中央から裾まで真っ直ぐに伸びており、彼女の抜群のスタイルがより素晴らしく見えた。
いつぞやの薄手の白いローブを羽織り納まりかけの金の光を受ける姿はまるで女神の降臨のようである。
透き通る白磁の肌に濃紺のラピスラズリの様な瞳には金の星が垣間見え、そこに影を落とす睫毛が嬉しげにまばたきをする。
赤いぽってりとしたつややかな唇が弧を描くと
「グエン様、お久しぶりで御座います」
と鈴の音のような声が響き
「やっとお会いできて嬉しゅうございます」
目元を和らげ、頬を薔薇色に染めて微笑んだ。
その女神の様な神々しさに思わず胸の前に手を合わせ跪く重鎮達を他所に、黒ずくめの皇帝陛下はものも言わずに、性急に歩み寄ると彼女をその腕に閉じ込めた。
「俺もだ」
そう言って彼も満面の微笑みを婚約者に見せた。
グエンはいつもの簡易な軍服にマントという出で立ちで、重鎮の爺達はこれでもかというくらい煌びやかな貴族服で皇城の地下室、つまり転移門の設置されている部屋に集まっていた。
「そろそろでしょうかな?」
「あと10分ほどで予定の時間ですな」
「陛下、その服は少し地味ではありませんかなぁ」
「緊張して腹が・・・」
相変わらず賑やかな大臣達である。
「俺一人でいいだろ、何でお前らいるんだよ?」
額に手をやりながらぶつくさ文句を言うグエン陛下。
「何をおっしゃるのです陛下!」
「我らがいかにこの日を待ち望んでいたか」
「やっと陛下が愛するお妃様を迎えるのですぞ」
「我らが希望の光となるシンシア様をお迎えするのですから、この人数でも少ない位なのですぞ」
「「「「我ら爺の楽しみを奪わないでくだされ!」」」」
全員がそろって目元にハンカチを当てた。
もちろん例のアレである。
「わかったわかった、頼むからそう興奮するな歳なんだから・・・・」
「「「「まだまだ若いもんには負けませぬぞ」」」」
「唐突にジジイになったり若いやつと張り合ったりするなよ~」
これを得手勝手爺と言わずして、何という? である。
皇帝陛下が遠い目になった。
××××××××××
転移門が金色に輝くと共に現れたのは、言わずとしれたハイドランジア第二王女シンシアである。
赤を基調とした可愛らしいエンパイアラインのロングドレスは、センターに金色のモール飾りが一本胸の中央から裾まで真っ直ぐに伸びており、彼女の抜群のスタイルがより素晴らしく見えた。
いつぞやの薄手の白いローブを羽織り納まりかけの金の光を受ける姿はまるで女神の降臨のようである。
透き通る白磁の肌に濃紺のラピスラズリの様な瞳には金の星が垣間見え、そこに影を落とす睫毛が嬉しげにまばたきをする。
赤いぽってりとしたつややかな唇が弧を描くと
「グエン様、お久しぶりで御座います」
と鈴の音のような声が響き
「やっとお会いできて嬉しゅうございます」
目元を和らげ、頬を薔薇色に染めて微笑んだ。
その女神の様な神々しさに思わず胸の前に手を合わせ跪く重鎮達を他所に、黒ずくめの皇帝陛下はものも言わずに、性急に歩み寄ると彼女をその腕に閉じ込めた。
「俺もだ」
そう言って彼も満面の微笑みを婚約者に見せた。
1
あなたにおすすめの小説
「がっかりです」——その一言で終わる夫婦が、王宮にはある
柴田はつみ
恋愛
妃の席を踏みにじったのは令嬢——けれど妃の心を折ったのは、夫のたった一言だった
王太子妃リディアの唯一の安らぎは、王太子アーヴィンと交わす午後の茶会。だが新しく王宮に出入りする伯爵令嬢ミレーユは、妃の席に先に座り、殿下を私的に呼び、距離感のない振る舞いを重ねる。
リディアは王宮の礼節としてその場で正す——正しいはずだった。けれど夫は「リディア、そこまで言わなくても……」と、妃を止めた。
「わかりました。あなたには、がっかりです」
微笑んで去ったその日から、夫婦の茶会は終わる。沈黙の王宮で、言葉を失った王太子は、初めて“追う”ことを選ぶが——遅すぎた。
まだ20歳の未亡人なので、この後は好きに生きてもいいですか?
せいめ
恋愛
政略結婚で愛することもなかった旦那様が魔物討伐中の事故で亡くなったのが1年前。
喪が明け、子供がいない私はこの家を出て行くことに決めました。
そんな時でした。高額報酬の良い仕事があると声を掛けて頂いたのです。
その仕事内容とは高貴な身分の方の閨指導のようでした。非常に悩みましたが、家を出るのにお金が必要な私は、その仕事を受けることに決めたのです。
閨指導って、そんなに何度も会う必要ないですよね?しかも、指導が必要には見えませんでしたが…。
でも、高額な報酬なので文句は言いませんわ。
家を出る資金を得た私は、今度こそ自由に好きなことをして生きていきたいと考えて旅立つことに決めました。
その後、新しい生活を楽しんでいる私の所に現れたのは……。
まずは亡くなったはずの旦那様との話から。
ご都合主義です。
設定は緩いです。
誤字脱字申し訳ありません。
主人公の名前を途中から間違えていました。
アメリアです。すみません。
【完結】領主の妻になりました
青波鳩子
恋愛
「私が君を愛することは無い」
司祭しかいない小さな教会で、夫になったばかりのクライブにフォスティーヌはそう告げられた。
===============================================
オルティス王の側室を母に持つ第三王子クライブと、バーネット侯爵家フォスティーヌは婚約していた。
挙式を半年後に控えたある日、王宮にて事件が勃発した。
クライブの異母兄である王太子ジェイラスが、国王陛下とクライブの実母である側室を暗殺。
新たに王の座に就いたジェイラスは、異母弟である第二王子マーヴィンを公金横領の疑いで捕縛、第三王子クライブにオールブライト辺境領を治める沙汰を下した。
マーヴィンの婚約者だったブリジットは共犯の疑いがあったが確たる証拠が見つからない。
ブリジットが王都にいてはマーヴィンの子飼いと接触、画策の恐れから、ジェイラスはクライブにオールブライト領でブリジットの隔離監視を命じる。
捜査中に大怪我を負い、生涯歩けなくなったブリジットをクライブは密かに想っていた。
長兄からの「ブリジットの隔離監視」を都合よく解釈したクライブは、オールブライト辺境伯の館のうち豪華な別邸でブリジットを囲った。
新王である長兄の命令に逆らえずフォスティーヌと結婚したクライブは、本邸にフォスティーヌを置き、自分はブリジットと別邸で暮らした。
フォスティーヌに「別邸には近づくことを許可しない」と告げて。
フォスティーヌは「お飾りの領主の妻」としてオールブライトで生きていく。
ブリジットの大きな嘘をクライブが知り、そこからクライブとフォスティーヌの関係性が変わり始める。
========================================
*荒唐無稽の世界観の中、ふんわりと書いていますのでふんわりとお読みください
*約10万字で最終話を含めて全29話です
*他のサイトでも公開します
*10月16日より、1日2話ずつ、7時と19時にアップします
*誤字、脱字、衍字、誤用、素早く脳内変換してお読みいただけるとありがたいです
行動あるのみです!
棗
恋愛
※一部タイトル修正しました。
シェリ・オーンジュ公爵令嬢は、長年の婚約者レーヴが想いを寄せる名高い【聖女】と結ばれる為に身を引く決意をする。
自身の我儘のせいで好きでもない相手と婚約させられていたレーヴの為と思った行動。
これが実は勘違いだと、シェリは知らない。
自滅王子はやり直しでも自滅するようです(完)
みかん畑
恋愛
侯爵令嬢リリナ・カフテルには、道具のようにリリナを利用しながら身体ばかり求めてくる婚約者がいた。
貞操を守りつつ常々別れたいと思っていたリリナだが、両親の反対もあり、婚約破棄のチャンスもなく卒業記念パーティの日を迎える。
しかし、運命の日、パーティの場で突然リリナへの不満をぶちまけた婚約者の王子は、あろうことか一方的な婚約破棄を告げてきた。
王子の予想に反してあっさりと婚約破棄を了承したリリナは、自分を庇ってくれた辺境伯と共に、新天地で領地の運営に関わっていく。
そうして辺境の開発が進み、リリナの名声が高まって幸福な暮らしが続いていた矢先、今度は別れたはずの王子がリリナを求めて実力行使に訴えてきた。
けれど、それは彼にとって破滅の序曲に過ぎず――
※8/11完結しました。
読んでくださった方に感謝。
ありがとうございます。
【完結】伯爵令嬢の25通の手紙 ~この手紙たちが、わたしを支えてくれますように~
朝日みらい
恋愛
煌びやかな晩餐会。クラリッサは上品に振る舞おうと努めるが、周囲の貴族は彼女の地味な外見を笑う。
婚約者ルネがワインを掲げて笑う。「俺は華のある令嬢が好きなんだ。すまないが、君では退屈だ。」
静寂と嘲笑の中、クラリッサは微笑みを崩さずに頭を下げる。
夜、涙をこらえて母宛てに手紙を書く。
「恥をかいたけれど、泣かないことを誇りに思いたいです。」
彼女の最初の手紙が、物語の始まりになるように――。
ソウシソウアイ?
野草こたつ/ロクヨミノ
恋愛
政略結婚をすることになったオデット。
その相手は初恋の人であり、同時にオデットの姉アンネリースに想いを寄せる騎士団の上司、ランヴァルド・アーノルト伯爵。
拒否に拒否を重ねたが強制的に結婚が決まり、
諦めにも似た気持ちで嫁いだオデットだが……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる