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転生悪役令嬢はダサいのがお嫌!!
24 王妃フローラ
しおりを挟む『コンコン』
ノックの音と共に現れたのは侍女長を連れた王妃だった。
彼女はイリスの母アイリスとは幼馴染で、父があまり語らないイリスの知らない若い頃の母親の思い出を惜しみなく話してくれた。
何度も王城に通ううちに彼女とはまるで友人ように仲良くなり、最近ではまるで自分の母親のように慕うようになった女性でもある。
「まあ! 本当にアイリスによく似てるわね~、瓜二つなんじゃないかしら」
「そうなんですか?」
「そうよ。今並んだらきっと姉妹か双子だわね」
コロコロと朗らかに笑うフローラ王妃。
「彼女との約束が果たせそうで嬉しいわ~」
「約束?」
「そう、私達二人の子供達を結婚させるっていう事よ。まあ、公爵閣下は不承不承だけど」
勝ったわとでも言いたそうな顔をした後、ニンマリ笑う王妃様。
「小さい頃からの約束だったのよ。どちらかが大変な時は絶対助け合いましょう、ってね。そして大人になったら二人の共通の孫を可愛がるのよってね」
懐かしむような、愛おしそうな目でイリスを見つめ、急に思いだしたと言わんばかりに両手を打ち鳴らす王妃。
「あぁ、そうだわ。言うの忘れてたわ!、いつでも嫁入りはオッケーだからね~」
「??」
バチンと音の出そうなウィンクをする王妃様が、首を傾げるイリスに向かって扇を広げ、耳に口を寄せる。
「イリスちゃん、王族に嫁ぐ場合は十八歳を待たなくてもいいって知ってた?」
他国の成人年齢に合わせなければいけない場合もあるため、王族は特例でデビュタントを済ませてさえいれば何歳でも婚姻関係になって良いという特例が適応される。因みにこの国はデビュタントの年齢は男女共に十五歳であり、勿論イリスは昨年済ませている。
つまりフローラ王妃は、イリスにいつでもここに来ていいよと言っているのであって、つまりは・・・
「あー、もう少し父に親孝行サセテイタダキマス」
「そうねえ~、これ以上公爵に恨まれちゃうのは私も嫌だもんねえ~」
ケラケラと笑う王妃に目を白黒させるイリスである。
この王妃様、結構アバンギャルドなお方かもしれない。
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