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しおりを挟むデスク周りの片付けは後回しでいいので、最上階の秘書室に顔を出しに行ってこいと大塚に言われてエレベーターに慌てて乗りこんだ祐一。
『兎に角、専務を助けてやってくれ・・・』
小声でそう言われたが、何で自分のことで揉めているんだろうと眉を顰める。
――隼雄社長も辰夫会長も、そうそう揉めそうにはない・・・
かなぁ~・・・
いや・・・ しそうだな。
異世界に行ったときの様子を思い出して、ちょっとだけ自信が無くなった。
××
最上階の廊下は音が響かない様に厚い絨毯を敷き詰めてある。
会長、社長、専務、常務といった重役達の部屋と秘書室、給湯室等があり、入社以来経理部にずっと籍を置いている祐一には本来なら縁のない場所だった・・・
やたらと静かなので考え事にはもってこいの場所だろう。
「まあ、移動も仕方ないか~」
ボソッと祐一は、思いがけず呟いた。
―― 突然勢いだけで麗奈さんと婚約しちゃったからな~。
ここ基本親族経営だしな。
でもまぁ、麗奈さんがいなかったら今頃里の誰かと無理矢理結婚させられてた訳だよな・・・
うわ、やっべ。
ひょっとして俺、危機一髪だったんじゃ?
祐一だって結婚願望が無いわけじゃないのだが、見ず知らずの女性と結婚するなんて正直時代錯誤も甚だしいと思っている。
その状況になれば何としてでも逃走しようとしただろうが、爺婆共に捕まって痺れ薬でも使われて祝言を挙げさせられたに違いない。
――そう言えば・・・
『女神の系譜だからねえ、あの子もさ。
チャンスは絶対に逃さないのよね~。
迷ったら手に入れられなくなるって事あるでしょ?
コレ! って思った時が手に入れ時なのよ。
諦めてくれるかなあ~ アハハ』
麗奈をマンションに送り届けた帰り道でアイーシャに言われた事をふと思い出した。
「・・・まさかな?」
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