34 / 49
転生悪役令嬢はダサいのがお嫌!!
26 夜会
しおりを挟む
陛下の開催宣言の後、観客の拍手と共に夜会が始まった。
国王夫妻とアーレス王子とイリス公爵令嬢の二組がファーストダンスを披露すると、あまりの優雅さにまわりの観客達から、ほぅ、と溜息が漏れた。
次に隣国の王子と皇国の皇子の二人が、少し前までアーレス王子の婚約者候補として競いあっていた侯爵家のご令嬢と、アーレスの妹である王女殿下と一緒に楽しそうにダンスを披露する。
今回の夜会ではこの女性二人が各王子のホスト役に決まったらしい。
侯爵令嬢と王女の二人も、中々の美人で会話上手な女性達なので王子も皇子も概ね満足しているようだ。
アーレスとイリスが婚約後初めて二人揃って出席する夜会という事もあり、人々の関心はイリス公爵令嬢にあった。
彼らは傾国の美女と言われた公爵夫人アイリスに瓜二つという噂の御令嬢を一目我が目で確かめようと考えて、ジリジリと挨拶の順番を待っているようである。
先ずは、各国の外交官達が列を作って挨拶にやって来る。その中でも隣国と皇国の外交官は申し訳無さそうに謝罪を述べるのだが、何故か顔は真っ赤に紅潮していた。
イリスは快く其れを受け入れたがアーレス殿下は始終渋顔だった。
次に国内の貴族達の挨拶の順番がやってくると、あっという間に広間の出入り口付近まで続く列ができてしまう。
国王一家の集まる一段だけ高くなった王族席は、挨拶のためにやってくる貴族達の壁で離れた場所からだと見えなくなってしまった。
彼らは、国王夫妻への挨拶の次にアーレス王子とその婚約者であるイリスに近づくと、眩しいものを見るような仕草で二人に向かって挨拶をしていくのだが、イリスは王国内にこんなに沢山の貴族家があったのかと少々驚いた。
その間、一度たりともアーレスは始終笑顔を崩さなかったが、イリスの腰に回した手が離れることはなかった。
感心する粘り強さである。
そして時折癖の有りそうな貴族の前では彼女の髪や頬に触れてしっかり威嚇するのを忘れなかった。
牽制っぷりが素晴らしい。
一度挨拶の列が途切れた時にイリスの目の端に特徴のあるピンクブロンドが目に入った。
遠目にも色白で小柄な女性なのが見て取れる。
『あら? ひょっとして?』
イリスの直感がヒロインでは? と囁いている。
彼女は隣国の騎士団の男性達とお喋りに興じているようで、こちらに近寄って来る様子はないようだ。
『気にし過ぎかしら?』
首を傾げていると、アーレスが肩に手を回して来た。
「また、挨拶の波が来るよ」
そっと彼が耳元で囁いたので、擽ったくなり、
「・・・んン!」
と、色っぽい声が出た。
目の前の貴族男性が、真っ赤になって挨拶もそこそこに去っていく。
アーレス王子はそれを見て、ご満悦のようだった。
イリスは彼を見上げて、成程コレもまた牽制なのですねと了解の意を示すために微かに頷きながら微笑んだ。
国王夫妻とアーレス王子とイリス公爵令嬢の二組がファーストダンスを披露すると、あまりの優雅さにまわりの観客達から、ほぅ、と溜息が漏れた。
次に隣国の王子と皇国の皇子の二人が、少し前までアーレス王子の婚約者候補として競いあっていた侯爵家のご令嬢と、アーレスの妹である王女殿下と一緒に楽しそうにダンスを披露する。
今回の夜会ではこの女性二人が各王子のホスト役に決まったらしい。
侯爵令嬢と王女の二人も、中々の美人で会話上手な女性達なので王子も皇子も概ね満足しているようだ。
アーレスとイリスが婚約後初めて二人揃って出席する夜会という事もあり、人々の関心はイリス公爵令嬢にあった。
彼らは傾国の美女と言われた公爵夫人アイリスに瓜二つという噂の御令嬢を一目我が目で確かめようと考えて、ジリジリと挨拶の順番を待っているようである。
先ずは、各国の外交官達が列を作って挨拶にやって来る。その中でも隣国と皇国の外交官は申し訳無さそうに謝罪を述べるのだが、何故か顔は真っ赤に紅潮していた。
イリスは快く其れを受け入れたがアーレス殿下は始終渋顔だった。
次に国内の貴族達の挨拶の順番がやってくると、あっという間に広間の出入り口付近まで続く列ができてしまう。
国王一家の集まる一段だけ高くなった王族席は、挨拶のためにやってくる貴族達の壁で離れた場所からだと見えなくなってしまった。
彼らは、国王夫妻への挨拶の次にアーレス王子とその婚約者であるイリスに近づくと、眩しいものを見るような仕草で二人に向かって挨拶をしていくのだが、イリスは王国内にこんなに沢山の貴族家があったのかと少々驚いた。
その間、一度たりともアーレスは始終笑顔を崩さなかったが、イリスの腰に回した手が離れることはなかった。
感心する粘り強さである。
そして時折癖の有りそうな貴族の前では彼女の髪や頬に触れてしっかり威嚇するのを忘れなかった。
牽制っぷりが素晴らしい。
一度挨拶の列が途切れた時にイリスの目の端に特徴のあるピンクブロンドが目に入った。
遠目にも色白で小柄な女性なのが見て取れる。
『あら? ひょっとして?』
イリスの直感がヒロインでは? と囁いている。
彼女は隣国の騎士団の男性達とお喋りに興じているようで、こちらに近寄って来る様子はないようだ。
『気にし過ぎかしら?』
首を傾げていると、アーレスが肩に手を回して来た。
「また、挨拶の波が来るよ」
そっと彼が耳元で囁いたので、擽ったくなり、
「・・・んン!」
と、色っぽい声が出た。
目の前の貴族男性が、真っ赤になって挨拶もそこそこに去っていく。
アーレス王子はそれを見て、ご満悦のようだった。
イリスは彼を見上げて、成程コレもまた牽制なのですねと了解の意を示すために微かに頷きながら微笑んだ。
2
あなたにおすすめの小説
三十年後に届いた白い手紙
RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。
彼は最後まで、何も語らなかった。
その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。
戴冠舞踏会の夜。
公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。
それは復讐でも、告発でもない。
三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、
「渡されなかった約束」のための手紙だった。
沈黙のまま命を捨てた男と、
三十年、ただ待ち続けた女。
そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。
これは、
遅れて届いた手紙が、
人生と運命を静かに書き換えていく物語。
悪意には悪意で
12時のトキノカネ
恋愛
私の不幸はあの女の所為?今まで穏やかだった日常。それを壊す自称ヒロイン女。そしてそのいかれた女に悪役令嬢に指定されたミリ。ありがちな悪役令嬢ものです。
私を悪意を持って貶めようとするならば、私もあなたに同じ悪意を向けましょう。
ぶち切れ気味の公爵令嬢の一幕です。
【完結】夢見たものは…
伽羅
恋愛
公爵令嬢であるリリアーナは王太子アロイスが好きだったが、彼は恋愛関係にあった伯爵令嬢ルイーズを選んだ。
アロイスを諦めきれないまま、家の為に何処かに嫁がされるのを覚悟していたが、何故か父親はそれをしなかった。
そんな父親を訝しく思っていたが、アロイスの結婚から三年後、父親がある行動に出た。
「みそっかす銀狐(シルバーフォックス)、家族を探す旅に出る」で出てきたガヴェニャック王国の国王の側妃リリアーナの話を掘り下げてみました。
ハッピーエンドではありません。
悪役令嬢のビフォーアフター
すけさん
恋愛
婚約者に断罪され修道院に行く途中に山賊に襲われた悪役令嬢だが、何故か死ぬことはなく、気がつくと断罪から3年前の自分に逆行していた。
腹黒ヒロインと戦う逆行の転生悪役令嬢カナ!
とりあえずダイエットしなきゃ!
そんな中、
あれ?婚約者も何か昔と態度が違う気がするんだけど・・・
そんな私に新たに出会いが!!
婚約者さん何気に嫉妬してない?
【短編】その婚約破棄、本当に大丈夫ですか?
佐倉穂波
恋愛
「僕は“真実の愛”を見つけたんだ。意地悪をするような君との婚約は破棄する!」
テンプレートのような婚約破棄のセリフを聞いたフェリスの反応は?
よくある「婚約破棄」のお話。
勢いのまま書いた短い物語です。
カテゴリーを児童書にしていたのですが、投稿ガイドラインを確認したら「婚約破棄」はカテゴリーエラーと記載されていたので、恋愛に変更しました。
気付けば名も知らぬ悪役令嬢に憑依して、見知らぬヒロインに手をあげていました
結城芙由奈@コミカライズ連載中
恋愛
私が憑依した身体の持ちは不幸のどん底に置かれた悪役令嬢でした
ある日、妹の部屋で見つけた不思議な指輪。その指輪をはめた途端、私は見知らぬ少女の前に立っていた。目の前には赤く腫れた頬で涙ぐみ、こちらをじっと見つめる可憐な美少女。そして何故か右手の平が痛む私。もしかして・・今私、この少女を引っ叩いたの?!そして何故か頭の中で響き渡る謎の声の人物と心と体を共存することになってしまう。憑依した身体の持ち主はいじめられっ娘の上に悪役令嬢のポジションに置かれている。見るに見かねた私は彼女を幸せにする為、そして自分の快適な生活を手に入れる為に自ら身体を張って奮闘する事にした―。
※ 「カクヨム」「小説家になろう」にも投稿しています。
一途に愛した1周目は殺されて終わったので、2周目は王子様を嫌いたいのに、なぜか婚約者がヤンデレ化して離してくれません!
夢咲 アメ
恋愛
「君の愛が煩わしいんだ」
婚約者である王太子の冷たい言葉に、私の心は砕け散った。
それから間もなく、私は謎の襲撃者に命を奪われ死んだ――はずだった。
死の間際に見えたのは、絶望に顔を歪ませ、私の名を叫びながら駆け寄る彼の姿。
……けれど、次に目を覚ました時、私は18歳の自分に戻っていた。
「今世こそ、彼を愛するのを辞めよう」
そう決意して距離を置く私。しかし、1周目であれほど冷酷だった彼は、なぜか焦ったように私を追いかけ、甘い言葉で縛り付けようとしてきて……?
「どこへ行くつもり? 君が愛してくれるまで、僕は君を離さないよ」
不器用すぎて愛を間違えたヤンデレ王子×今世こそ静かに暮らしたい令嬢。
死から始まる、執着愛の二周目が幕を開ける!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる