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33 開放 side-k
しおりを挟む「もういいわ、負けよ負け。違うか、初っ端から私が負けてたんだったわね・・・」
彼女が片手を上げると、キアンの見え無い拘束がシュルリという音をさせて解ける。
それがわかったのだろう、彼は無言で立ち上がり腕を上げて肩を回した。
ブリーイットは深い森の湖の側で、葦笛を吹きながら獣達と楽しげに踊る彼の姿を初めて見た時の事を思い出して少しだけ胸が痛んだが、頭を振ってその痛みを追い払うと美しく複雑に結い上げた真っ赤な髪に飾った黄金の櫛を1本引き抜いて彼に渡した。
「ほら、持って帰りなさいよ」
「なんでだ?」
「お相手のその子供にお土産よ。それとアンタ達2人へのご祝儀よ」
キアンはその黄金の櫛をつまむ様に受け取ると、
「呪い付きじゃないだろうな」
「阿呆! 女性の癒やしの女神がそんな事するわけ無いでしょうが。ホント失礼な男神よね~アンタって。お相手に同情するわ」
「っ・・・うるせ」
フンッと鼻を鳴らしてブリーイットは神殿の出口を開き、指で指し示す。
「お帰りはあちら」
「何なんだよ」
突然呼び付けておいて、今度は急に帰れという女神を呆れ顔で眺めるキアン。
「直接愛し子の所へ送ってあげるわよ」
「・・・まぁ、サンキュ」
黄金の櫛を胸ポケットにしまい込み、明るく輝く出口に向かって歩き出したキアンに、彼の愛馬が何処からともなく突進してきて、主人に体当たりをかました・・・
「いってえ、マハ、お前まで何するんだよ」
「その斑駒も雌でしょ? ヤキモチよ」
『ザマアミロ』と言外に示すように、おほほほほと高笑いをする赤毛の女神。
舌打ちをしながら斑駒に跨るキアンに向けて彼女はヒラヒラと手を振った。
「じゃあね~」
「2度と呼ぶなよ」
「さぁね~」
愛馬の手綱をしっかり握ると、そのまま出口に向かい駆けていく馬上のキアンを見送りながら
「あ~あ、また婚期逃しちゃったわ~。ま、仕方ないか」
惚れた弱みだわね、と。
口にはせずに腹の内で呟いた女神であった。
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