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episode3 幸せになりたいなら、なりなさい
25話 猫の価値観
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「待ってくれ、聖獣殿! 城が崩落って!?」
「聖獣殿? どういうことでしょう!?」
メルヘンは両耳を後ろに向けて
「吾輩、耳が良いのでそれ程大声で言わずとも聞こえます」
迷惑そうに尻尾をパタリと動かした。
「ギルド所属の冒険者が坑道跡を突き破りまして。出た場所が偶々王城の地下牢でしたが、そこに偶々シンシア殿下がいたのです」
「「はあ?」」
「吾輩も偶々シンシア殿下を救出に出向き其の場におりましたので、王女殿下と、あくまでもついでに冒険者達を神殿に送った後で地下牢に戻り彼等の作った亀裂を調べたのです。時すでに遅く、亀裂の始まりとなった地下牢は埋没して消失しておりましたが、廊下はまだ健在でした。吾輩の見積もりではまあ、ほぼ全部壊滅というところでしょうね」
若干引き攣りながら2人がメルヘンに向って、
「「それって王城が?」」
「そうで御座います」
メルヘンは丁寧に立ち上がってお辞儀をする。
「そもそも吾輩、主人であるミゲル様以外の命令は受け付けませんがシャガル王国製の粗悪転移スクロールが吾輩の結界に干渉し大変不快な思いを致しました故、王女殿下もお救いしましたし、冒険者達はミゲル様のお知り合いでしたのでついでに連れ帰ることに致しました」
呆然とする2人を他所に、淡々と続けるメルヘン。
「ここに報告に来ましたのは、ミリアンヌ様とネイサン様のお願いにて参りました。一国の王城の崩壊は大変な事件らしいのですが、吾輩の優先順位は主であるミゲル様の安全ですので、大変な事かどうかは御二方にご判断を委ねる所存で御座います」
「・・・・・・」
公爵が無言になり、
「そういや、聖獣殿はミゲル殿以外の命令は、聞かないんだったな」
頭を抱えてグエンが呟く。
「はい。ミリアンヌ様とネイサン様のお願いだけは聞くようにとミゲル様から承っております故」
更に丁寧にお辞儀をする白猫。
「それでは此れにて失礼して・・・」
「待て待て待て待て!! 待ってくれ!! 聖獣殿ストップッ!」
メルヘンが又耳を後ろに向ける。
「何で御座いましょう? グエン陛下」
「頼むから待ってくれ、城が崩壊したら中の人間が呑み込まれちまうんじゃ無いのか?」
「まあ、普通はそうで御座いますね」
白猫は事も無げにそう言いながら毛づくろいを始めた。
「罪の無い人が死んじまうじゃないか!?」
メルヘンはキョトンとしてグエンの言葉に首を傾げる。
「死にませんよ」
「「え?」」
「ミリアンヌ様がそんなことはお許しになられないでしょうから」
「え?」
「え~と、どういう事だい?」
2人が同時に白猫に問うと
「『他所のお城が壊れてしまいますわ、どうしましょう?』とシンシア様が神殿で心配なされまして」
「へ?」
「え?」
「ミリアンヌ様が、『じゃあ、チョットそれ止めてくる』と言って転移なさいました」
「へ?」
「え?」
「お勉強中でした故、ネイサン様が怒って追いかけまして」
「「??」」
「『崩落はあの国にとっていいお仕置きだから、生き物だけ助けなさい』と説教しましたので、人は多分大丈夫でしょう。人も生き物ですよね?」
「「はぁ・・・」」
どうやら聖獣の価値観は自分達とは全く違うらしいと思い知ったグエン陛下と、スハイド公爵。
「聖獣殿確認していいかな?」
「はい。何でございましょう陛下」
「さっきの良いことと悪いことの2つ、な?」
「はい」
「ひょっとしてシンシア殿がミゲル殿の親族だから『良し・悪し』があったのか?」
白猫はさも当然だろうという感じで尻尾を左右に動かすと
「当たり前で御座いましょう。シンシア殿下はミゲル様の姪御様、家族同然で御座います」
そう答えたのであった。
「聖獣殿? どういうことでしょう!?」
メルヘンは両耳を後ろに向けて
「吾輩、耳が良いのでそれ程大声で言わずとも聞こえます」
迷惑そうに尻尾をパタリと動かした。
「ギルド所属の冒険者が坑道跡を突き破りまして。出た場所が偶々王城の地下牢でしたが、そこに偶々シンシア殿下がいたのです」
「「はあ?」」
「吾輩も偶々シンシア殿下を救出に出向き其の場におりましたので、王女殿下と、あくまでもついでに冒険者達を神殿に送った後で地下牢に戻り彼等の作った亀裂を調べたのです。時すでに遅く、亀裂の始まりとなった地下牢は埋没して消失しておりましたが、廊下はまだ健在でした。吾輩の見積もりではまあ、ほぼ全部壊滅というところでしょうね」
若干引き攣りながら2人がメルヘンに向って、
「「それって王城が?」」
「そうで御座います」
メルヘンは丁寧に立ち上がってお辞儀をする。
「そもそも吾輩、主人であるミゲル様以外の命令は受け付けませんがシャガル王国製の粗悪転移スクロールが吾輩の結界に干渉し大変不快な思いを致しました故、王女殿下もお救いしましたし、冒険者達はミゲル様のお知り合いでしたのでついでに連れ帰ることに致しました」
呆然とする2人を他所に、淡々と続けるメルヘン。
「ここに報告に来ましたのは、ミリアンヌ様とネイサン様のお願いにて参りました。一国の王城の崩壊は大変な事件らしいのですが、吾輩の優先順位は主であるミゲル様の安全ですので、大変な事かどうかは御二方にご判断を委ねる所存で御座います」
「・・・・・・」
公爵が無言になり、
「そういや、聖獣殿はミゲル殿以外の命令は、聞かないんだったな」
頭を抱えてグエンが呟く。
「はい。ミリアンヌ様とネイサン様のお願いだけは聞くようにとミゲル様から承っております故」
更に丁寧にお辞儀をする白猫。
「それでは此れにて失礼して・・・」
「待て待て待て待て!! 待ってくれ!! 聖獣殿ストップッ!」
メルヘンが又耳を後ろに向ける。
「何で御座いましょう? グエン陛下」
「頼むから待ってくれ、城が崩壊したら中の人間が呑み込まれちまうんじゃ無いのか?」
「まあ、普通はそうで御座いますね」
白猫は事も無げにそう言いながら毛づくろいを始めた。
「罪の無い人が死んじまうじゃないか!?」
メルヘンはキョトンとしてグエンの言葉に首を傾げる。
「死にませんよ」
「「え?」」
「ミリアンヌ様がそんなことはお許しになられないでしょうから」
「え?」
「え~と、どういう事だい?」
2人が同時に白猫に問うと
「『他所のお城が壊れてしまいますわ、どうしましょう?』とシンシア様が神殿で心配なされまして」
「へ?」
「え?」
「ミリアンヌ様が、『じゃあ、チョットそれ止めてくる』と言って転移なさいました」
「へ?」
「え?」
「お勉強中でした故、ネイサン様が怒って追いかけまして」
「「??」」
「『崩落はあの国にとっていいお仕置きだから、生き物だけ助けなさい』と説教しましたので、人は多分大丈夫でしょう。人も生き物ですよね?」
「「はぁ・・・」」
どうやら聖獣の価値観は自分達とは全く違うらしいと思い知ったグエン陛下と、スハイド公爵。
「聖獣殿確認していいかな?」
「はい。何でございましょう陛下」
「さっきの良いことと悪いことの2つ、な?」
「はい」
「ひょっとしてシンシア殿がミゲル殿の親族だから『良し・悪し』があったのか?」
白猫はさも当然だろうという感じで尻尾を左右に動かすと
「当たり前で御座いましょう。シンシア殿下はミゲル様の姪御様、家族同然で御座います」
そう答えたのであった。
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