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12 アリアの気持ち
しおりを挟む私の名前はアリア・シルフィールド。
この土地を守る伯爵家の一人娘だ。
私にはず~~っと好きな人がいる。
名をキアンと言い、褐色の肌と黒檀のように艷やかな黒い髪をした背の高いとても美しい悪魔だ。
父が言うには古い土地神様の一族の1人で動物を守る神様で幼い時に死ぬ運命だった私の命を自分の寿命を与えて繋いでくれたのだという。
驚くほど整った顔をしている以外普通の人と全く変わらなくて、私が幼い頃から年に何回か屋敷にひょっこり現れるのだけど何故か彼がやってくると厩舎の馬達や飼い犬達がソワソワし始める。
それは彼の近くに彼らが行きたいからなのだと昔父が教えてくれた。
試しに厩舎に1度だけ一緒に向かったことがあったが、馬達も犬も彼に擦り寄り体を擦り付けて大騒ぎになり、結局私だけが動物達にその場から追い出された・・・
以来、私の屋敷では飼っている生き物達が私の恋敵である。
因みにあれ以来私は、絶対彼を厩舎の近くへと連れて行かないと決めている。
彼の瞳の色は透き通ったアメジストのような紫色だがソレは私の瞳の色で、私の蒼翠色が彼の瞳の色だと教えられていて20歳になったらお互い元に戻る、と言われていても全く実感はないので想像もつかない。
そしてキアンの美しい顔を見て育った私はかなりの面食いらしく、どんな人を見ても普通かそれ以下という厳しい酷評を与えるらしいのだが、その辺りも自分ではよく分かっていない。
美しい顔は確かに大好きだが、美しいとよく云われる自分の顔は好きかと問われたら首を傾げる。
きっと私はキアンだから好きなだけなのだと思う。
今年の初めに結婚出来る年齢になったのを機会に、辺境伯の新年の夜会に出席したせいで釣書を送りつけられ毎日辟易とさせられているが、此れは社交界にデビューして他の男も見てこいと言ったキアンが悪いと思う。
籠もってばかりだとイイ男がいても気が付かないと彼に言われたが、パーティーに行っても釣書の肖像画を見ても結局彼以上に良い顔の男性など存在しないことが分かったという結果に終わった。
釣書をお父様がせっせと送り返しているけど、そんなのは暖炉に焚べれば良いのにと思ってしまう・・・
侍女にそう言うと微妙な顔をされたけど。
「お嬢様、漢らしいにも程がありますよ」
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