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episode4そして貴方と
10話【最終話】ずっと貴方と
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「グエン様? 本当に良かったのですか? 皆様きっと困ってらっしゃいますわよ?」
船のデッキから手を振り終わりクスクス笑ってシンシアは隣に並ぶ、浅黒い肌の美丈夫を見上げる。
――私が心からお慕いするグエン様は、やっぱりやんちゃだわ・・・
「いいんだよ~。どーせこの船は1年後には帝国に戻って来るんだぞ? 丁度婚姻式の頃だろうが」
「・・・あら、よく考えたらそうですわね」
小首を傾げて目をパチパチとさせるシンシア王女。
「グエン様はそこまで計画していらっしゃったのですか?」
「ああん? まさか。それは今思いついた」
ニヤッと笑う皇帝陛下。
「皇城にいたら邪魔ばっかり入って、ぜーんぜんッイチャイチャ出来ねーから、違う所に行きたかったんだ。この船は途中で降りることも出来るし、俺は世界中に家があるからな。部下だって世界中に散らばってる。だから国に帰ろうと思えばすぐに帰れるだろ?」
「アラ、そういえばそうでしたわね」
何かを思い出すような仕草をするシンシア王女。
「えッ? シンディ? 忘れてたのか?」
「ええ、今言われて思い出しましたわ」
「・・・じゃあ、さっきの」
「さっきの?」
「下男でも関係無いっての・・・」
「はい?」
「本気で言ってたのか?」
「ええ? 勿論ですけど? 当たり前ですわ」
そう言って笑顔になるシンシア王女をそっと包み込む様に抱きしめるグエン。
「ありがとう」
「? あ、グエン様、イルカでしょう? 本でしか見たことが無かったのですけど。本物はあんな風に跳ねるんですね!」
キラキラした目で海上を跳ねているイルカの群れを見ているシンシア王女。
―ーどこまでもマイペースである・・・
「シンディ?」
「はい?」
「一生一緒に居ような? 死ぬまでずっとだ」
グエンは泣きそうな顔をしているが、彼女の頭の上に顎を置いているのでその表情をシンシアは見ることは出来ない。
「勿論ですわ。死が二人を分かつまで・・・ いいえ、死んだとしても貴方様から私は離れませんわ」
腕の中でくるりと彼の正面に体を回して腰に両手をまわす。
「ずっと愛してますわ」
「俺もだ」
二人はギュッとお互いを抱き合い唇を寄せ合おうと・・・・
「お取り込み中申し訳ありません閣下、部屋を教えて頂けなければシンシア殿下のお着替えを運び込めませんのでお教え頂けるようお願い致します」
足元で、白い猫が恭しくお辞儀をした。
「「居たんだ?!」」
「勿論で御座います。シンシア様は未だハイドランジアの王女殿下で御座いますゆえ、吾輩の護衛対象ですので。さて、お部屋を教えて頂ければ滞りなく旅を続ける為のお着替えを皇城より運び込んでおきます」
苦笑いをしながらグエンは、後ろ足で優雅に立ち上がる聖獣に船のチケットを渡した。
「了解です。それでは続きはお2人でゆるりとお楽しみ下さい」
メルヘンは優雅にお辞儀をすると、あっという間にキラキラとした余韻だけを残して消えてしまった。
グエンとシンシアは顔を見合わせて
「「世界中何処に行っても安全なのかも?」」
思わず声を揃えて笑ってしまう。
「でも、グエン様?」
「うん?」
「貴方さえいれば私は幸せですわ」
そう言って彼女はグエンの頬に背のびをしてキスをした。
「俺もだ」
そう言ってグエンは微笑んで。
やっと2人は、世界一幸せなキスをした――
~fin~
2023.7.3
by.hazuki.mikado
「引きこもり王女の恋もよう~ハイドランジア王国物語~」
ーーーーーーーー
お読み頂きありがとうございました(_ _)
船のデッキから手を振り終わりクスクス笑ってシンシアは隣に並ぶ、浅黒い肌の美丈夫を見上げる。
――私が心からお慕いするグエン様は、やっぱりやんちゃだわ・・・
「いいんだよ~。どーせこの船は1年後には帝国に戻って来るんだぞ? 丁度婚姻式の頃だろうが」
「・・・あら、よく考えたらそうですわね」
小首を傾げて目をパチパチとさせるシンシア王女。
「グエン様はそこまで計画していらっしゃったのですか?」
「ああん? まさか。それは今思いついた」
ニヤッと笑う皇帝陛下。
「皇城にいたら邪魔ばっかり入って、ぜーんぜんッイチャイチャ出来ねーから、違う所に行きたかったんだ。この船は途中で降りることも出来るし、俺は世界中に家があるからな。部下だって世界中に散らばってる。だから国に帰ろうと思えばすぐに帰れるだろ?」
「アラ、そういえばそうでしたわね」
何かを思い出すような仕草をするシンシア王女。
「えッ? シンディ? 忘れてたのか?」
「ええ、今言われて思い出しましたわ」
「・・・じゃあ、さっきの」
「さっきの?」
「下男でも関係無いっての・・・」
「はい?」
「本気で言ってたのか?」
「ええ? 勿論ですけど? 当たり前ですわ」
そう言って笑顔になるシンシア王女をそっと包み込む様に抱きしめるグエン。
「ありがとう」
「? あ、グエン様、イルカでしょう? 本でしか見たことが無かったのですけど。本物はあんな風に跳ねるんですね!」
キラキラした目で海上を跳ねているイルカの群れを見ているシンシア王女。
―ーどこまでもマイペースである・・・
「シンディ?」
「はい?」
「一生一緒に居ような? 死ぬまでずっとだ」
グエンは泣きそうな顔をしているが、彼女の頭の上に顎を置いているのでその表情をシンシアは見ることは出来ない。
「勿論ですわ。死が二人を分かつまで・・・ いいえ、死んだとしても貴方様から私は離れませんわ」
腕の中でくるりと彼の正面に体を回して腰に両手をまわす。
「ずっと愛してますわ」
「俺もだ」
二人はギュッとお互いを抱き合い唇を寄せ合おうと・・・・
「お取り込み中申し訳ありません閣下、部屋を教えて頂けなければシンシア殿下のお着替えを運び込めませんのでお教え頂けるようお願い致します」
足元で、白い猫が恭しくお辞儀をした。
「「居たんだ?!」」
「勿論で御座います。シンシア様は未だハイドランジアの王女殿下で御座いますゆえ、吾輩の護衛対象ですので。さて、お部屋を教えて頂ければ滞りなく旅を続ける為のお着替えを皇城より運び込んでおきます」
苦笑いをしながらグエンは、後ろ足で優雅に立ち上がる聖獣に船のチケットを渡した。
「了解です。それでは続きはお2人でゆるりとお楽しみ下さい」
メルヘンは優雅にお辞儀をすると、あっという間にキラキラとした余韻だけを残して消えてしまった。
グエンとシンシアは顔を見合わせて
「「世界中何処に行っても安全なのかも?」」
思わず声を揃えて笑ってしまう。
「でも、グエン様?」
「うん?」
「貴方さえいれば私は幸せですわ」
そう言って彼女はグエンの頬に背のびをしてキスをした。
「俺もだ」
そう言ってグエンは微笑んで。
やっと2人は、世界一幸せなキスをした――
~fin~
2023.7.3
by.hazuki.mikado
「引きこもり王女の恋もよう~ハイドランジア王国物語~」
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