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episode3 幸せになりたいなら、なりなさい
18話 トリステスの女性貴族
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「国王陛下、いいえ、伯父上。このままでは、ワタクシがトリステスの貴族と結婚した意味が無くなってしまいますわ」
そう言ってその貴族然とした女性は国王ジャージルに向かって毅然とした態度で文句を言い始めた。
ここは先程までスハイド公爵がいた謁見室。
人払いをし、侍従も官史も居らず国王ジャージルと、彼を『伯父』と呼ぶ女性。そしてその娘であろう若い女性の三人が密談をしていた。
「待て待て、そなたの言い分は分かったが、何故トリステスの皇帝とハイドランジアの王女が結婚する話になったのだ?!」
国王はまるで寝耳に水の情報に驚きを隠せない。
「ですから、あの時ハイドランジアの王女がパーティーに居たのです。グエン陛下はあの王女の腰に手をやったまま片時も離れませんでしたのよ」
「そうですわ。このままだとワタクシが皇妃になるという目的が達成できなくなってしまいます。ですから王女を拉致させてそのままこのジャガルに送り届けさせる予定だったのに・・・」
忌々しげな口調でそう言うと、続けて思い出すような表情をする貴族女性。
「山小屋には王女どころか奴隷の魔術師も間諜すら居なかったのですわ。最近になってあの例の小娘が女性騎士になってしまい私共貴族を皇宮から追い出す始末ですのよ。その時に不穏な言葉を言いますの」
二人の女性が眉を顰め思い出すような仕草をする。
「どのようにだ?」
「グエン陛下にお似合いなのは『あの美しいお方だけ』だとか・・・」
「あのパーティー以降ずっとそのような事を言ってますわね」
二人の言葉を聞いて渋顔になる国王ジャージル。
「伯父様、もう一度魔法奴隷をお貸し下さいませ」
「今度こそあの王女をこの国に送り届けさせますわ」
二人の剣幕に若干引き気味になるジャージル。
「そもそも何故ハイドランジアのシンシア王女がトリステスの皇城で開かれたパーティーに出席していたのだ? あの王女はハイドランジアから一歩も国外に出た事は無い姫だぞ? 北大陸から南大陸に渡るのは船しかないんだ。しかもあの国は内陸にあるため外海に通じる港は持っていないんだぞ?」
「ですからきっと魔法ですわ」
「若しくはスクロールですわ」
唾を散らして国王に迫る二人と渋顔で考えるジャージル国王。
「そんなに簡単にあのハイドランジアの国王が掌中の珠の王女を国外に出すものか」
脳裏にこっちを向いて舌を出すハイドランジアの国王フィリップ・ハイドランジアの顔が浮かび更に不機嫌になるジャージル。
「伯父様!」「大伯父様!」
「分かった、分かった。兎に角今は駄目だ。魔法奴隷も間諜も今は貸せんのだ」
「「何故ですの?」」
「お前達、此方に着いたばかりで分からんだろうが、今我が国は大変な危機を迎えておる」
「「え?」」
「だからな、ちょっと大人しくしておれ。時期が来れば又そちらに魔法奴隷を送るから。儂とてトリステスを属国として手中に納めたいという気持ちはあるんじゃ!! ハイドランジアの魔法使いも欲しいのだ。頼むから大人しく過ごしておれ」
「・・・・」
「伯父様、私はトリステスの年寄り貴族の後妻として嫁ぎましたわ。いつかあの国を手に入れるという伯父様を信じて・・・もう夫は亡くなり私が爵位を継ぎましたけれど。娘は皇妃になる為だけに厳しく育てて参りました」
「分かっとる」
渋顔のままで答える国王。
「忘れないで下さいませね」
そう言って扇で口元を隠したままソファーからスッと立ち上がる母親。
それに付き従うように立ち上がる美しい顔立ちの娘は、確かに所作は美しく洗練されているようだ。
二人が連れ添いドアから出ていく様を渋顔のまま見送るジャージル国王。
――そしてその一部始終を物陰からじっと見つめる二つの淡青色の瞳に誰も気付く事は出来なかった。
そう言ってその貴族然とした女性は国王ジャージルに向かって毅然とした態度で文句を言い始めた。
ここは先程までスハイド公爵がいた謁見室。
人払いをし、侍従も官史も居らず国王ジャージルと、彼を『伯父』と呼ぶ女性。そしてその娘であろう若い女性の三人が密談をしていた。
「待て待て、そなたの言い分は分かったが、何故トリステスの皇帝とハイドランジアの王女が結婚する話になったのだ?!」
国王はまるで寝耳に水の情報に驚きを隠せない。
「ですから、あの時ハイドランジアの王女がパーティーに居たのです。グエン陛下はあの王女の腰に手をやったまま片時も離れませんでしたのよ」
「そうですわ。このままだとワタクシが皇妃になるという目的が達成できなくなってしまいます。ですから王女を拉致させてそのままこのジャガルに送り届けさせる予定だったのに・・・」
忌々しげな口調でそう言うと、続けて思い出すような表情をする貴族女性。
「山小屋には王女どころか奴隷の魔術師も間諜すら居なかったのですわ。最近になってあの例の小娘が女性騎士になってしまい私共貴族を皇宮から追い出す始末ですのよ。その時に不穏な言葉を言いますの」
二人の女性が眉を顰め思い出すような仕草をする。
「どのようにだ?」
「グエン陛下にお似合いなのは『あの美しいお方だけ』だとか・・・」
「あのパーティー以降ずっとそのような事を言ってますわね」
二人の言葉を聞いて渋顔になる国王ジャージル。
「伯父様、もう一度魔法奴隷をお貸し下さいませ」
「今度こそあの王女をこの国に送り届けさせますわ」
二人の剣幕に若干引き気味になるジャージル。
「そもそも何故ハイドランジアのシンシア王女がトリステスの皇城で開かれたパーティーに出席していたのだ? あの王女はハイドランジアから一歩も国外に出た事は無い姫だぞ? 北大陸から南大陸に渡るのは船しかないんだ。しかもあの国は内陸にあるため外海に通じる港は持っていないんだぞ?」
「ですからきっと魔法ですわ」
「若しくはスクロールですわ」
唾を散らして国王に迫る二人と渋顔で考えるジャージル国王。
「そんなに簡単にあのハイドランジアの国王が掌中の珠の王女を国外に出すものか」
脳裏にこっちを向いて舌を出すハイドランジアの国王フィリップ・ハイドランジアの顔が浮かび更に不機嫌になるジャージル。
「伯父様!」「大伯父様!」
「分かった、分かった。兎に角今は駄目だ。魔法奴隷も間諜も今は貸せんのだ」
「「何故ですの?」」
「お前達、此方に着いたばかりで分からんだろうが、今我が国は大変な危機を迎えておる」
「「え?」」
「だからな、ちょっと大人しくしておれ。時期が来れば又そちらに魔法奴隷を送るから。儂とてトリステスを属国として手中に納めたいという気持ちはあるんじゃ!! ハイドランジアの魔法使いも欲しいのだ。頼むから大人しく過ごしておれ」
「・・・・」
「伯父様、私はトリステスの年寄り貴族の後妻として嫁ぎましたわ。いつかあの国を手に入れるという伯父様を信じて・・・もう夫は亡くなり私が爵位を継ぎましたけれど。娘は皇妃になる為だけに厳しく育てて参りました」
「分かっとる」
渋顔のままで答える国王。
「忘れないで下さいませね」
そう言って扇で口元を隠したままソファーからスッと立ち上がる母親。
それに付き従うように立ち上がる美しい顔立ちの娘は、確かに所作は美しく洗練されているようだ。
二人が連れ添いドアから出ていく様を渋顔のまま見送るジャージル国王。
――そしてその一部始終を物陰からじっと見つめる二つの淡青色の瞳に誰も気付く事は出来なかった。
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