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1章
14③
しおりを挟む静かになった講堂に誰かの忍び笑いが聞こえてきた。
「ハイ、そこまでよサイラス」
そう言いながら『パンパン』と手を打ち鳴らすリリーベル本人が犯人だ。
「国王陛下。どうぞ私共にお言葉を」
そう言って、彼女はスルリと優雅に動き壇上に向けて淑やかに臣下の礼を取った。
彼女同様に次々と周りに集う生徒達も頭を下げて行く。
目の前の卒業生達が自分達の後ろ側に向けて臣下の礼を取った事に驚いて暫く固まっていたのは、王子と令嬢と宰相の息子を除く取り巻き達。
彼等はギギギッと音のしそうなぎこち無い動きで自分達の後ろを振り返る。
何故かサイラスとリリアナ嬢は顔色1つ変えることなく優雅なお辞儀をし、宰相の息子である侯爵令息は臣下の礼を恭しく行っていた。
そこにはサイラス王子の父と母、つまり両陛下が立っていた。
国王は呆れ顔で。
王妃は何故か鬼の形相。
「「「「ッ」」」」
「王妃よ、どう思う?」
「・・・」
王妃は何も言わずに表情を消したままでズイッと息子に近づくと、手に持った扇で息子の頭を
『スッパーーーーーーーーンッ!』
と。ぶったたいた。
乾いた音が講堂に響き渡る。
「陛下、私共の勝ちで御座います」
臣下の礼を取ったまま、リリーベルが凛とした声を出す。
「まさかサイラスが本気でこんな場所で婚約撤回を口にするとは思わなんだよ」
陛下は、はぁ、と溜め息を一つ漏らすと
「そなた達は喧嘩ばかりしていると思っていたが、お互いに硬い友情で結ばれていたのだな・・・リリーベル嬢、私との賭けに勝ったな。皆は面を上げてくれ」
陛下が神妙な声でそう言う横で、
『パンッ! パンッ! パンッ!』
と王妃が鬼の形相になり扇で王子を往復ビンタをかましている音がする――普段は穏やかで大人しい彼女は狂ったようにも見え、その場学生達は信じられない面持ちでソレを凝視している。
「ッ! 母上ッ! 落ち着いて下さい!」
一体全体何が起こっているのか分からず、会場にいる卒業生とその保護者達は顔色を悪くしていた。
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